Live for love(4) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・もうなんか。 意味わからへんねんけど???」



南の弟・陸が突然訪ねて来た。



「せやから。 説明したやろ。 あたし今、家出中やねん。 離婚届も真太郎に突き出したし、」



南はコーヒーを淹れながら軽くそう言った。



「いきなり電話で、『あたし離婚して大阪帰る!』なんて言うから。  まあ・・こっちの仕事もあったから来たったけど、」


陸は南より5つ年下の弟で、陸が生まれて間もない頃、両親は離婚して母に女手ひとつで育てられた。




南が高校を卒業して家出同然に東京に飛び出して行った時は、まだ中学1年生だった。



「また家出とか言うて! お母ちゃんが天国でめっちゃ怒ってる!」



南と正反対の真面目な性格のこの弟は、姉が家出しても文句ひとつ言わずに母の食堂を手伝い


とにかく寄ると触るとケンカばかりだった姉と母の仲を仲裁するのが役目でもあった。




「・・そやなあ・・」


南は死んだ母のことを思い、ちょっとセンチになった。



陸が高校3年になった春。 


母は自宅で突然倒れて、あっという間にこの世を去った。



それからはこの弟を東京に呼び寄せて、姉弟二人で過ごした。



デキの良かった陸をなんとか大学までやりたくて、その頃に北都に誘われてホクトエンターテイメントに就職することにもなった。



それまでは北都に紹介されたホクトの子会社にいたのだが、本社に来ればそれなりの給料を出せる、と言われてそちらにうつることになった。



そのころ東大の1年生だった真太郎にはいい予備校を紹介してもらって、都立高校への編入も手伝ってもらい。


国公立大を狙っていた陸のために家庭教師までしてくれた。



金銭的に苦しかった頃は社長に無期限でお金も貸してもらって。


そのおかげで陸は立派に大学を卒業し、夢だった建築関係の会社にも就職できた。



2年前には一級建築士の資格も取れ、大阪の建築デザイン事務所に勤務している。




全部


社長や真太郎のおかげやったんやな・・・



南はそんなことを思い出したりしていた。



「真太郎さんや社長には・・・おれだってめっちゃ恩受けてるし。 ほんまに・・家族同然にしてくれたし。 今のおれがあるのも・・・そのおかげや、」



陸も同じことを思っていた。



「恩を着せるとかやなくて。 姉ちゃんは真太郎さんのことをめっちゃ愛してたんやんか。  おれが一番ようわかってる。 何があったか・・わからへんけど。 一時の感情でそんな大事なこと決めたらアカン。 まだ社長も退院してへんのやろ? 勝手なことしたらアカンやんか。」



どっちが年上かわからない。



「・・そやけどな・・・。 も~~~、ほんまに切れてもーて・・。」



南は手で顔を押さえて涙ぐんだ。



「姉ちゃんの家族は。 北都の人達やんか。 自分からその居場所を飛び出すようなことをして・・・。」



「ほんまにも~~~。 陸のヨメもまだやってゆーのに・・・。 お母ちゃんめっちゃ怒ってる~~~、」


南はつっぷして子供のように泣き出した。



「おれのことはええっちゅーに! 自分のことやろ!」


陸は少し腹立たしくなり姉を小突いた。




そやねん。


自分のことやねん。



でも。


こんなに毎日迷って、悩んで、わからなくて。



こんなこと


生まれて初めてやん・・・。



噂にしか出てこなかった南の正反対の弟・陸ですが、彼が立派に大人になった姿は南が真太郎や北都家の人たちと過ごしてきた時間ちに重なり・・


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