Symphony(19) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「だって。 志藤さんの仕事をぼくがやることになったときに、白川さんすっごく申し訳なさそうに謝ったりして・・。 なんでかなって思ってました。」

玉田は言った。


「そ・・そうでしたか?」

全く意識ゼロだったので、ゆうこは赤面してしまった。



「でもな。 ちょっとワケあって。 ジュニアとジュニア夫人しか知らないねん。 悪いけど黙っててくれる?」

志藤は彼に言った。


「・・はあ・・」

またも、疑問だらけの顔をした玉田がおかしくて


「もう、なんで?? みたいな顔、モロにして・・」

志藤はまた笑ってしまった。


「い、いえ・・」

図星を指されてまたも玉田はうろたえた。



「彼女。 今、妊娠してるの。 まあ・・社長からいい顔されてないとか、いろいろあって。」

その告白に玉田はまたも



「・・えっ・・」

と固まった。



「もちろん結婚はするけど。 でも、今はこの仕事が優先やから。 彼女もそう言ってくれて。」



「あ・・そーなんですか。 も、ぜんっぜん・・・わかんなくって、」

玉田はそう言ってチラっとゆうこを見た。



「すみません。 余計なことを、」

ゆうこはまた頭を下げた。



「いえ。 ぼくにできることでしたら。 ホントできるだけのことはしますし。 志藤さんに比べたら全然力は及ばないですが・・」

控えめな彼に


「いや。 おまえがいてくれるから助かってんねん。 ほんま、仕事が増えてしまって申し訳ないな、」

志藤は優しくそう言った。




そう言えば

この人もなんだか変わった。


来たばかりのころは

すごく怖い人って感じだったのに。

この後頃は人当たりがすごく柔らかくなったって思ってた。




玉田は二人をにこやかに見つめた。



ゆうこはここのところバタバタしていて、大事なことを忘れていた。




「は・・・。 白川さん?」




「ごぶさたしております・・。 すみません、ごあいさつもしませんで。」

京都の志藤の実家の母に電話をした。



「いいええ。 こちらこそ。 身体のほうはどないなの?」


「もう悪阻もだいぶおさまって。 おかげさまで仕事にも復帰しはじめました。」


「そう。 無理せんといてなあ。 ほんまに幸太郎のアホが・・・」

と、グチり始めたので




「あ、いえ。 それで、志藤さんが・・・。 実は肺炎で今入院してしまっていて。」


「は? 肺炎???」


「ここのところ忙しかったので。 疲れが出たんだと思いますが。 あたし・・今、志藤さんのお部屋で生活させてもらっていて、」


「え? そうなの?」


「それなのにこんなことになってしまって。 本当に申し訳なくて、」

などと謝るゆうこに


「何言うてんの。 そんなにたいしたことないんやろ? それよりあんたが大変になってしまって・・」



「あたしは・・大丈夫です。」


「あのね、昨日もお父ちゃんと話してたんやけど。 やっぱり、白川さんの親御さんにご挨拶に伺いたいって。 よかったらおじゃましていい日にちをご両親と話してもらえる?」


「それはウチの両親もそちらがお忙しいことはわかっていますから。」

と言ってからハッとして



「あの・・それでしたら。 もしお店をお休みできるなら・・・北都フィルハーモニーのデビューコンサートにおいでいただけませんか?  志藤さんすごく頑張ってるんです。 できればご両親にも見ていただきたくて。」



「コンサート・・・?」



「ええ。 チケットはお送りします。 ぜひ!」

ゆうこは目を輝かせた。





一方、真尋は



「だいじょぶですか?」

玉田はおそるおそる彼を覗き込んだ。



「・・・・」



ゆらーっとピアノの椅子から立ち上がったかと思うと、するするとピアノの下に入っていって丸くなってしまった。



「そんなところに寝たら! カゼをひきます!」

と、身体を揺り動かすが、なにやらブツブツひとりごとを言っている。




朝晩なく

真尋はピアノを引き続け

あんなに執着するゴハンも食べ忘れるほど、ピアノに没頭していた。




「あ、タマちゃん。」

南がやってきた。



「なんか・・こんなんなっちゃったんですけど!」

玉田は真尋を指差す。


「またも~。 いっそのことそこに布団敷こか?」

南は呆れた。


「ああなったかと思うと、いきなりガバっと出てきて。 ピアノ、ガーって弾いて! おかしくなっちゃったんじゃないかと思って、」

玉田は彼女に耳打ちした。




「ああ。 それ、ぜんっぜん普通。 入り込むともう何言うてもアカンから。」


「家に全然帰らないんで、もう3日も風呂にも入ってないみたいなんですよ・・・」


「しゃあないなァ。 なんっか無精ヒゲもきったない感じやし。 こんなんじゃ沢藤先生にも悪いやんか。 ちょっと、タマちゃん。 何とか外連れ出してよ。」


「えっ! おれが、ですか??」


「あたしじゃ、あんな大男、連れ出せへんもん。 はやく~~。」

と、彼を小突いた。





真尋がまたも『カンヅメ』に入り・・・


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