With you(13) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

その後、おかずを持ってきてくれた萌香に報告した。


「え、きたの? よかったわねえ、」


「はあ、なんか、あっさりと。 ホッとしました。」

夏希は彼女にコーヒーを淹れた。


「ほんと女性の体ってデリケートやし、」


「あたしも女だったんだなあって。 女性ホルモンがあったんだァって感じ。」


「何を言うてるの、」

萌香は笑った。



ふっと彼女の部屋を見回すと、

部屋に男物のTシャツやハーパンが干してあったり

彼女が絶対に読まないような経済誌が置いてあったり。

ここに彼が来ているという空気がぷんぷんしていた。



「高宮さん、よく来るの?」

とその雑誌を手に取った。


「えっ・・・」

夏希は動揺丸出しにドキっとした。


「よくってわけじゃないですけど。まあ・・3日に1度くらいは・・・」

恥ずかしそうに言う。


「斯波さんと会っちゃうのが・・・ヤみたいで、」

申し訳なさそうに言った。


「ほんま、しょうのない人。 ごめんなさいね、」


「いえ、心配してくれてるの、わかりますから。 だから、まあ、ほとんどあたしが隆ちゃんのトコに、」



「隆ちゃん?」

萌香はそこに食いついた。


「え、あっと、高宮さんのことです。」


「あ・・・・は、そやな、」

ひきつって笑った。



隆ちゃん・・・・。



この短期間にすごい勢いで距離が縮んでる

ほとんど向こうに行ってるってことは

だいたい、どちらかの家で毎日のように過ごしてるってことよね。



萌香もなんだか想像してしまった。


「今日、ゆかたを買ってもらってしまって、」


「え? ゆかた? 例のイベントの?」


「はい、」

夏希は紙袋から出してみた。



「わあ、すっごいキレイな柄。めっちゃかわいいやん。 これ、巾着もおそろいで。」


「ひとそろえ買ってもらっちゃって、」


「高宮さんに?」


「はあ。 なんかけっこうしたし。 いいのかなあって。」



夏希の食費まで面倒みたいと言っていたという高宮のことを思い出す。


「まあ、ええやん。 ありがたく頂いておいたら? きっと高宮さんも買ってあげてかったんやと思うし、」

にっこりと笑った。


「はあ・・・で。 すんごいいい柄のがあったんですよぉ!」


「え?」



「なんか知らないけど、小さいイモリがあしらってあって、」



「イモリ????」



「も、なんかそれが気になって気になって。 それにしたいなあって思ったんですけど。 隆ちゃんがそれだけにはしないでくれって、」


萌香は飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになってしまった。


大笑いをして、

「そ、そりゃね、イモリはね、」


高宮に同情してしまった。



「でも、ほんっと、絶対にありえないような柄だったんですよ、」


「あたしがカレシやっても、止めるわ、」



ほんまにもう

カワイイなあ・・。



萌香はツボに入ってしまった。



斯波がいつも口うるさく心配しているので、表立って言わないが、萌香も密かに夏希たちのことは心配していた。

もう立派な大人の二人のつきあいのはずなのに、あまりにも彼女が危なっかしくて見ていられない。



人徳?

ってわけじゃないけど。

ほんまに

妹みたいで



いつもいつも夏希のことを優しく見守っていた。




「隆ちゃん、夏休みは?」

夏希は高宮とお好み焼き屋に食事に行った。


「え、別に。 社長が12日から18日まで休むから、その中で休んでいいよって、言われてるけど、」

ちょっとつまらなそうに言う。



そうかあ、別に実家に帰るとかじゃないしね



夏希はちょっとかわいそうになってきた。


「友達とかも、おれ中学卒業してからアメリカだったから、あんまり今でもつきあってるヤツっていないし。 することないから仕事してよっかなって、」


「そうですかあ、」


「実家は? いつまで?」


「いっぱい休んじゃったし、どーしようかなって思ったんですけど。 斯波さんがキチンと帰るようにって言ってくれて。 12日から14日まで。 お中日まではちょっといられないんですけど。 八神さんも帰るって言うんで、あんまり重ならないように、」



「そっか、」



少しの沈黙の後、



「あの、」



夏希が言った。


「え・・?」



「よかったら。 いわきに来ませんか?」



思いもかけない申し出だった。



高宮がびっくりしたような顔をしているのにハッとして、



「そんな、意味はないいんですけど! ほんっと、田舎でなんもないし! 海とかくらいで、後は花火大会とか。そんくらいで! ただの田舎なんですけど!」

夏希はどんどん言い訳のようなものをしてしまった。



それに尽きて、ふっと彼を見ると、



「いいの?」

彼はものすごい真剣な顔で言ってきた。



「え、ええ。 い、嫌だったら無理しなくっていいんですけど、」


「嫌じゃないけど。 むしろ、嬉しいってゆーか、」


「ほんとに?」


「うん。 でも、いいのかな、」


「え、ぜんっぜんOKですよぉ。 あたし、大学の時は毎年、東京の友達を連れて帰ってましたから!」

夏希はぱあっと明るい顔になったが、



「あ、友達・・?」



高宮は1本、なにかが切れたような・・・・。

ガッカリする彼に気づかず、夏希は



「お母さんにも電話しておきますね、」

とにっこり笑う。



「あ、おれ、ホテルとるし、」


「え、いいですよ。 ウチに泊まってください。」

あまりにも普通に言われてドキっとした。



「や、いくらなんでもそれは悪いし。」


「平気、平気。 ウチのお母さん見ればわかるでしょ? にぎやかなのが大好きで、人が来るのも大好きだから。何かごちそう用意してもらおう、」



ニコニコと嬉しそうに言う。


高宮は嬉しかったのだが、友達と同等の扱いがちょっと気になった・・・・。


自分の田舎に来ないか、と言われて喜ぶ高宮ですが、果たして夏希は・・

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