Lookin' for happiness(6) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

翌朝

志藤はわりと早く目が覚めた。



階下に降りていくと、ゆうこが縁側に座って仔犬を膝に抱いて遊んでいた。



「・・早いね、」

と声を掛けると、


「あ・・おはようございます。 昨日、あたしのお布団で寝かせてしまって。」

とニッコリ笑う。


「まだトイレのしつけもしてないし、」

志藤が言うと、



「ちょっとね~。 おもらししちゃいましたけど。 タオルに包んでたから平気でした。 まだ赤ちゃんだもんね~~。」


本当に愛しそうに顔を近づける。




彼女は

こういう母性に溢れた人だ。


彼女の周りだけ

ゆったりとした空気が流れて。



志藤は朝日にまぶしそうに手をかざして外を見た。




朝食に出してもらった食事も

本当に美味しかった。


「ほんと・・美味いですね。」

志藤はまた母の料理を褒めた。


「ほんと嬉しいねえ。 いつでもこんなのならごちそうするし。 また来てね。」

母は嬉しそうに言った。



「そんな気軽に誘って。 もう、」

ゆうこは恥ずかしそうに味噌汁を飲みながら言う。




二人は車に乗って出勤することになった。



「朝帰りって思われるかな、」



志藤は笑う。


「ちょっと・・洒落になんないですから・・」

膨れるゆうこに


「冗談やって。 ちょっと離れたところできみを下ろすから。」

と、また笑う。




「にぎやかで、いい家族だな、」

志藤はポツリと言った。


「そーですか? ほんと毎日騒がしくて・・・」


「きみがね、こうやってあったかい家庭で大事に育てられたんだってわかったよ・・」

ポツリと言った。



「志藤さんの家族は?」



ゆうこは逆に聞いた。



「ウチは京都の嵐山で。 両親は和菓子屋をやってる。 ちっさいとこやけど。」


「へえ・・」


ちょっと意外だった。



「おれは一人っ子やし。 親は店で忙しかったから・・・あんまりああいう賑やかなメシとかはなかったなあ。 もう高校で家を出て、大阪の音高に通うことになってしまったし。 親と毎日過ごしていたのなんて・・たったの15年やし、」


「そうですかあ・・・」



「お兄さんたちだって、いい年なのに実家を離れずに住んでるんだから・・やっぱりいい家なんだよ。」


「志藤さんのお母さまも。 明るくて若々しくて・・ステキな人でしたね。」

ゆうこがクスっと笑うと、



「ウチはね。 オフクロがひとりでしゃべってる。 オヤジはまあ・・無口で絵に描いたような職人って感じの人やし。」


「どちらに似てるんですか? 志藤さんは。」


「え? 顔は・・・オヤジかなあ。 性格はどーやろ。 あんなしゃべらへんもん、おれ。」

志藤は笑った。




こんなに

彼と普通の会話ができるなんて

思いもしなかった。




この人がこんなに

素直に自分のことを話してくれることも

初めてだし。




彼の関西弁が

本当に優しい。





「名前は、決めたの?」



志藤はゆうこに言った。


「え?」


「仔犬の、」



「ああ・・・。 『ハッピー』にしました。」

ゆうこは笑う。



「ハッピー? あれ、オスやったんかな、メス?」


「男の子でした。 かわいいでしょう? 『ハッピー』って。 お母ちゃんでちゃんと面倒みられるか、ちょっと心配。」

仔犬の話をする時のゆうこは本当に嬉しそうに笑う。




よかった。




彼女に少しでも笑顔を取り戻してもらえて、志藤はほっとしていた。




仔犬のおかげでゆうこに笑顔が戻り、ホッとする志藤でした。


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