All of you(3) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

南の言うとおり



真太郎に足りないものは『自信』なのかもしれない。




志藤は運転席からルームミラーで後部座席に座った彼をチラっと見た。



「もう・・誰もがあなたを『社長』と同じ目で見ます。 もっと自信を持ってください、」



「・・はい、」


肯定する答えとはうらはらに目を伏せた。



そして



「・・・社長はまだあんな状態ですが。 おそらく・・・この仕事を退くになるのではないかと・・・思います。」



志藤は意を決して真太郎に言った。



「・・ええ、」


それは真太郎も覚悟をしていることだった。


このまま起き上がれるようになっても、身体を完全に元に戻すことは難しいだろう。


この激務をこなすことなど、とうていできない。



「もし。 社長が・・・あなたに社長のイスを譲る、ということになったら。 受けるつもりですか?」



ずっと気になっていた。



真太郎は仕事の重責におしつぶされ、そして


父が自分の記憶をまったく失くしてしまったことにショックを受けて姿を消してしまった。




真太郎はしばらく考えた後、



「・・・社長は。 おれのことを・・思い出すこともできないんですよ。 そんな人間に社長の椅子を譲るでしょうか、」



小さな声でそう言った。



「・・確かに。 今は・・つらい状態ではありますが。 社長は、社長として冷静にこの状況を判断するはずです。 あなたのことを思い出せないとしても。 この組織の中で、いづれはあなたがここを継ぐことは暗黙の了承でした。誰も反対する人間はいません。 社長の意向は・・・この場合二の次でしょう。 取締役の中では・・おそらく満場一致であなたを推す。」



そう

もう父の意向とか

そういう問題ではないのだ。



真太郎はぎゅっとこぶしを握り締めた。




「・・もし。 みなさんが自分を推してくれるのなら・・・。 受けたいと思います。」





そして、大きな声ではないが力を込めた答えが返ってきた。




「それは・・。 本当の気持ちですか?」



志藤は念を押した。


真太郎はすぐに


「はい、」


と、ルームミラー越しに志藤の目を見て答えた。



志藤はふうっと息をついて、


「それを聞いて安心しました。 ずっと気になっていたので、」


と、少しだけ微笑んだ。



南がリエの家にいた真太郎に



『経営者って・・・そういうもんやろ!?  そんなんもでけへんようだったら・・もうあんた北都を継ぐ権利ないわ! もう諦めて、違う道行ったらどやねん!!』



そう言い放った言葉を志藤は気にしていた。



「南に・・・叱り飛ばされて目が覚めました。 おれ・・何やってんだろーって。 自分のことしか考えられなくて。 確かにオヤジを目標に今までずっと頑張ってきました。 あの人に認められたくて、何もかも・・・。 こうして北都の長男として・・ここで仕事をし、みんなにも認められ恵まれた環境の中にいたのに。 今さら何を甘えていたんだって。 もうオヤジうんぬんじゃなく、おれはおれの仕事をするべきなんだと、思いました。」



真太郎の心からの決心だった。



苦しみ、悩みながらも真太郎は覚悟を決めました。 そうさせてくれたのは、やはり南で・・・


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