Nobody else(16) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

やってもやっても

終わる仕事ではないのだ。


わかっていても。

あと10日で区切りをつけなくてはならない。



高宮が大阪にいられる日が

終わりに近づくと、理沙に引き継ぐ仕事がてんこもりで。

二人は毎日夜遅くまで残業していた。



「今日は早く帰ったほうがいいよ、」

高宮は時計を見た。


「まだ8時ですから。 もう少し。」

理沙はパソコンに向かいながら言った。


「・・あんまり遅くなると心配だから。 水谷さん一人暮らしだし。 もういいよ。 今日はホント、」

と言われて、理沙は仕方なくパソコンに打ち込んでいた文書をセーブした。



「メシ、奢ろうか。」



帰り際彼女にそう言った。



「え、」


「ほんと。 毎日よくやってくれてるから、」



いつわりない気持ちだった。

年が明けてから、彼女は本当に毎日頑張っていた。


「・・はい、」

理沙は静かにそう言って頷いた。




「もうすぐですね。」

理沙は高宮と向かい合ってワインを飲んでいた。


「ウン。 早いな。 ここに来た時は半年先がとてつもなく長く感じたけど。 今は時間が足りないくらいな気がして。」



ホテルの20階にあるこのレストランは

大阪の夜景が一望できる。



「だけど。 今はここへ来れて良かった気がする。」


「え?」



「ほんと色んなこと経験できたし。 あのままずっと東京にいたら、できなかった経験ばっかりで。 今まで生きてきた中でほんとに濃い半年だったと思うよ。」



いつもいつも

涼しい顔で仕事をこなして。

何でもソツなくやってきたように見えた高宮が

そんなことを考えていただなんて理沙には意外だった。



「戻ったら・・社長秘書ですね。」

理沙は静かな笑顔で言った。


「社長秘書でも、今までと同じだよ。」



彼の笑顔が

ちょっとだけ心に痛かった。



そう

この大阪での半年の時間がなかったら。

夏希との関係も

ずっと進まなかったような気がする。



お互いの

あやふやな気持ちを

確認できる時間だった。

そばにいたら

きっとわからなかった。





夏希は南と買い物に来ていた。



まあ

夏希のほうはお金がないので

ショッピングできる余裕はないのだが、南が新しいバッグを買いたいと言うのでついてきただけだった。


南があれだこれだとバッグを選んでいる間。

夏希は暇そうに他の売り場をウロウロしていた。



ネクタイ売り場の前で、なにやら考え込んでしまった。



「なに? ネクタイ?」

いきなり後ろに南がいたので驚いた。


「えっ!」


「あ、高宮に? 誕生日プレゼントとか?」

とからかうと、


「へ・・・」

夏希は呆けた顔になってしまった。


「た、誕生日・・?」


「違うの? それとも無事に帰還記念のプレゼント?」


「たっ・・・誕生日って。 いつなんでしょう、」


「はあ? あんた高宮の誕生日も知らないの?」

呆れてしまった。



ぜんっぜん

考えたこともなかった・・・。



自分の誕生日には

ちゃっかりプレゼントまでもらっていたのに!!



夏希は激しく落ち込んだ。


「ま。そんなプレゼント欲しいとかの年でもないやろし、」

励ますつもりで言ったが、


「は??」

また夏希はびっくりしたように南を見た。



「まさか・・・年も知らないとか?」



彼女の顔に

書いてある・・・。



「それはちょっとどうかと思うで。 あんたのカレシやろ???」


「と、年なんか。あんまり気にしたことなくって。 み、南さんよりは年下ですよね?」


「あったりまえやん。 高宮、まだ30前やで? 八神よりも若いよ。 萌ちゃんと同じって聴いたけど?」


「28くらい、ですか?」


「そんなもんちゃうの? あたしも高宮に詳しいわけやないからわからへんけど。」


「そう、なんだ・・・・」



ほんと

あんまり高宮さんのこと

知らなかったなあ。



「け、血液型は・・」

と言い出し、


「も~、知らんて!」

南は夏希の背中を叩いた。





「私は、高宮さんと出会って。 きちんと自分の仕事と向き合えるようになりました。 入社してからずっとわけがわからないまま毎日を過ごして。 もっともっと自信を持ってやっていかなくちゃならないのに。」


理沙は高宮の目を真っ直ぐに見た。


「ウン・・・。」



半年前

いつもオドオドしていた彼女の顔を思い出す。



もう、

おれなんかいなくても大丈夫だ。



「また・・・東京に行くこともあると思いますので。 いろいろ教えてください、」



理沙は本心からそう言うことができた。



夏希はいつものようにあまりに抜けておりました・・

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