Shining days(5) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

・・・そして、話は12年前に戻ります・・・・



「まあでも。 一件落着だよな。 オヤジが許してくれたら、」

拓馬はゴハンを食べながら言った。


「でも。 志藤さんのご両親にも挨拶しなくちゃね。 まだ話してないの?」

母は志藤の茶碗にゴハンを盛ってやりながら言った。


「まだ・・。 近いうちにきちんと話をしますから。」


「驚くでしょうね・・」

ゆうこはそれを想像してちょっとしんみりとして言った。



「ウチの親は、きっとゆうこを見て気に入るから。 それは心配してへんねん。 心配しないで、」

志藤はニッコリ笑った。



「しっかし。 オヤジもさあ、素直になりゃいいのに。 一回は反対しねえと気がすまないしな~~。」

拓馬が笑うと、和馬が彼の足をちゃぶ台の下から小突いた。



「あ?」



拓馬が振り返ると、父が怖い顔で立っている。



「お、オヤジ! あ~~~。 メシ、食う気になった?」

笑ってごまかした。



父は彼をジロっと睨んで黙って座った。



「今日はそんなに飲んでないみたいだね。 ゴハンにする?」

母が言うと、父はブスっとしているだけだった。



「あ、食べるのね。 ハイハイ。」

何も言わなくても母はツーカーでわかるようだった。



父がやってきて、また場が緊張する。



「・・で・・子供、生まれるの夏ごろなんだろ?」

和馬がその空気を打ち破るように言う。



「・・うん、」

ゆうこは頷いた。



「きちんと病院にかからないとね。 母子手帳ももらわないとだし。 やっぱあそこの総合病院の産婦人科がいいかしら。」

母は現実的な話を始めた。



「というより。 籍を入れるのが先じゃないの?」

和馬の言葉はもっともだった。



「この辺は噂が広まるの、早いからねえ、」

母が苦笑いすると、



「でもさあ! いまどきの若いヤツらなんか、ぜんっぜんデキ婚なんかしてるって! フツーにバンバンやっちゃってるよ!」

拓馬があまりにも空気の読めない発言をし、父の琴線に思いっきり触れてしまった。




「おめえは・・うるせーんだよっ! 静かに食えねえのかっ!!」



父はそこにあった新聞で拓馬の頭を引っぱたいた。



「いって・・・・。 も~~、なんだよぉ・・」



「ほらほら。 お父ちゃん、味噌汁。」

母が慣れたように父に味噌汁を手渡す。




「あとは。 社長にお話をしないと。 入籍はそれから・・」

ゆうこはまだ心配が残っていた。


「ああ。 社長さんね。 そうねえ、子供できちゃったし、今までどおりに仕事できないしね。」


「それはぼくからきちんと話をします。 明日にでも。」

志藤は言った。


「あたしも行きます。」


「でも。 まだ具合が良くないんだろう?」


「それでも。 社長には直接お話を。 ご迷惑をおかけすることになるし・・・。」



すると

仏頂面だった父が

「あったりめえだ! 何を差し置いても社長に挨拶が先だろう! 具合が悪いとかの問題じゃない。 きちんと挨拶をしてこい!」

と、ゆうこに言った。



「・・うん、」

それは最もだった。


「ひょっとしたら。社長秘書も下ろされるかもしれない・・」

ゆうこは不安を口にした。



「まあまあ、今考えたってしょうがないじゃない。 それに、産休取らせてもらった後は。 あたしが赤ん坊の面倒みるし。 あんたはまた仕事に戻らせてもらいなさいよ。」

母はもう孫のことを考えるとうれしくて仕方がないようだった。



「そーだよなあ。 オヤジだって。 孫の顔みたらもう夢中になるって!」

また調子に乗った拓馬が言って、父は



「だから黙って食え!!」

怒って彼の頬をひっぱたいた。



「だから! 痛てえっての!!」


「も~~。 うるさい・・」

ゆうこはため息をついた。




まだまだ

問題は山積みだった。




「ねえ、今日泊まってったら? また拓馬のトコなら寝れるし。」

母が志藤に言った。


「すみません。 明日朝イチで外出があるので。」

すまなそうに答えた。


「志藤さん、今オケのコンサートのことですごく忙しいの。 今日だってこんな時間まで仕事だし、」

ゆうこは志藤を庇った。


「きちんと食事を採って、身体が参らないようにしないとね。」

母は優しく言った。


「ありがとうございます、」

志藤はニッコリと微笑んだ。



白川家の食卓は

本当に楽しくて。

志藤はこの空気の中にいられることも

嬉しかった。



なんとかゆうこの父に結婚を許してもらえましたが、『大きな山』が二人の前にそびえたっていました。


さて。『御大』にいよいよ告白です!



人気ブログランキングへ 左矢印お気に召しましたらポチっ!わんわん お願いします

人気ブログランキングへ 左矢印 携帯の方はコチラからお願いしますドキドキ