Only to you(14) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

ゆかりは病院にやってきた。



「どう?」


途中で真緒が立ち寄る。



「ん。 まだ寝たまんま・・・」


昨夜は母も眠れなかったようで、目が赤い。



「このまんま。 目が覚めなかったら・・・どうしよう・・」

ゆかりはまた涙ぐんだ。



「先生も大丈夫って言ってたじゃない・・・。 大丈夫よ。 ・・お父さん、ほんと働きすぎだったから。 少し休みなさいって・・神様が言ってる。」

真緒は母の肩に手を置いた。



「ほんと。 仕事ばっかりだったもんね。 休みの日にあたしたちと一緒に過ごしたことだって、何べんあったか。 もう家でお父さんに会わないことさえ、当たり前みたいだったし、」


つくづく言う娘に



「おじいちゃまが亡くなった時も急だったから・・・。 真也さん、それからずうっと頑張ってきたのに。」


ゆかりはハンカチを目にあてた。



「ようやくお母さんのところに戻ってきたのかもしれない。 ううん、あたしたちのところに。」


真緒の言葉が胸に染みた。






「あたしもう一度仕事に戻ります、」


志藤は萌香から電話をもらった。


「いや。 この状態でおまえにまた無理をさせたら大変やから。」


「でも・・・。 外出はできないかもしれませんが、中のことでしたら・・まだできますし。」


萌香の申し出をありがたく思いながら、



「大丈夫。 でも栗栖が仕事に戻ってきてくれても、何かあったらどないしょう?って・・心配事が増えてしまう。」


志藤は優しくそれでいてわざと無神経な言い方をした。



聡明な彼女はその意味を汲み取り、



「・・・わかりました・・。  あたしは・・何もすることができませんけど、」


つらそうにそう言った。



「ありがとう。 ほんまに。 斯波も南がいないことが多くなると思うから大変やし。 ヤツが仕事に専念できるようにしてくれ。 それが今のおまえの仕事や、」



彼の気遣いが痛いほど伝わる。





真太郎がデスクでふうっと大きなため息をついていると、横から手が出て缶コーヒーを置かれた。



「志藤さん、」


笑顔の彼がいた。




「こんなに。 決断することが難しいことだと思いませんでした・・」


真太郎はそのコーヒーを飲みながら言った。



「社長の仕事って・・8割は決断です。  そして2割はどれだけ下のモンに指図ができるかでしょう。」


志藤もタバコを手にコーヒーのプルトップを空けた。




「どっちも。 自分にはあるのかって・・思います。」




いきなり重責を負うことになった彼の戸惑いが伝わる。




「・・あなたが社長について仕事をして・・・取締役になり、専務になり・・。 その経過をおれはずっと見てきた。 頭はいいけれど所詮お坊ちゃんで苦労も知らないでって、正直最初はそう思いました。 北都フィルを立ち上げる時のあなたは・・暑苦しいくらい一生懸命で。  社長の息子に似つかわしくないくらい、」



志藤は自分がやってきたばかりのころのことを思い出した。



「志藤さん・・」



「あなたの本質は・・その頃と変わってないでしょう。 でも・・・あなたは『女王蜂』と同じだ。」


志藤はふっと笑った。



「女王蜂???」



「ハチってね。 卵のうちは働き蜂も女王蜂もないそうです。 ただ、女王蜂になるハチの幼虫には特別のエサ・・ロイヤルゼリーを与え続けるんです。  他の働き蜂たちとは違う・・・女王蜂になるべくして育てられる。」


志藤がいきなりハチの話をし始めて、真太郎は戸惑った。




戸惑う真太郎に志藤は優しく諭します。


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