Shooting star(17) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「はい、おみやげ。 今朝、渡せなかったから。」



萌香が夜、夏希の部屋をたずねてきた。


「え~、ありがとうございます! なんだろ、」

と開けてみると、貝殻でできた小さな魚のモチーフにブラックパールが1粒かわいくぶるさがっているペンダントヘッドだった。


「かわいい! でも、パールなんて高そう。・・・いいんですか?」


「たいしたことないわ。 ブラックパールが名産らしいから。」

と微笑む。


「え~、写真とかないんですかあ?」


「ちょっと待ってて。」

萌香は一度自分の部屋に戻ってディスクを持ってやってきた。



それをパソコンにセットすると、たくさんの写真が映し出される。


「わ~~!きっれ~~!この世のものとは思えな~い!」

その海の美しさに感動だった。


「ほんと星もきれいだったし。 地球じゃないみたいだった。」



そして、萌香の水着姿の写真が出てくる。


「う・・・・」

それも次から次へと。



「ほんっと・・・ナイスバディですねえ。うらやまし、」


「こんなにたくさん撮っちゃって恥ずかしいんだけど、」


「あたしがカレシでも撮りますよ。これは。」



すると、誰かに撮ってもらったと思われる二人のラブラブツーショットの写真が・・・。




「はあああああ、なんと言う、幸せそうな・・」



もうお腹の底がこそばゆくなってくるような感じだった。


「あんまりこういう写真もなかったし。新鮮かなあって、」

萌香は頬を赤らめて言う。



「コレ、普段の斯波さんの顔じゃないし、」



それからも風景と言うよりは、萌香の写真ばかりで。



「斯波さん、別にタヒチじゃなくてもよかったんじゃないですか?」

笑ってしまった。


普段は難しい顔をして、厳しい彼の顔が

もう、彼女のことを愛しちゃって、愛しちゃってどうしようもないという風な表情だった。



「いいなあ、」



思わずつぶやいた。


すると萌香が



「・・・高宮さんとおつきあいしてみたら?」




と、ふってきた。



「え・・・」


「なんかね。 初めは心配だったけど・・南さんが言うとおり、彼、真面目なのかなあって。」

夏希はふっと笑って、



「あたしは、E.T.ですから。」



「は?」


「見たこともない不思議な生き物で。 何を食べているのかとか。どんな生活をしているのだろう、とか。 ちょっと見てみたいだけなんじゃないかって。」


「・・・?」



夏希の言っている意味がわからなかった。


「でも、結局。 地球上の生き物じゃないし。 住む世界が違うって言うか。一緒にいたら、ああ、こんなもんかって。 それで終わっちゃうと思うんです。 もう、いいやって・・・。」

萌香は彼女の言葉の意味を深く考えた。


「高宮さんはそんな風に思ってないわよ、」




「高宮さんのお兄さんが亡くなったことは知ってますか?」


「ううん。」


「跡継ぎだったお兄さんが交通事故で大学生の時に亡くなったそうです。 それから、高宮さんが周りの期待を背負うようになって。 自分はお兄さんの代わりをさせられてるだけだって言うんです。そしたら、おれが死ねばよかったって。 そんな風に言ったんです。すっごい、悲しいと思いませんか?」


彼にそんな過去があったなんて全く知らなかった。



「うん、」


「かわいそうって言ったら失礼だけど。 高宮さんは高宮さんでいられるように、もっともっと人生を楽しまなくちゃいけないんじゃないかって。 きっと心のどこかで高宮さんもそれをわかっているんじゃないかと思うんです。 そんな時、あたしに会ったから。 興味があっただけだと思うんです、」


「そんなこと、」




いつもは

もうむちゃくちゃな言動でみんなを驚かせている彼女が


こんなにも

きちんと彼のことを考えていたのか、と思うと

萌香は少しオドロキの気持ちだった。




「あんな大人の人に言うのも失礼ですけど。高宮さんは勘違いをしているだけだと思うんですよ・・・」



「私は加瀬さんみたいな子がすっごくうらやましいけど。」



「え~?」

萌香のような非の打ち所のない女性にそんなことを言われて驚いた。


「裏表がなくてさっぱりしていて。 明るくて。 元気で。 あなたがそこにいるだけで、その場がぱあっと明るくなって。 ほんとにひまわりのような・・・」


「褒めすぎですよお・・」

夏希は大いに照れた。


「ううん。 あなたの明るさが周りの人を幸せにする。 きっと高宮さんもそう思ってるんじゃないかしら。」


「栗栖さん・・・」


「そうね。 焦らないで。今までと同じに楽しくやっていくのもいいかもしれないわね。」

夏希を安心させるように優しくそう言ったが、




でも

なんだか

自分が傷つかないようにしているようにも・・・見える。



萌香はニコニコしながらアイスクリームを食べる夏希を見て思った。



好きにならないように

してる?



微妙な女心かな・・・。



彼のことを特別に

思いたいような

思いたくないような。


そんな

胸がきゅんと痛くなるような恋を

できるのは幸せ。



この子には

恋に傷ついて、泣いたりして欲しくないけど。

もし

そうなっても

いつでも

手を差し伸べてあげよう。



さっき

言ったことは、本当で。

まっすぐに本当に素直に育ってきたと思われる彼女が

羨ましくて。



私も

この子のように

生きてきたかった。




萌香は頬杖をついて、夏希がおいしそうにアイスクリームを食べるのを微笑みながら見ていた。


「栗栖さん、アイス溶けちゃいますよ。」

と言われて、慌ててスプーンを手に持った。



萌香は明るくまっすぐな夏希をうらやましく思います・・

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