Smile again(9) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

もし

こんなことが知れたら。


高宮さんが

責められる。



高宮さんが

悪く言われちゃう。



夏希は胸がどんどん痛んできた。

彼の行動が理解できない反面、自分が男性を理解できない幼さが悪いのかもしれない、と思っていた。



あたしが

こんなだと

高宮さんが・・・。



あたしが・・・いけないのに。

あたしが、子供だから。



「な・・なんでも、ないです。 ほんっと体の調子が悪いだけで。 高宮さんとも何でもないです。 明日はちゃんと行きますから。 すみません、心配をかけてしまって、」

夏希は笑顔を作ろうとするが、顔がこわばって笑えない。



加瀬さん・・・・



萌香は彼女が無理していることが手に取るようにわかった。


「本当に大丈夫です。 ゴハンも食べるし、」

少しだけ笑った。



自分たちの部屋に戻った萌香と斯波は食事中も無言だった。

二人とも同じことを考えていた。



何でもないわけない・・。



あのひまわりのような笑顔が

消えた。



夏希は翌日、自分を奮い立たせるように何とか会社にやってきた。



本当は

満員電車も

怖かった。

男の人と体が触れるたびに、心臓がドキドキして汗が吹き出た。




事業部のドアを開ける前に深呼吸をし、


「おはようございまーす!」

大きな声を出してみた。


「あ・・おはよ、」

八神はことのほか元気だった夏希に驚く。


「すみません、急に休んだりして。 ちょっと食べ過ぎて胃腸がおかしくなっちゃったみたいで。」

と笑った。


「なんだよ・・。 ほんっと倒れるからどうしたのかと思った、」

八神もホッとした。



あれから高宮から携帯に何通もメールが来ていたが開くことができなかった。

もちろん、電話も・・・。



「なんもないって?」

南は萌香から話を聞いて首をかしげる。


「なんか・・・清四郎さんがいたから、言えなかったのかも、」


「しゃあないなあ。 斯波ちゃんも。 加瀬の保護者って自分で思っちゃってるし。 特に高宮のことは、斯波ちゃん、あんまり納得してなかったしね、」


「加瀬さん、高宮さんがNYに行ってることも知らなかったし、」


「ほんま?」


「やっぱり、不自然かなって、」



南はう~~ん、と考え込んだ。

「でもなんか。 踏み込んでいいのか・・微妙な感じがして、」


萌香の言葉に南も頷く。


「あたしも・・・なんかそんな感じする。」



「あ~~、加瀬! バッカで~~! これ、漢字間違ってる~!」

八神が大声でからかう。


「え?」


「頂きます、が致きます、になってるし! なんて読むんだって!」

と笑った。



夏希はその書類を手にとって、うつむく。

八神がふいっと彼女を見上げると・・・



「えっ!!」

ぎょっとした。

夏希は大粒の涙をポロポロとこぼしている。



「なっ・・・えっ???」

みんなその異変に気づいた。


「泣かすなよ、」

玉田がボソっと言った。


「え?? なに? なんで?? え、こんなんで泣くかよ・・・」

八神はオロオロした。


「八神、なにしてんの、」

南が心配そうに近寄る。


「や・・漢字間違ってるよって・・・」


「ことさらデカい声で言ってたじゃん。」

玉田が言った。


「ち・・ちがっ! だって、いつもならこんなの・・ぜんぜん! おい! 何とか言ってくれ!」


八神は夏希の腕をぎゅっと掴んだ時、彼女の中で何かがブチ切れた。



「や・・・・」



怯えるように首を左右に振りながら、ドスンと壁に背中をついた。



「加瀬?」

南はその異様な様子に気づいた。



「いや・・」

夏希はどんどん涙が溢れてしまった。



そして

気が遠くなる。

そのまま、どっと倒れてしまった。



その時、脇机に額をぶつけてしまい、すごい音がする。



「加瀬っ!!」

南が慌てて抱き起こしたが、完全に意識を失っているようだった。


「加瀬さん!!」

萌香も駆け寄る。


八神も玉田もどうしていいかわらからず呆然とし。



「お、重い・・」

八神は気を失った夏希を負ぶって慌てて事業部を出る。


秘書課から出てきた志藤は偶然それに遭遇し、

「ど、どないしてん、」

驚いた。


「わ、わかんないんですけど! いきなり倒れて!」


「倒れた?」

南が夏希がぶつけた額をハンカチで押さえる。

血が滲んでいた。


「説明は後で! 今、救急車呼んだから!」



いったいどないなってんねん・・・。



ここ1週間ほど取締役の仕事が忙しく、事業部の様子がわからなかった志藤は唖然とし・・・・。



無理をして会社にやって来た夏希でしたが、ついに倒れてしまいます・・

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