You're my sunshine(17) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

夏希は部屋のものを少しずつまとめはじめていた。



たった2週間しかいなかったのに。

住んでるとものが増えるもんだなァ。



などと実感しながら。



その時。

インターホンが鳴った。


「あ、ごめん。 ちょっと・・いい?」

突然、やって来た斯波に少し驚いた。


「え、ええ・・どうぞ。」

と部屋に迎え入れた。


彼女がここを出て行こうとする痕跡がわかってしまい。


「あの・・さ。」

言いづらそうに口火を切った。


「はい?」


「おまえさえ・・よかったら・・・。 ここにずっといないか?」



「は・・・・?」



夏希は思わず斯波を見上げてしまった。


「や、ほら・・ここのほうが会社も近いし、」

あんまりまっすぐに見られて恥ずかしくなって目をそらす。


「でも・・こんな都会の真ん中のマンションなんか。 あたし、家賃払えませんから。」

夏希は現実に目を向けながらも心臓がドキドキしていた。



「今まで、いたところと同じ金額でいいから! どうせ、ここは誰にも貸す予定ないし。」


「な・・なんで。」


「え?」



「なんで・・そこまでしてくれるんですか・・?」



言葉を確かめる前にどんどん溢れてきてしまった。


「なんでって・・」

斯波は少し動揺していた。



こんな

姿。

初めて見た。



「・・・彼女・・本当に嬉しそうだから、」



ポツリと言った。


「え・・・」



「あんなに楽しそうにしてるの、初めて見たから・・・」



恥ずかしそうにまたうつむいた。


「栗栖さんが?」


「彼女、ちょっと・・いろいろあった子で。 友達も・・あんまりいないし。 おれもあんまりしゃべる方じゃないし。 おまえが来てから、世話をしたり・・するのが本当に楽しいみたいで。 あんなに笑ってるところも初めて見たし、」

斯波は朴訥にそう語り始めた。



栗栖さんの

ために・・・・。



もう、ラブラドールどころか。

すっごい巨人が胸の中にやってきて、その中枢をぐわっと鷲掴みにされた感じで・・・・。



「あ・・・」



よく考えもなしに言葉を口にするって、周りから言われる。

ちゃんと物事考えてからしゃべらないと、っていつも気をつけてるけど。



「あたし・・・。栗栖さんのために・・ここにいないといけないんですか?」



やっぱり

言葉が先に出てしまった。



「えっ・・・」

予想外の答えに斯波は絶句した。



「か、勝手なこと言わないで下さい! あたし、明日にでもここ、出ていきますから!」



ダムが決壊して、止まらない。




自分の言葉がこんなに彼女を怒らせるとは思わずに斯波は何も言えなくなってしまった。






別に

恋してたわけじゃないもん・・。


好きとか

そんなんじゃない。


けど。


胸がこんなに騒がしくなったのも、久しぶりだったから。


ホント。

それだけだから。



でも、なんで

涙が出てくるんだ?

ア~、やだ!!




「そんなこと・・言ったの?」

部屋に戻った斯波は萌香にその話をした。


「あんな・・怒ると思わなくて・・」

さすがにしょんぼりとした。



「・・・・・」



萌香はあの天真爛漫で素直な夏希がなぜそんなに怒ったのかを考え込んでしまった。

その答えをぼんやりとした輪郭で彼女は捕らえる。


「私のためだなんて・・・かっこ悪い。」



萌香はつぶやく。


「え?」


「自分の彼女ためにいてくれ、だなんて。 カッコ悪いって・・・」


「萌、」


「あなたの自分の気持ちを言えば良かったのに。」

ふっと微笑む。



「自分の・・気持ち・・・。」



「あなたは加瀬さんのこと、どう思ってるの?」


「どうって・・・。 なんか、心配っていうか。」

少し照れて口ごもった。


「なんかね。 心配なんだよ。 ほんと危なっかしくて。 ここならとりあえずセキュリティもちゃんとしてるし。 まあ、これまでも一人でやって来たんだろうけど。 親御さんにも安心してもらえるかもしれないし。 なんか・・親戚の子を下宿させてるような気持ちになってしまって。」



本当に照れ屋で。

自分の気持ちをこうして表に出して言葉にすることもほとんどないし。



しょうのない人・・・。



「だったら、そう言ってあげればいいのに。」


「え・・」

斯波は顔を上げた。



「彼女はあなたの大事な部下になるのよ、」

いつものように美しくも凛々しい笑顔で微笑みかけた。






萌香はすぐに夏希の所に行った。



「栗栖さん、」

本当に彼女は出て行く仕度をしていた。


「本当に明日、出ていくの?」


「え・・ええ。 お世話になりました。 ありがとうございました。」

夏希は深々と頭を下げる。


「そうね。 こんな監視されてるようなところ・・イヤかもしれないわね。」


「え! そんな! そんなことないです! あたしなんかがこんな都会の真ん中のマンションに住めるなんて・・。ほんと夢みたいで! それに、斯波さんも栗栖さんも本当によくして下さって・・。」

夏希は全力で否定した。



「・・・ほんっと・・女心わかってないから、」



萌香はクスっと笑った。



その意味が

夏希にはすぐにわからなかった。



斯波が萌香のために、と思う気持ちが夏希を傷つけてしまいました・・


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