Smile again(15) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

夏希が会社を休んでから1週間が経った。


少しずつ家の中で体を動かせるようになり、食事も少しずつだがきちんと採れるようになった。

そうじをしたり、マンガを読んだり、DVDを見たりという余裕も出てきた。


そうすると

外のコンビニに行ったり、スーパーで買い物も行かれるようになった。



もう・・・・

夏なんだ。



外の空気を吸うと実感できる。



なんだか

夢の中みたいに時間が過ぎたな。



青い空を見上げる。



野球・・したいな。



こんな風に思えるのも久しぶりだった。



「あれ? 夏希先輩、」

後輩の練習の手伝いは2ヶ月ぶりくらいだった。


「会社クビになったんですかあ?」



平日の今日、現れた夏希にみんなからかった。


「なってないよ。 ちょっと、お休みもらって、」

と、ごまかした。


「ま、でも大歓迎です。 どうぞ!」

と、後輩にグラウンドに招かれた。



「ちょっと打ってみるか?」

監督にバットを手渡された。


「え? いいんですか?」


「この前の春の大会。 伊藤がいいピッチングしてな。」


「ああ・・・」


マウンドにいる2つ年下の彼女は、夏希が4年生でエースだった頃はひ弱で中継ぎピッチャーもできないくらいだった。


「決勝で1安打完封したんだよ。」


「へえ、すごーい。 あの、伊藤が。」

何だか感無量だった。


「先輩、おねがいします!」

帽子を取って挨拶をされて、


「よし・・・!」

夏希は俄然やる気になってきた。



素振りを2、3度した。

そしてヘルメットを被って打席に立つ。



初球。



え・・・・・。



内角にズバっときた。


「ストライク!」

コーチが手を挙げてニヤっと笑う。



速い。

手、出なかった・。



たまに練習に来ていたが、彼女と対戦するのは初めてで。



夏希は驚いた。



よし!



やっとゴハンが食べれるようになって、全く本調子ではなかったが、野球のことになるとものすごい集中する。


気合を入れなおし、次の球を待つ。

さっきよりは少し真ん中よりのストレートが来たので、



もらった!



とバットを出すが、スカっと見事な空振りをしてしまい、しかもよろけてバッターボックスを出てしまった。


「へっ?」

驚いてキャッチャーミットに収まった球を見た。



か、空振り?



「よろけてるぞ、」

コーチは笑う。


「ゆ、油断しただけです。」


負けずきらいの彼女はそう言った。


そして、最後に彼女はもっと速い球で外角にズバっと来た。

ボール気味だったのに、思わず手が出てあえなく三振・・・・・。



後輩たちは歓声をあげる。



う、うっそ~~!!



すごいショックだった。


「やった! 夏希先輩から三振とっちゃった!」

エースはマウンドで小躍りして喜んだ。



「はあああああ。 なんっか・・年とっちゃったかなあ・・」

夏希がため息をつくと、



「社会人になった証拠だろ?」



監督が笑う。



「え?」


「仕事するようになっても、現役に負けないようじゃ。 一人前の社会人じゃないよ。 おまえも大人になったんだ、」



「大人・・・?」



夏希はその言葉に少しびっくりしたように呆然とした。



「もう野球の技術うんぬんじゃない。 野球やっていたときの根性は忘れて欲しくないけど。 きちんと仕事を頑張って欲しいかな。」

恩師の言葉は胸にしみた。



夏の太陽が照りつける。


その言葉が

少しずつ少しずつ夏希の気持ちが動かしていく。






高宮は外出から戻り、エレベーターに乗ろうとすると後から斯波が駆け込んできた。



「あ・・・」



高宮は一瞬、絶句してしまった。

斯波も彼も見て、少し顔を険しくした。



「・・・・」



ちょっとだけ会釈をして

あとは何を話していいかわからない。


エレベーターで二人きりになって、高宮はいたたまれなかった。


斯波は黙っていたが、降りる瞬間



「おれはな・・・」




と急に話しかけてきた。



「南や萌は、高宮には余計なこと言うなって言ったけど。 おれは同じ男としておまえが、許せない。」



いつものように

鋭い目で高宮に言い放った。


「斯波さん、」



「おまえにもつらいことがあったのかもしれなし。 でも、あいつには、あいつにだけは、そんなんして欲しくなかった。 ほんっと、何も知らない子だったのに。 いっくら、あいつがおまえのことを好きでも。 おれが親ならおまえをぶん殴る。」



落ち着いていたが激しい口調だった。



夏希はもう自分が学生時代に戻れないことを思い知ります。 そして斯波は高宮に・・??

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