A heart to believe(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

遠回りして

マンションまで送ってくれた。



「あ・・そうだ。」

マンションの前まで来て夏希は思い出したように、バッグからごそごそと長細い包みを出した。


「これを、」

恥ずかしそうに高宮に差し出す。


「え・・」


「いっつもなんかもらっちゃったり。 ごちそうしてもらったり。 ていうか。 あたし高宮さんのお誕生日も年も知らなかったし、」


「・・・?」


「だから。 き、気に入ってもらえるかどうかわからないですけど、」

自信なさげに彼を見やった。


「あけて、いい?」

街灯の下で包みを開けた。



「えっ・・」

思わず絶句してしまった。



・・・・なぜか。

『ゼンマイ』柄のネクタイが。



「こ、これは・・」



高宮は目を凝らして凝視した。


夏希は得意そうに、

「変わってるでしょ~?もう、なんかあたし一目ぼれしちゃって! 一見、ペイズリーなんだけど! よく見ると『ゼンマイ』なんですよぉ・・」

とはしゃいだ。



ゼンマイ・・



なぜ、

ゼンマイ・・・。



高宮は自分の頭の中がシダ植物でいっぱいになってしまった。



「遠くから見ると何だかわからないんですけど~。 近くで見るとゼンマイってすごくないですかぁ?」


どんどんおかしくなってきた。



そして堪えきれず、ぷっと吹き出した。


「え、ダメですか?」

いきなりテンションが下がり始めた。


「い、いや。 ゼンマイは考えつかなかったなあ、」

笑い続ける高宮に



どうしよう・・・ぜんぜん、ダメかなあ・・


そーだよね。

高宮さん、すっごいおしゃれだし。

やっちゃったかなあ。



夏希は肩を落とした。



しかし

「ありがと。 早速、明日していくよ。 ウン、嬉しい。」

高宮は笑顔で言った。


「ほんとに・・?」


「うん、」

彼の笑顔に夏希はホッとしてうつむいて笑顔を見せた。



その時

高宮は、ばばっと周囲をすばやく見て、左手を彼女の右肩にかけてスっとキスをした。



え・・・・。



驚いた。




「じゃあね、」

高宮はにっこり笑って手を振って行ってしまった。


夏希は呆然と立ち尽くしてしまう。



今・・・・。

心臓じゃないところが。

ドキンとした。


どこって

わかんないけど。



はああああああ。



溢れる気持ちがため息に変わる。




ぼーっとしてエントランスに向かうと

「加瀬さん、」


後ろから声をかけられてドキンとした。


「今、帰り?」

萌香だった。


「え・・・あ、はあ、」


「私は今日はお休みだったから。 ちょっとコンビニまで。」



まさか

見られてなかったよね。



夏希はドキドキして萌香の表情を伺ってしまった。


「どうしたの?」


「いえ・・」


「そう言えば。 今日、高宮さん帰ってきたんでしょ?」

いきなり彼の名前を出されて驚いた。


「えっ!」

つい過剰に反応してしまった。


「え、違った?」

萌香のほうがびっくりしてしまった。


「いえ、そうですけど。 さっき、一緒に・・食事をして、」

恥ずかしそうに目をそらす。


「そう、」

萌香はにっこり笑った。



「で、でも! そんだけですから・・」

ムキになって言う彼女に、


「そんだけって・・」


「ほんっと、何も。」

エレベーターの中で萌香に背を向けてしまった。



どーしたんやろ。

顔、真っ赤やし。



「お・・おやすみなさい。」

夏希は視線も合わさずに、自分の部屋に帰ってしまった。



すっごい

ドキドキが止まらない・・。



高宮さんのことを考えるだけで。



今までこんな気持ちになったことなかった。



高宮は

自分の部屋に戻って、その

『ゼンマイ』柄のネクタイを手に取り、よ~~~く見た。



ふざけた柄だけど。



裏のタグを見ると

それなりのブランドで。



高かっただろうな・・・。



そう思ったとき、ハッとした。



高宮は夏希がプレゼントしてくれた不思議なネクタイをつくづく見て・・

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