Fine Tomorrow(13) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

夏希が気分爽快になっていたころ。



「高宮さんが?」



斯波は上着を着ながら隣にやってきた。


「なんか熱があるみたい。 車で病院に連れて行くから。」



夏希は驚いて、


「あ、あたしも行きます、」

慌てて仕度をし始めた。



もう左足も着くことができないほど痛みが増していた。


「どーしよ・・・あたしのインフルエンザがうつっちゃったとかじゃないですよね、」


後部座席に高宮を介抱するように乗っていた夏希が言うと、



「うつるようなことするからだっ、」



斯波は怖い顔でルームミラーで彼女を睨んだ。



そりゃ

あんな涙だかハナ水だかわかんないようなのが入り混じったモンがくっついたまま

すっごい・・・キスしちゃったし。



夏希はゆうべのことをボーっと思い出して、また心臓がバクバクしてきた。



なんかもう・・・

初めてのことだらけで。



夏希はだんだんと嬉しい気持ちが沸きあがってきて、思わず一人でニヤけてしまった。




「あ~、折れてますね。 ココ、」

レントゲンを見た医師は、あっさりと言った。


「折れてる??」

高宮は寝不足と熱でぼーっとした頭を持ち上げた。


「くるぶしの上のとこ。 よく我慢したね・・・こんなの。」

と感心されるほどのわりと重症だった。


「熱もこの骨折からきてるみたいだから。 今、ギブスの用意します。」




「ほんっと・・・・」

夏希はもう顔を上げられなかった。


「す、すみません!!!」


「や・・・」

高宮は松葉杖姿でただ苦笑いをするだけだった。


「いったいどんだけの力でドア閉めたんだ、」

斯波も呆れた。


「も・・びっくりしちゃって。 なんか夢中で、」

夏希は彼に対して申し訳なくて申し訳なくて平謝りだった。



「天誅かもしれないからさ・・・」

高宮は力なく笑った。



「と、言うか。 おれ大阪に帰れなくなってしまいました。今日は年末のあいさつ回りに行くことになっているのに、」

高宮は仕事を思い出した。


「そんなんで行けるわけないだろ。 志藤さんになんとか取り繕ってもらおう。 あの人ならすぐいいわけ思いつきそうだし、」

斯波はため息をついて車のキーを取り出した。






「はあ? なに、もちょっとちゃんと説明しろや、」


志藤は機関銃のように説明する斯波の話の内容が理解できず、朝っぱらから起こされて機嫌が悪かった。


「ですから、高宮が加瀬に足を砕かれてですね・・」


「加瀬は大阪やろ?」



「だから! 今、説明したじゃないですか!」

話が進まなくてイライラする。





「え、なにその話、意味わかんない・・」


「そやろ? ったく、なんでおれがそんなことの尻拭いをせなあかんねん・・・」



出社した志藤は南にグチりながら大阪支社にした電話を切った。



「つまり、大阪から戻ってきた加瀬を追いかけて、また高宮がこっち来て・・・・。」

南は話を整理した。


「なんかしらんけど、もめて。 加瀬にドアを思いっきり閉められて足、骨折したんだって。 んで、高宮は大阪に帰れなくなって・・」



「あの二人、なにやってんの?」



南の疑問は最もだった。






「おはようございます!」

夏希は元気に何事もなかったかのように出社した。


「お、男を大阪までおっかけていった女。」

八神がからかうと、


「お・・おっかけていったって・・・・」

どぎまぎして言葉に詰まる。


すると、デスクワークをしていた斯波が、

「おまえ、このクソ忙しい時に4日も会社、休んだんだぞ。 ちっとは申し訳なさそうにしろ!」

と文句を言った。



確かに・・



夏希はしゅんとなって、



「ご迷惑をおかけして。 すみませんでした・・・」

神妙に謝った。


「で、高宮はどこにいるの?」


南が言うと、


「斯波さんのところに・・」


「実家、帰らないの?」


「高宮さん、あんまり・・ご両親とうまくいってないみたいで・・」

夏希はうつむきかげんに言う。


「そっか・・」

南は何かを考えているようだった。






「なんすか、いきなり・・」

高宮が寝込んでいる斯波の部屋に南はキーを借りて乗り込んだ。


「はい、んじゃあ。したくして。 てゆーか、そんな荷物もないか。」

周囲を見回した。


「どこ・・行くんですか。」

呆然とする彼に、



「え? あたしンとこ。」

南はにっこり笑った。



「はっ・・・????」



いきなりの展開に驚く。



「だってさあ。 ま、いちおうこの家も部屋数あって広いけど。 あんなラブラブカップルのトコに居候しづらいやろ? ウチはその点、いちおうもちょっと広いし。 ゲストルームもあるしね。」



勝手にコトを進める彼女に、


「ちょ、ちょっと待ってください、」

高宮は慌てた。


「あ、それとも加瀬んとこがよかった?」



「なっ・・・・・」



思わずのけぞった。



「まあ、そこまで進んでへんみたいやから。  ウチならいくらいてもいいよ。 正月も別にどっこも行かないしね・・」


「しかし、おれはそんなに会社を休むわけにも・・」


「ああ、それなら志藤ちゃんが適当に言ってくれたみたいよ。 芦田さんに。」


「は?」



「どーしても用事があって東京に戻ってきたら、駅のエスカレーターでコケて骨折したって。」


「はあ????」


「ま、理由なんかどーでもええやん。 ほら、車で来てるから。 行くよ。」




嵐のようにそう言って、高宮の背中を押した。


骨折した高宮は大阪に戻れなくなりましたが・・。 この騒ぎはまだまだ続きます・・

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