Close your eyes(15) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・ぼくの死んだ兄も・・そうでしたから。」


高宮は静かに話し始めた。



「え・・」


「本当に頭が良くて。 リーダーシップもあって・・生徒会長なんかもやったりして。 ぼくと妹には・・本当に優しい兄でした。 親も・・期待して。 兄もそれに応えようと必死に頑張っていました。 周囲の期待だって背負って。 今思えば・・・スゴい人だったなあって。 重圧とかそんなのも感じていたと思うけど、そんな不安そうな顔も見せずに・・・。 正直、自分が長男じゃなくてよかったって、子供心に思ったりして。」


ふっと笑う。



「・・・そう、」


南はその話にやはり真太郎のことを思ってしまった。



「・・兄が死んで・・その重圧がぼくにきたときはね。 もうカンベンしてくれってくらいのもんでしたから。 自分には所詮耐えられなかった。 兄のように人間ができてなかったし・・・。 それで、逃げてしまいましたから。」


高宮はうつむいた。



「専務だって・・・本当は逃げたくなることが何度もあったんじゃないかって。 きっと兄だって・・・・生きていたらそんな風に思ったかもしれない。 人間ですから。 たまには心折れて・・・何もできなくなってしまうことだってある、」


「高宮・・・」


「きっと。 帰ってきてくれるって信じてますから。 社長が・・・元通り元気になって・・専務も一緒に頑張って・・」



また


胃が痛みはじめた。



昨日から『チクチク』が『ズキズキ』に変わってきた気がする。


思わずそこを抑えると、


「・・どないしてん、」


南はその様子が気になった。



「いえ。 なんでもないです。 南さんも・・・つらいでしょうが。 ほんと・・おれは信じてますから、」


高宮は胃に充てていた手をスッと離した。





南は真太郎のデスクのパソコンの前に座った。




「・・・『ikegami1721』・・・。」


そうつぶやいた。



「は? イケガミ???」


高宮と志藤は怪訝な顔をした。



「・・あたしたちが・・・出会った場所。 池上にある小さなイベント企画会社やってん。 いっつも・・真太郎てばパソコンのパスワードは、『ikegami』だよって・・笑って。」


南はふっと微笑んだ。



「『1721』って?」


志藤の問いかけに


「あたしたちが・・・出会った年。 真太郎が17で・・あたしが21やった。」


その言葉を発した時、南の心はあの頃に戻ってしまった。




『はじめまして。 北都真太郎です。 よろしくお願いします、』



北都社長からの紹介でやって来たその会社で、すでに真太郎はバイトをしていた。


本当にイケメンでカッコいいのに、遊ぶことなんか全くしないで学校と会社と家の往復で。



よく会社で時間があるときに、学校の宿題なんかやって。


最初は弟みたいで・・かわいくて。


からかって・・・笑い合って。




パソコンのセキュリティは、スッと解けた。




南は、はらりと涙をこぼした。



真太郎にいなくなられて、南もまた大ショックを受けていましたが・・・


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