Shining days(9) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

志藤はオケの仕事だけではなく、以前からかかっている大阪支社のイベントにも関わっていた。


「あ~~~、行かないとアカンかあ・・」

電話を切った後、ぐったりとして言った。


「大阪、ですか?」


「ちょっとトラブってるみたいなんです。」

真太郎に言った。


「こちらのことは。 ぼくと玉田くんで頑張りますから。 大変でしょうが、行って来てください。」


「・・・・はあああ・・」



北都は

もうほとんど口も利いてくれず。

ゆうこは入院中だし。



もう、さすがの志藤もいっぱいいっぱいだった。



そして真太郎は気づいたように、



「志藤さん、ご両親にもまだ話してないんですよね?」

と言った。


「え? あ~~~、全然。」

と、腑抜けになって首を振った。



「全然、じゃなくて。 大阪まで行くならついでに実家のほうに寄ったらどうですか?」


「大阪と京都ってめっちゃ近いような気いしてるかもしれませんけど・・・。 行って帰ってくるだけでけっこうな時間かかるんですよ・・半日はないと、」


志藤はため息をついた。



真太郎はしばし考えて、

「ぼくでできることなら、こっちの仕事はやりますから。 白川さんの仕事も、まあ・・お茶汲み以外なら何とか、」

と言った。



志藤はゆっくりと顔を上げて真太郎を見た。


「・・・あなたはホンマに・・お人よしですね、」


「はあ?」


「心配になるくらい。 いい人、ですね。」


「褒めてるのかけなしてるのかわからないんですが。」

真太郎は少しムッとした。



「ありがとうございます。 そうしていただけると、助かります。」

素直に頭を下げた。



「ただ。 オケの方だけは志藤さん待ちになると思うんで。 それはぼくは代われませんから、」

真太郎はニッコリ笑った。




いろんな人に

迷惑かけてるなあ。




志藤はそう思わずにいられなかった。



今までこんなに人に申し訳ないと思って仕事をしてきたことはない。



自分のことだけ

自分だけよければ

もうそれでよかった。



だけど

こうして困っている自分を助けてくれる人がいる。



後先考えずに

気持ちだけでつっぱしって

こんなことになってしまった。



ゆうこのことも

もちろん傷つけたし。

彼女の家族も。

そして

社長も・・・






機嫌わる・・・



真太郎はここのところずっとロクに口もきかない北都のご機嫌メーターを測っていた。

いつも多くをしゃべるほうではないが、

明らかに虫の居所が悪そうだ。



「あの。 志藤さんは急遽大阪出張になったので、明日の会議の資料はぼくがまとめておきますから、」

と言うと、ジロっと睨まれ


「あいつの仕事なんかやる必要はない! おまえは自分の仕事をしろ、」

と言い放たれた。


「でも、物理的に志藤さん忙しくなってしまって。 ぼくでできることはとりあえず代わってあげたいんですけど、」


「自業自得だろう。」



それを言われると

それまでなんだけど。



真太郎はため息をついた。



志藤はわずかな時間を見計らい、ゆうこのいる病院に顔を出した。



「・・大阪に・・?」


「ああ。 1泊2日になると思うけど。 明日の朝一番の新幹線で行くから。 で。 京都にも行ってくる。」


「実家に?」


「ウン。 まあ、ついでって言っちゃなんやけど。 一応、両親にも話したいし、」


「身体は大丈夫ですか?」



「おれは大丈夫。 あ、そーだ。 これ。」

志藤は紙袋から携帯を取り出した。


「携帯電話?」


「きみに持ってて欲しいから。」


「あたしに?」

ゆうこは驚いてそれを手にした。



「これで。 いつでも連絡が取れる。 心配やから。」

そう言って優しく微笑んだ。




もういっぱいいっぱいの志藤を真太郎がさりげなくサポートしてくれます・・・



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