To meet you(14) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「あ~。 しんど。 もう休んでしまえばよかった、」

志藤は翌日の午後には大阪から戻ってきて、直接、出社した。


「お疲れさまでした、」

萌香がコーヒーを運んできた。


「お~、サンキュ。」


「お留守の間に事業部の方で、ムーンリバーミュージックの社長から真尋さんの今度のCDのことで連絡がありましたけど、」


「なんやって?」


「ジャケットの最終確認のことだったので、以前、会議の時にまとめておいた資料を持っていって確認してもらいましたから。」

とにっこり笑う。



「ありがと。 ほんま栗栖はおれがなんも言わなくても全部、わかっちゃってくれてるしなあ、」


「いえ。 本部長がいつもきちんと資料を整理していて下さるからです。」



手柄を自慢するわけでもなく。

萌香はサラリと言った。



ほんまに

彼女が秘書としてついてくれるようになって、仕事が格段にやりやすくなった。

煩雑な仕事は全部引き受けてくれるし。


気が利くし、なにより



連れて歩くのが、鼻が高いほど

キレイやし。



美人秘書って

いい響きや~~~。



ひとりニヤけてしまった。




それにしても

あのコ。



志藤は水谷理沙のことを思い出す。


高宮のことを

ほんまに頼り切ってて。

信頼してて。



あいつのこと

ほんまにうれしそーに・・・

話して。



あまりにわかりやすい乙女心に胸がきゅんとなってしまう。



高宮は

けっこうああ見えて、情が深かったりするし。


あんな

小動物みたいに守ってあげたくなってしまう彼女がいたら。


男なら

気持ちが揺らいでしまわないんやろか。



余計な心配を

ついついしてしまう。




「あ、本部長! おかえりなさーい。」

夏希が部屋に入ってきた。


「おまえは・・・ウチの娘か?」

笑ってしまった。


「は?」


「お父さん、おかえりなさーい、みたいな。」


「え~? じゃあ、何て言えばいいんですか、」

夏希はそんなことでウケる志藤に口を尖らせた。



「・・・高宮、めっちゃ頑張ってたで。」



彼に

彼女のことを伝えたように

そう言ってみた。



「え・・」

夏希は少しドキっとした。


「ほんま。 大変みたい。 大阪は人、こっちより少ないから。 秘書なんてほんま雑用もせなアカンから。 なんかげっそりしてたし。」


「だ、大丈夫なんでしょうか、」

何だか心配になってくる。



『別れたくない・・』



彼の言葉を思い出すが。



ここは

二人の盛り上がりを願って。

余計なことは言わないでおこう・・・



志藤は笑顔を彼女に返しただけだった。



夏希は心配になり、その夜彼に電話をしてみた。



「まだ、会社なんですか?」


「ウン、もう少しで終わるとこだけど。」

時計は11時半になっていた。


「毎日、こんなに遅くなんですか、」


「年末だからね。 また忙しくなってきた、」


「本部長が・・・高宮さんがげっそりしてたって、」


「は? おれが?」


「ちゃんとゴハンは食べてるんですか?」


「まあ、ちゃんとかどうかは自信ないけど、一応食べてるから。」


「あたしはお金がなくて、もやしばっかりラーメンとか食べてますけど。 高宮さんはお金があるのにちゃんとしたゴハンが食べられないなんて、」


「もやしばっかりラーメンってなに?」


「え・・。 ラーメンのスープだけ残っちゃったりすると、もやしを炒めて、それでちょっと煮るんです。 そうすると・・麺はないけどもやしラーメンみたいで・・・」



高宮は思わず大きな声で笑ってしまった。



「想像するなあ。 そんなの食べてるの? そっちこそ大丈夫?」

逆に心配されてしまった。


「まあ・・・最近は絵梨沙さんのお宅にお邪魔することが多いので、たまにごちそうになったり。 人の世話になって生きてます。」



とても23の女の子とは思えない彼女の言い回しが、懐かしくて、嬉しくて。



彼女の話す言葉がいちいちツボにくる。

夏希は大きな声で笑う高宮に少しホッとした。



「また・・・・一緒にメシ食いにいきたいね。」

彼がボソっと言った言葉に



「・・・ハイ。」

素直にそう返事ができた。



なんだろう

急に切なくなっちゃった。



夏希は電話を切った後、どうしようもない寂しさが体中を覆っていた。



早く

早く、春になりますように。

目を閉じて、携帯をぎゅっと握り締めた。



夏希は高宮に会えない寂しさを実感します・・

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