True love(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「はあ? ひなたがそんなこと言ったの?」



志藤は寝室でベッドに横になりながら、ゆうこの話を聞いていた。



「パパから告白してきたんだよーって言ったら、ウッソーですって。 失礼しちゃう、」

ゆうこは髪をとかしながら口を尖らせた。



「ハハ・・・。 まあ、どっちでもええやん。 そんなの。」

志藤は気楽に笑った。


ゆうこはベッドの端に座って、



「どっちでもよくないです~。 あなたがすっごい強引だったから・・」

志藤に文句を言った。



彼はゆっくりと身体を起こして、



「たいていの女なら。 あのくらいで堕ちるんやけどな、」

と、ふっと笑った。



「そーゆー自信満々なとこも。 ちょっと腹立ってたんですけど。」



そう言う彼女の背中に手をやって、そっとキスをした。




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もう

ダメだ・・・。




志藤は演奏の途中で、そっと部屋を出てしまった。

ゆうこは不思議そうな顔で彼を見送る。



朝から灰色の重い空の色であったが、雨がいつのまにかに霙になって。

本当に寒くて、練習スタジオを出ると白い息が出る。




出てすぐのところの

ベンチにそのまま腰掛けた。



どのくらいぼんやりしていたのか。

霙は雪に変わってきた。



「・・カゼをひきます。」



その声で我に返った。


ゆうこはそっとカサを差し出した。

志藤はまだボーっとしたままだった。




「志藤さん?」



彼の様子がおかしいので、少し顔を覗き込む。


志藤はスッと立ち上がった。




え・・・。




カサが手から落ちた。


志藤はゆうこを抱きしめた。




冷たい・・・。




雨と雪に濡れた彼の髪が頬に触れる。




自分の心の中にずうっとぽっかり空いていた



その穴は

奈緒以外に

もう埋めることはできないんじゃないかと思っていた。


だから

一生、誰かを心から愛するなんて

できないと思っていた。




抱きしめられたゆうこは

この前同じことをしてきたときとは

全く違うものを彼に感じていた。




抱きしめているのに


なんだか

抱きしめて欲しいみたいに。




寂しくて

たまらないみたいに。




ゆうこは何かに導かれるように

スッと彼の背中に手を回した。




「・・いっしょに・・」



彼のつぶやく声が聞こえる。



「え・・?」



「一緒に。 いてくれ・・」




聞いたことのないような

彼の泣きそうな声だった。



そして


彼のくちびるが


そっと触れた。






とうとう志藤はゆうこへの『最後の扉』を開けてしまったのでしょうか?


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