「大丈夫だよ、」
高宮は優しく笑顔でそう言った。
「隆ちゃんが大変でも・・あたし、何もできなくって・・」
夏希はうつむいてもじもじした。
「いいんだよ。 夏希は別に。 ・・・まあ、確かに大変だけど。 でも・・おれしかわかんないこともあるから。 今日から向こうの『北都リゾート』の方につめることが多くなるから、こっちもあんまり来れないと思うけど。 夏希も南さんが専務のフォローに回ってるから忙しくなるだろうし。 ・・頑張って、」
高宮は笑った。
夏希が持って来てくれたシャツに着替えて、朝食がまだだったので彼女が作ってくれたサンドイッチを食べようと広げると。
・・・???
何やら切り口が黒っぽい。
ドキドキしながらそれを口にした。
磯の香りがした・・・
海苔???
そして発酵臭・・?
パンを開いてみた。
思いっきり海苔の佃煮が塗り込められていて、スライスチーズとハムも挟まっていた。
この意味のわからないサンドイッチにまたおかしくなって笑ってしまった。
この海苔の佃煮はいらねーだろって・・・。
もう1種類のサンドイッチも開いてみる。
こっちはなぜかちくわを縦に切ったものとコンビーフとマヨネーズが挟まっていた。
このちくわも・・・
いつもなんかが余計なんだよなァ・・・
なんだか疲れもふっとぶようなおかしさだった。
ありがと。
それでも夏希の気持ちが嬉しかった。
「あ~~、ごめんな。 加瀬も忙しいのに、」
南が事業部に戻ってきた。
「いえ。 じゃあレックスに持って行く資料はこれでいいですか?」
「ウン。 もうだいたいの話は出来てるから。 牧村さんと相談して進めてね。」
「南さんも大変ですね、」
「ああ、真太郎もやっぱり動揺してるってゆーか。 いきなりだったし。 彼、仕事は文句なくできるんやけど、まだまだ自信がないっていうか。 平常心を取り戻すように協力してるだけ、」
南は笑うが、
「でも。 そうやってダンナさんを仕事でフォローできるんだもん・・・。 うらやましい、」
夏希は本音を言った。
夏希が高宮の仕事に関して何もできないことを歯がゆく思っていることがわかってしまった南は
「加瀬はね。 そのまんまでいいんだって。 あんたの存在自体がもう、高宮には癒しなんやから。」
「隆ちゃんに迷惑かけないように生きるしかできないのが情けないってゆーか、」
本人は真面目に悩んでいるのだが、南はなんだかツボに入ってしまい笑ってしまった。
「え~~、そこ笑うとこじゃないですけど~~~、」
膨れる彼女に
「ごめん、ごめん。 なんかしらないけどおかしいよね・・加瀬は。 ツボる、」
南も昨日から気を張り詰めていたので、身体の余計な力が抜けていった。
「うんうん。 加瀬はそれでいいんだって、」
夏希の頭を撫でて行ってしまった。
「も~~、勝手にツボらないでくださいって~~~、」
後ろからそんな声が聞こえて、また笑ってしまった。
夏希は何とか高宮の力になりたいと思いますが、・・お約束の感じになってます(;^_^A
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