Symphony(16) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

志藤が目を覚ますと、南の顔がぼんやりと見えた。



「あ、気がついた?」


「・・・どんだけ・・寝たんやろ、」


「ウン、もう昼すぎ。」

南は時計を見た。


「あ~~~、このクソ忙しいのに・・休んでる場合やないのに、」

志藤は両手で顔を覆った。


「まあまあ。 真太郎もフォローしてくれるし。 少しは休まなきゃ。 まだ1ヶ月もあるやん、」

暢気に言われると、ちょっと気が抜けた。




「ゆうこは・・」


「ああ、帰ったよ。 彼女も寝てへんやろし。 少し休ませてあげなくちゃ。」


「すんません・・」



そこに

ノックの音がした。



「はい、」

南が返事をすると、のそっと大男が入ってきた。



「真尋、」



二人は驚いた。




「うい~~ス・・」

バツが悪そうに首を突き出すように言った。



真尋はいきなり横の椅子にドカっと座り、



「・・おれ。 明日ウイーンに帰る。」



と言い出した。



「えっ!」



南は驚いた。


志藤はサイドボードに乗ったメガネを掛けた。



「だって。 とりあえずおれ、もう必要ねーし。」


「ちょ、ちょっと! 何言うてんねん! 本番まであと1ヶ月やで!」



南は思わず立ち上がった。

志藤は固まったままだった。


「・・・・って。 思ってた。」


真尋はため息混じりにそう言った。


「え・・・?」



「おれは別に引き止めてもらおーと思って言ってんじゃねーぞ。」

真尋は本気の目で志藤を見た。



「おれにヘーコラしろって言ってるわけでもない。」



志藤は真尋が言いたいことが

よくわからなかった。




「自分のことしか考えてねーじゃん。 あんた。 これでおれが怒って勝手に帰っちゃったらどーすんの? 全ておしまいじゃん。 ゆうこちゃんのことコレっぽっちも考えてねーじゃん!」



「え・・」

ゆうこの名前を出されて志藤は驚いた。



「絶対に成功させんだろっ! おれでって・・思ってんだろっ!!」



もう掴みかからんばかりの勢いだった。




「真尋、」

南も呆然とした。



「彼女どころか! 生まれてくる子供だってこのまんまじゃ・・・オヤジがどーすっかわかんねーけど! どうなるかわかんねーじゃん。 アンタ、すんごいトコ飛ばされるかもしれねーだろっ!」



彼が何を言いたいのか

ぼんやりとわかっては来たけれど。


こんなことを真尋に言われるとは

正直思わなかった。




「おれ、バカだから。 頭わりイから。 いっぺん言われたくらいじゃわかんねーの! もっと怒りゃいーじゃんか!必死になればいいじゃんか!」



言ってみれば

逆ギレで。



「ゆうこちゃん、おれなんかに頭さげんだぜ。 お願いしますって何度も何度も泣きながら。」



「ゆうこが・・」

志藤はふらつく身体をノソっと起こした。


南が慌てて彼を支える。



「オヤジの許しをもらうために、ちゃんと結婚を祝ってもらうために・・・。 何でもっと必死になんねーんだよ!おれにはもっと練習しろってばっかでさあ! あんただってカッコつけてるだけじゃんか!」




心がカーッと熱くなった。




ゆうこが

真尋に頭を下げて・・




そう思うと

自分の至らなさを痛感した。




「夕べだって、一晩中クラブで遊んじゃったじゃん!」

とまで言い出して


「それはアンタのせいやろ・・」

南は呆れてしまった。



「どこまで・・甘えたがりなんだよ、」

志藤はうつむいてふっと笑った。



「別に。 あんたのこと許したわけじゃねーけど。 ゆうこちゃんがあんまりかわいそうだから。 おれは死ぬ気でやることにした。」

真尋はそう言って立ち上がる。



「真尋、」



「おれで。 客集めてみせるから。」

そう言って慌しく病室を出て行った。



真尋らしい『逆ギレ』もありの宣言でした・・・


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