There be it to me(7) | My sweet home ~恋のカタチ。

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そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「子供が・・できました・・」



志藤は再びそう言った。




ゆうこと南が何とか戻ってきたが



真太郎はいきなり志藤を殴りつけた。



「し、真太郎!」



南は驚いた。


勢いで彼のメガネが吹っ飛ぶほどだった。



「な・・なんで!! そんなこと! 志藤さん!」



真太郎はソファに倒れこんだ志藤に掴みかかった。



「もっと・・もっと彼女のことを大事にしてくれると思ったのに! なんで! 軽い気持ちでそんなこと!」



ゆうこは自分のことでこんなに激しく真太郎が怒っているのに驚いた。



「真太郎さん・・やめてください・・」


ゆうこは真っ青になった顔でそう言った。



「もう・・やめてください。 あたしが悪いんです。 あたしが真太郎さんのことを諦めきれずにいたのを、志藤さんが引っ張り出してくれたんです。 ・・あんなに真太郎さんのことを好きで。 どーしようもなかったのに。 こんなことになってしまって。 自分がもう・・イヤでしかたないんです・・」



ゆうこはまた泣いてしまった。



「真太郎さんに知られたら、きっと軽蔑される。 ・・それだけは・・イヤで・・」



ハンカチで顔を押さえた。




真太郎は彼女の涙を見て、ようやく冷静になって志藤から離れた。



「大丈夫?」

南は志藤のメガネを拾ってやった。


「はい・・」

ゆっくりと体制を立て直して、



「おれは。 彼女と結婚したい。 ずっと一緒にいたいから・・」



ポツリと言った。



「子供ができて・・仕方なく、ですか。」



真太郎は腹立たしくて、キツいことを言ってしまった。



「違います、」



志藤は首を横に振った。




「とにかく。 子供は待ってくれへんねん。 今、こうしている間も。 どんどん大きくなってるんやで。 さっき言ったこと、本気やから。 あたしが育ててもいい。」

南は決心したように言った。



「・・南、」



真太郎は驚く。



「望まれてへん命なんて知ったら。 この子・・かわいそうやんか。 おなかの中できっと泣いてる。 ゆうこ・・頼むから堕ろすなんて言わないで・・・」

南はゆうこに縋るように泣いた。



ゆうこはそっとおなかに手をやった。



「泣いてる・・?」



へなへなと座り込んだ。




「生きたくても生きられない命もある。 望んでも・・・来てくれへん命もある。」

南は涙ながらにそう言った。




結論は出なかったが、志藤は仕方なく帰って行った。



「ゆうこのお家には電話しといたから。 ウチに来てくれたけど気分悪くなって休んでるって。 今日は泊まって。」

南はゆうこに優しく言った。


「すみません・・」

小さな小さな声でそう言った。



南の部屋で布団を敷いてもらって休むことになった。



「ゆうこは。 ほんまは志藤さんのこと好きなんやろ?」



仕度をしながら南は言った。



ゆうこは少し考えた後、小さく頷いた。



「だけど・・やっぱり・・彼はあたしのことを一番に好きじゃないんじゃないかって・・いつも思ってしまって。」


「そっか・・・」


「あたしだって堕ろすなんてイヤです・・。 でも、子供ができたからと言って仕方なく結婚するのはもっとイヤなんです。 ・・あたしはひとりでこの子を育てます・・」

ゆうこはボソボソとそう言った。



「ゆうこ、」


「まだ・・頭の中、整理ついてないんですけど・・・」


「でも。 志藤さんは結婚しようって言うてくれはるんやで?」



「それでも・・・、」



ゆうこの中で、ものすごい迷いが渦巻いていた。



南はニッコリ笑って、



「あたしがいる。 ひとりで育てるなんて言わないで。 あたし、ゆうこのためなら何でもするし。 あたしがこうして元気になって幸せになれたのはゆうこのおかげやって思ってる。だから、ゆうこにも絶対に幸せになってほしいから。」



と、安心させるようにゆうこの肩を叩いた。



彼女の

その優しさに

少しだけ落ち着きを取り戻す。



南の優しさにゆうこはようやく現実に直面する気持ちになりました。


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