True love(12) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

仕事で北都と連絡を取るために使わせてもらっているこの携帯は

もうほとんど志藤との話をするために使っているようなものであった。



「たまにはさあ。 電話してきてよ。」

志藤は開口一番言った。



「だから・・この携帯は・・」

ゆうこは困ったように言う。



「ねえ。 今どこ? これから会えない?」



胸がドキンとした。




「銀座のふぐ屋さんの前です・・」

ゆうこは正直に言った。


「は? ふぐ屋?」


「今・・成田さんと食事をしていました。」


「紗枝と?」


「社長から成田さんにごちそうするように言われたので。」


「なんや。 おれも呼んで欲しかった。」


「社長のおごりなんです。 勝手に呼べません、」


「一人くらいわからへんやろ、」


「そんな適当なこと、」

ちょっと笑ってしまった。




さっき

紗枝が言っていた

もう一人の彼の姿。



最初の頃は

なんて人だろうと思ったけど。



今は

自分には本当に優しいと思う。




彼に会いたいという気持ちと

やっぱり会ってズルズルしてしまいそうで

嫌な気持ちと



もうごっちゃになっている。





「成田さんは・・志藤さんの元カノですか?」




ゆうこは気がついたら

そう言っていた。




「はっ・・???」



電話の向こうの彼が凍りついたのがわかってしまった。



「な、なんで? あいつ何言ったの?」

めちゃくちゃ動揺してるし。



「何も。言いませんでしたけど。 志藤さんがどれだけヒドイ男かってことは説明してくれました。」

ちょっとオーバーに言ってみた。




紗枝のヤロ~~~!

余計なことを彼女に吹き込んで!




志藤は非常に彼女に対して腹立たしかった。




「なんか。 そうなのかなあって・・思いました。 でも成田さんはそれを言いたくなさそうだったので・・・聞きませんでした。」



彼女は神経が細やかな人だから

わりとそうやって鋭いところに気づいてしまうのかもしれない・・



志藤はそう思った。



「厳密に言ったら。 元カノではない。 彼女と呼べるような女の子は・・・奈緒が死んでからずっといなかった。」



正直にそう言った。



「うまく逃げましたね。」

ゆうこはクスっと笑った。



「だけど! ・・きみのことは別やから。 真面目につきあいたいって思ってるし、」



「あたしは臆病なので、」



「え?」



「なかなか・・・何も考えずに飛び込んでいくことができません、」



志藤はため息をついて



「会いたいんだよ。 銀座なら今から行くから。」

また強引に言ってきた。



「また明日会社で会えます。」



「だからさあ・・」



「ここのところずっと帰りが遅いので、父に怒られますから。 すみません、」




ゆうこはそう言って

そっと電話を切った。




ほんまに

もう。

どこまでカタいねんて・・・。




今までここまでして

振り向いてもらえへんかった女の子なんか

いてへんかったのに。




志藤はもう別の意味で

ゆうこのことばかり考えていた。



慎重すぎるゆうこに志藤はため息ばかりでしたが・・


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