Only to you(16) | My sweet home ~恋のカタチ。

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そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「真尋には連絡したの?」


斯波は真緒に言った。



「・・はい。 今朝。 向こうでのコンサートが明日までだそうで。 それが終わったら帰ってくるって、」

ためいきをつきながら答えた。



「まあ・・仕事調整して。 1か月くらいはこっちに居られるだろう。 八神が戻ってくれば少しは仕事も楽になる。 お嬢も早く帰ったら?」


「でも、」


「社長の奥様は・・・どうしているの?」


「昼間はほとんど病院に。 ほんっとにあの年でラブラブだったし。 お母さんはお父さんに何でも頼りっぱなしで。あの人世間のことに疎くて、女優やめてからもお気楽に暮らしてたし。 もう・・・お父さんだけなんですよね、」


真緒は心配そうに言った。



「お父さんのことが心配で夜も寝れないって・・。 主治医の先生に睡眠導入剤を処方してもらったりして。 ちょっと心配なんですけど、」


「じゃあ、余計にお嬢がついててやらないと。 今日はもう大丈夫だから帰りなさい。」


無口な斯波がそこまで言ってくれて、真緒は少しうれしかった。







「心配、ですね。」


八神はボソっと真尋に言った。



「まあ・・真緒の話では・・・とりあえず一命は取り留めたって言うから。」


さすがの真尋も心配そうに言った。



「だけど。 あの・・・アンドロイドみたいな親父が倒れるとは思わなかったな~~~、」


そして彼らしい感想を吐いた。



「アンドロイドって、」


「ほんと寝てる姿見たことないってくらいで。 いっつも仕事で飛び回ってる感じで。 子供たちの年もわかんねーんじゃないかってほど家庭を顧みなかったしな~~。 怒られた記憶もないし、ほめられた記憶もない。」


「うーん。 金持ちにも悩みはあるんですね~~~、」


「あ、でも! 1回だけすんげえ怒られたことある。 確か小学校3年くらいの時。 おれ・・庭に紛れ込んできた子猫を追いかけて外に出て。 ずうっとずうっと追いかけてって・・・・。 気がついたらぜんっぜん知らないトコで。 もう帰れなくなっちゃってさあ。 夜になっちゃうし。 んで、交番に行っておまわりさんに、名前とか聞かれて。 住所と電話番号って言われてさあ・・・。 答えられなくって! 小3でだよ?? おまわりさんにも呆れられてさあ。」


そのエピソードがおかしくて八神は吹き出してしまった。



「そんで。 おれの名前でひょっとしてって思って、おまわりさんがウチに連絡してくれたみたいでさあ。 オフクロどころか親父まで飛んできて。 うん、親父が来たのはびっくりした。 そんでいきなり頭にゲンコツ食らわされてさあ・・・・。 いったかったなァ・・・。 んで、『自分の家の住所とか電話番号くらい覚えておけ!』ってめっちゃ怒られた。 」



「すごいなァ、それも・・」


「そーだな。 怒られた思い出ってそれがキョーレツかも。 学校の先生に呼び出し食っても、来るのはオフクロだけで、親父がそれ知ってたかどうかわかんないけど、・・怒られたことは1回もなかったな~~~。」


椅子に座りながら頭の後ろで手を組んで天井を見上げた。



「マジ。 おれのことに関心ねーなって思ってたもん、」


「そんなこと、ないでしょう。」


「オヤジは・・・真太郎ばっかだったからな~~~。」


真尋は苦笑いをした。



ちょっとだけスネてるような真尋の顔が八神は何だか微笑ましくて、



「やっぱり。 社長は真尋さんのことを・・ちゃんと心配してますよ。 余計なことを言わないだけで。 親が言うことなんかウザい以外の何者でもないんだけど・・・。 でも。 自分が間違った時はきちんと叱ってくれるし。 そういうのはありがたいなって、ようやく思える年になったかも、」



つくづく言った。




「そうだなァ・・・」



真尋は頬づえをついて、珍しく深く考え込むような表情だった。



本当は



心配ですぐにでも帰りたいって



顔に書いてあった。


一方、真尋にとっての父の印象は真太郎とは全く違っていました。


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