On that days(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「ダメじゃないですか、」



ゆうこはスタジオのドアを静かに開けて言った。



「え・・」



志藤は驚いたように振り返る。



「きっと。 ここだと思いました・・・」

まだふらつく彼の身体を支えるようにそっと腕を取った。



真尋はまたもピアノに没頭し、

ゆうこが来たことには気づいていなかった。



「・・ほんと。 胸が熱くなりますね。 真尋さんのピアノは、」



彼女の声も

心地よく。






本番まで

あと1週間。



真太郎がこのオケを立ち上げようと

頑張り始めてから


ずっと

ずっと

側で見守っていた。



真尋が加わり

南が加わり



そして

彼も。



短いようで長い長い時間が経った気がしていた。





ゆうこはそっとおなかを手で押さえた。



あの時は思いもしなかったけれど

新しい命が

自分の中で息づいている。



不思議な運命に流されて



だけど

今は

幸せ。






「看護婦さんに怒られちゃいました、」

志藤を病院に連れて帰り、ベッドに寝かせた。



「あの看護婦さん。 怖いからな~~~。」

志藤は笑った。


「もう少しですから。 きちんと治してください。 真尋さんのピアノが聴きたくてたまらなかったんでしょうけど、」

ゆうこは微笑む。


「ちゃんとやってるか。 心配だっただけやん、」



ちょっとだけ

強がって志藤は笑った。




志藤の両親に公演のチケットを送ったことは

内緒にしていた。

ちょっとだけ

彼を驚かせたかった。




きっと

彼の両親も

こうして音楽の道に戻ってきた彼を

目の前で見たいはずだから。



ゆうこはそっと志藤に布団をかけた。




真尋のミニコンサートは

オケのデビュー公演の前日、ホテルの会場でオープニングパーティーの一環として行われる。

音楽関係者を多数招き、日本での真尋の本格的デビューになることは間違いなかった。



ここでの真尋の評判が

北都フィルオーケストラのデビューに

弾みをつけることになるのは間違いない。




そのプレッシャーは

野生児の真尋にもヒシヒシと伝わっている。



オケのデビューと同時に

ピアニスト・北都マサヒロが日本でデビューする。



志藤は病院のベッドで横たわりながら

彼のピアノに思いを馳せた。




本番はもうすぐです。


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