All of you(18) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・そう、ですか。」


ゆうこは深いため息をついた。



「南の気持ちも・・わかるし。 少し距離を置いたほうがええと思った。 今は誰が何を言っても、あいつの心の中埋めることできないやろし、」


志藤は疲れたようにネクタイを緩めてタバコに火をつけた。



ゆうこはジッと何かを思いつめているようだった。




志藤の言うとおり


南はホテルを出て、そのそばにあるウイークリーマンションを借りて住むことになった。



仕事は当分の間休むことになり、真太郎と顔を合わせることもない。



ぼうっとして。



ただ、ぼうっとすることだけを選んで。







ここに来るのは久しぶりだ



と、ゆうこは高いビルを見上げた。



もう仕事を辞めて10年以上になるのに、ここに来ると不思議とその頃の自分に戻っていきそうだった。



「・・・すみません、忙しいところを、」


ゆうこが社の真太郎の下を訪れたのは、もう夜8時を回っていた。



「・・どう、したんですか? こんな時間に・・・志藤さんは今日は大阪に出張なのに、」


真太郎は驚いていた。



「もちろん。 わかっていますけど・・・。 真太郎さんに会いに来ました。」


ゆうこはニッコリと笑った。



「え・・・」



秘書課の社員はみな帰ってしまい、静かな空間の中に二人だけだった。



「これから・・・あたしとデートをして下さいませんか?」


ゆうこは昔のままの笑顔でそう言った。



「は・・」



いきなりの彼女の申し出に思わず後ずさりをしてしまいそうになった。



「幸太郎さんには・・ナイショです。 子供たちは実家に泊めてもらうことになったので。 ・・どうしても真太郎さんに会いたくて。」



彼女の真意が図れずに戸惑う。



「・・・あのころは・・・このひとことが・・・言えませんでした。」



ゆうこははにかむように微笑んでうつむいた。



「もう・・・。 入社して、北都社長つきの秘書になったときから・・・ずっとあなたのことしか見ていませんでしたから。 真太郎さんのそばにいるだけで。 幸せでしたから、」



「・・白川さん・・」



「少し・・・ずれてしまった運命を。 きちんと収めようと思って。 余計なお世話でしょうが、来てしまいました・・。」



ゆうこが自分に何を話しに来たのか。


少しだけわかってしまった。



まるで時計が逆戻りするように


あっという間に


気持ちがワープした。



真太郎と南の深い絆を知るゆうこは見ていられずに・・・・


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