Shining days(20) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「はあ? なにそれ。」



翌日、仕事で会社にやって来た南と、真太郎と共にランチを取りながら

志藤は夕べの話を二人にした。


「ほんっと・・社長さえウンと言ってくれたら・・」

志藤は思わずグチる。


「社長、ほんまにゆうこLOVEなんやな、」

軽はずみに言ってしまい、真太郎は南に



「ちょっと、」

と小突いた。



「おれは今すぐにでも入籍したかったのに、」

志藤はため息をついて食後のコーヒーに口をつけた。



「でも、ほんまにゆうこってびっくりするくらい真面目やん。 もうさあ、自分ができちゃった婚するなんて、自分の人生設計の中に絶対あらへんもん。」

南は言った。


「それに白川さんは本当に社長に尽くしていたし。 その社長に反対されるのは、一番つらいことなんじゃないでしょうか、」

真太郎も言う。



「でも、ちょっと真太郎から社長に言ってあげたら?」


「もう志藤さんと白川さんの話をするだけで、ものすごく機嫌が悪くなって聞いてくれないんだよ、」

真太郎は困ったように言う。



「あ~~~、おれいったいどこに飛ばされんねん、」

志藤は頭を抱えた。


「まあまあ。 最果ての地とかまではいかないと思うからさあ、」

南のへんな励ましなど、耳に入らなかった。




ゆうこは母子手帳を交付してもらってきた。

父になる人の名前の欄は

空白だった。



ごめんね・・・



ゆうこはおなかに手をあてて、赤ちゃんにそう詫びた。




会社はもう1ヶ月近く休んでしまった。

もうすぐ妊娠4ヶ月目に入ろうとしている。


少しずつ食欲も戻り始め、家の中のことなら

差し支えなくできるようになっていた。



志藤は忙しさが増し、母に言われたとおり仕事に打ち込み

なかなか会えない日々が続いた。



「・・あたし、そろそろ会社に行こうと思うんです、」



ゆうこは毎晩志藤からかかってくる電話で

そう言った。


「え? でも、まだ本調子やないんやろ?」


「でも食べれるようになってきましたし。 吐き気もおさまってきて。 デスクワークくらいならできますから。」


「出勤だって大変やん、」


「いつも朝早く出てますから。 そんなには混んでいません、」


「駅の階段とか危ないやん、」

いろんな心配をする志藤に


「大丈夫ですって。 気をつけるし。 そろそろ安定期ですから。」

ゆうこはクスっと笑った。




そう言ったが

北都にきちんと話をしたいのが本音だった。


もう

自分が役に立たなくなってしまったんじゃないか、とも思ったりするが


それでも

無責任に仕事を放り投げたりもしたくない。



北都は早めに出勤をした。


すると、もう社長室には電気がついていた。

誰だろうと思いながら入っていくと、ゆうこが棚を拭き掃除していた。



「白川くん、」


「おはようございます、」

ゆうこは緊張気味にお辞儀をした。


「もう、いいのか? 無理をしたら・・」

北都は心配そうに歩み寄る。


「一番ひどい状況からは脱しましたから。 食事も普通に取れますし。」

と言った後、ゆうこは改まって北都に深々とお辞儀をして


「・・突然のことで。 大変ご迷惑をおかけしました。 あたしは社会人として恥ずべきことをしました。 こうして仕事を休んでご迷惑もかけましたし、これからも今までと同じようには仕事はできないでしょうし。 何のとりえもないあたしは、もうここには必要ないのではないか、と何度も思いましたが。 社長のご判断に全てお任せする所存です。」

落ち着いた口調でそう言った。




北都はしばらく黙ったあと、



「おれはきみを辞めさせるつもりはない。」



キッパリとそう言った。



「え・・」



ゆうこは静かに顔を上げた。



「きみが辞めたい、と言うまで。 辞めてもらうつもりはない。」



「社長・・・」

ゆうこは少し驚いたように彼の顔を見ていた。




意を決して北都に全てを一任したゆうこでしたが・・・


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