Only as for your eyes(7) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「こんなに持てないよぉ・・・」


「だって会社のみなさんにお土産なんだから。 あんたのじゃないよ。 あと高宮さんとこも。何人くらいいるの?」

母は帰京する二人に思いっきり荷物を持たせた。


「ほんと、もうこれくらいで、」

高宮もさすがに遠慮した。


「あ、あと『ひじき』もあるよ。」

と、入れようとしたので、


「東京で買えっから、」

夏希はため息をついた。



「本当にありがとうございました。」

駅まで送ってくれた夏希の母に高宮は頭を下げた。


「こんなトコでよかったら、いつでもおいで。 なんもないけど。」


「いえ、なんか、生き返ったって言うか。 すっごく気持ちが軽くなって、」



高宮は妹の結婚式に出席を断られた日から今日まで、ずっと何か重々しいものが心にあった。


夏希を傷つけてしまったことも。



高宮の笑顔に母も安心したように、

「そう。 まあ、仕事も大変だろうけど。 頑張ってね。」

と言った。



二人が電車に乗り込んだ頃、高宮の携帯が鳴る。



メール?



見慣れぬアドレスだった。

夏希の母からだった。



『高宮さんが悩んだり困ったりした時に、夏希が役に立つかはわからないけれど。 もし、あの子がいることで少しでも心が安らぐのであれば、あたしも少しは役に立てたかなって思います。 夏希のことは焦らずに考えてやってください。 人間的にまだまだ未熟な子なので、一人前に仕事ができるようになって、その日まで高宮さんがまだあの子のことを思ってくれていたら、その時は真剣に考えてやってください。 あんたたちはまだまだ若い。焦る必要なんかこれっぽっちもないんだよ。』



長く

温かいメールだった。



『まだまだこんなことを言うのは早い、と口にしませんでしたが、ぼくはずっと夏希と一緒にいたいと思っています。一生、彼女と生きていきたい。 色んな心配はおありでしょうが、彼女となら全てを許しあっていけると信じていますから。だけど、夏希はぼくのそんな気持ちにはとうてい気づいていないようなので、今はこうしてつきあっていきたいと思っています。彼女がぼくの気持ちを自然に受け入れてくれるときまで、』



夏希の母はその返事を家に戻って見ていた。



彼の気持ちは自分の思っていた通りだった。

あの子との将来まできちんと考えてくれている。


嬉しいような、不安なような。

ずっと同じ気持ちの繰り返しだった。



「じゃあ、また明日ね。」

東京に戻ってマンションの前まで送ってもらって夏希は彼と別れた。


「うん、」

小さく手を振る。



なんか

すっごく

さびしい・・。



こんなにずうっと一緒だったことなかったし。



一人の部屋に戻ると、

いつも帰省したあとに感じる寂しさとは全く別の寂しさが渦巻く。


だんだんと

彼が隣にいるのが当たり前になって。

一緒にいるのが普通になって。

夏希はコテっとテーブルに顔をくっつけた。



いつの間にか

彼に抱かれることも

期待して。



「おはようございま~す!」

翌朝、夏希が元気に出勤すると、


「おはよ、て、なに? ・・・ニホンゴワカリマスカ~?」

志藤が夏希を見て笑いながら言った。


「はあ??」


「って感じやぞ。 めっちゃ灼けてんなァ~、」


「ま、夏ですからね。 コレ、母が持たせてくれたお土産です。 ほんっと重かった。 みなさんにも、」

夏希はテキパキと持ってきた土産をみんなの数だけ振り分けた。



その後、志藤は秘書課に行くと、

「おまえも嫌味なほど灼けてるな、」

高宮を見て開口一番そう言った。


「・・気にしてるんで、それ以上言わないでください。」

恥ずかしそうに顔を隠しながら言う。


「加瀬も東南アジア系みたいになってたぞ、」


「はあ、」


「まあ、楽しいバカンスが目に浮かぶし。 良かったなあ、」

ウンウンとうなずく。


「ニヤつくのやめてください。」

恥ずかしそうに背を向けた。




そこに

「あ、高宮さん。 お休みの間に、想宝の社長秘書の宮沢さんから電話があって。 例の契約の原案、まだですかって、」


秘書課の女子社員にそう言われ、メモを見せられたとたん、高宮の顔色が一変した。



「あ・・・」



休みの1ヶ月前くらいにお盆明けにって言ったんだっけ・・・。

すっかり忘れてた!!



いきなり慌て始める。

しかも



書類がない!!



デスクを漁り始めた。


もうパニックだった。



社長はまだ休暇中だし、

こんなん忘れておれは図々しく休みに入っていたのか!



自分が恥ずかしくてどうしようもない。



「ほんっと! 申し訳ありませんでした!!」



映画配給会社・想宝の社長秘書、宮沢アカリにすぐに電話をした。



「まだウチの社長も北都社長がお休みから出てこられるまではこの話を進められないことはわかっているので、」

彼女は困ったようにそう言った。


「しかも、書類の下書きを紛失して・・・」

さらに申し訳なさそうに言う高宮に、


「え・・・」

さすがに彼女も呆れてしまった。



「言い訳はしたくないんですが、ちょっと、煩雑なことばかり続いて。」



「大丈夫です。 私、メモ程度のものなら取ってありますから、それをもとに、」

彼女が明るく言ってくれたので、



「あ、ありがとうございます!!」

その声が天使のもののように聞こえた。



夏休みを終えて帰ってきた高宮にいきなりトラブルが降りかかります・・

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