Fine Tomorrow(15) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

そのころ

高宮は・・・



「お! おれのかち~~!」

竜生がゲーム機を持ち出してきて、高宮に相手をせがんでいた。


「おじさん、おとななのによわいね、」



コイツ、ひとこと多いんだよ!



「おじさんじゃねーよ・・・おれはまだ27だ!」

ささやかな抵抗をした。



すると真鈴がトコトコとやってきて、

「ほん~~。」

高宮の服を引っ張って本を持ってくる。


「はあ?本~?」


「よんでやらねーと、なくぞ。」

またそう脅されて、



「じゃあ、おまえが読んでやれ!」

子供相手ということを忘れてそう言い放った。



「おれ、字、よめないも~~ん。 しかも、にほんごよくわかんないし~。」


「はあ?」


「おれ、うまれてからほとんどウイーンにいたんだもん。」


「ウイーン?」


「まりんがおおきくなったから、パパとママはふたりでウイーンにいくようになったんだ。」



こんな小さいのに

両親と1年のほとんどを離れて過ごしている。



ま、かわいそーっちゃ、かわいそうだけど。





「そのとき、メロンパンは・・・」

仕方なく真鈴を膝の上に乗せて本を読んでやっていると、


「メロンパンじゃなくて、メロンパンナだろ? ちゃんとよめ!」


また竜生のつっこみが入り、


「うるせえ! その辺は自己処理しろ!」

高宮は思わず大人相手のように竜生に文句を言った。





「ただいま~~。」

南と真太郎が帰ってきて、高宮は心底ホッとした。


「あ、おっかえり~~!」

二人は高宮からパッと離れて飛びついた。



「はああああ、やっと離れた・・・・」

脱力してしまった。


「高宮くん、ご苦労さま。 なんか子守までさせちゃってごめんね、」

真太郎がそう言ったので、慌てて立ち上がろうとして、


「い、いででっ・・・」

足がズキンと痛んでまた座る。


「ああ、座ってていいから。」


「す、すみません・・なんか妙なことになってしまって、ごやっかいになります、」

と頭を下げた。


「まあ、ゆっくりしていって。 ほんとこいつらがいてうるさいだろうけど。」

真太郎はそう言ってにっこり笑った。



ほんっと

こいつらをなんとかしてください!

心でそう言った。



そのとき、

「あ! ナッキーだ!」

竜生が叫んだ。



「え・・・」



その方向を見ると、夏希が恥ずかしそうにドアのところで立っていた。


「加瀬・・さん・・」


「ああ、うちで一緒にゴハンでもどう?って。 誘ったの。」

南は言った。


「お・・・おじゃまします。」

高宮の顔が恥ずかしくて見られなかった。


「ナッキー!」

真鈴も彼女に抱きつく。


「真鈴ちゃん、こんばんは。 おいで、」

夏希にすっかり慣れた真鈴を抱っこした。


「ナッキー、ゲームやろ。 この前のカートのつづき! このおじさん、よわいからおもしろくない、」

竜生もべったりだった。


「だから、おじさんじゃねーって!」

高宮は小声でつっこんだ。





みんなで食事を採ったあと、夏希は高宮に用意してもらったゲストルームに行って二人で話をした。



「熱は下がったんですか?」


「うん、なんとか。 まだ足はズキズキするんだけど。 足にギブスなんか初めてだから・・。 重くて大変だね、コレ・・」


「すみません、」

夏希はまた謝ってしまった。


「ああ、それはもういいから。 ほんと、原因を辿ればおれだし。」

高宮は苦笑いをした。



「こちらにはいつまでいるんですか?」


「元旦の日に長野に行く。 それで3日の妹の結納が終わったら、直接大阪に帰るよ。」



「そう、ですか。」



胸が少しだけ痛かった。



「ま、妹のめでたい席とはいえ。 気が進まないけどね。」


「え・・?」


「実際、結納で妹の婿を後援会や地元の人に紹介するってことは、オヤジの跡を継ぐことを意味してるし。そこでおれがいても、色々うるさいだけだし。 この怪我にかこつけて、行くのやめようかって思ったり。」

うつむく彼に、


「でも、妹さんは待ってるんじゃないですか? ううん、きっと待ってます。 妹さんがこの結婚で幸せになるのなら・・・そういう場にはお兄さんにいて欲しいと思うと思うんです、」

夏希は高宮を見た。



妹の

幸せ。



高宮は妹・恵のことを思う。

自分のせいで結婚することになったわけではないが。

婿を取って政治家の妻になる道を選ばせてしまったのは、自分のわがままを貫き通したからなのだ。



「妹さんとは仲がいいんですよね?」


「うん。 けっこう連絡も取り合ってるし。 そうだな、恵の幸せは・・・祝ってやらないとな。」

高宮はそう言って隣に座る夏希に微笑みかけた。



彼女の漆黒のビー玉みたいな瞳に吸い込まれるように



そっと唇を寄せる。





「りゅうのすけ! みて! これクリアした!」

いきなりドアがバーンと開いて、小型ゲーム機を手にした竜生が入ってきた。


「わわっ・・・!!」

慌ててキスを空振りして、勢いベッドから転げ落ちた。


「なにやってんの、」

冷たいひとことを投げかけられ、


「いきなり入ってくんなっつーの!!」



あ~~

もう

ヤだ・・・・。



高宮がコケているのを見て、夏希は何だかおかしくなってぷっと吹き出した。



なかなかラブラブとはいかないようで・・

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