You're my sunshine(14) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

八神は久しぶりに自分の席に着く。



「・・あれ??」

その”異変”にすぐに気づいた。



「ソードがないっ!」

いきなり叫びだした彼に、


「うるさいなあ、もう。 なに?」

南は迷惑そうに言う。


「がっ・・ガンダムの! こいつが・・持ってたソードが!」

一体のミニチュアのフィギュアを手に言った。


「知らないよ~。 そんなもん。 だいたいさあ、志藤ちゃんにデスクにこんなもん置くな!ってこの前怒られたばっかやん、」


「わ~~! どこ行った!」

あたりを探し始める。


夏希はドキンとした。




この前・・・。




八神のデスクを掃除していたら、本立ての上に乗せられたファイルが落ちてしまい、そのフィギュアを床に落としてしまった。


他にも外れてしまった箇所はあったが、何とか復旧して一安心していたところだった・・・。



「あ・・・あのう・・」

夏希は申し訳なさそうに八神に声をかける。


「は?」


「1週間くらい前に・・・ソレ、落としちゃって・・・」


「えっ!」

八神は顔を上げる。


「す、すみません。 直したつもりだったんですけど、」


「なにィ~~??」

八神の表情が一変した。


「さ、探したんですけど・・わかんなくって。てゆーか、何が足りないのかもよくわかんなくって・・」


「おまえ~~~! これはなあ、オマケかなんかに見えるけど! 限定で、シリアルナンバーとかもついてるんだぞっ!!」


「すみませんっ!」

夏希は一生懸命謝った。


「もう八神もさあ・・いい年こいてガンダムもへったくれもないやん。 そのくらい、」

南は呆れた。


「そのくらいって!」


「1週間前じゃあ、もし落ちててもお掃除のおばちゃんが吸い取っちゃったよ。 きっと、」

追い討ちをかけられ、



「う・・・」

捜索意欲が一気に萎えていく・・・・。




何とか立ち直った八神だったが。


「おい!」

また夏希を呼びつけた。


「はい?」


「おまえ、さっきコピー取っただろ?」


「はあ。」


「紙切れしてんじゃんかよ! ちゃんと補給しとけよ!」


「あ、すみません・・・」

夏希はそろーっと移動して、紙を補給しに行く。



「もう、八神ってば。 何、威張ってるの?」

南がまた注意をした。


「紙切れしたらきちんと補給は基本でしょう!」


「また、そのくらい、」

呆れてため息をつく。


「そのくらいじゃありません! トイレットペーパーがなくなったら最後の人間が補充するのと一緒です!」



トイレットペーパーを引き合いに出されてもな・・・



南は反論しようにも、力が抜けた。




それにしても。




「玉田さん! ほら、これ~。 今日から牛丼屋さん、割引チケットくれるんですよ~。」


「え? ほんと? 明日、おれも行ってこよう・・。」


「これがあるのとないのとじゃ大違いですからね~。」

夏希は玉田と楽しそうに話をしている。


「加瀬さん、中丸設計の社長がお菓子をくださったわよ。 加瀬さんにお見舞いって。」

萌香が外出から戻って言った。


「え~! ほんとですかあ?」


「バームクーヘンですって。」


「バームクーヘン! 嬉しい! この前、あたしが大好きだって言ったの、社長覚えててくれたんだァ・・・」



この馴染みようはなんなんだ?



八神はたった1ヶ月とちょっとの間に夏希が部署に異様に馴染んでいるのが手に取るようにわかった。



「なに、おもろくなさそうな顔して。」

南は八神に声をかけた。


「え? や、別に・・・・。」


「加瀬に敵意持ってるなあ、」


「そういうわけじゃないけど。」

ちょっと膨れた。


「ほんまにいい子でなー。 明るいし、元気やし。 彼女が来てから、なんかここもぱあっと明るくなったって感じで。 斯波ちゃんに怒られてもめげないし。 得意先の人たちにも、もうなじみになって、かわいがられてるし。 礼儀も正しいしね。」


「社会人のクセに、ジャージですよ?? あれはどーなんですか!」


「しゃあないやん。 今は怪我してるねんもん。 仕事はまだまだやけど。 ああいう子が入ってくれてよかったねーって志藤ちゃんとも話してて。」



南が夏希を褒めれば褒めるほど、腹立たしい・・・。

八神は顔をいっそう険しくした。



「学生気分丸出しじゃないですか! どうかと思うんですけど!?」




「・・だって。 ナマイキに。」

南は秘書課の志藤の所に言ってさっそく報告した。


「アホか・・。 ほんまに子供やなあ、八神は。」

志藤は失笑した。


「ま、今までずっと一番年下やったからな。 後輩ができて威張りたいんちゃうの?」


「そうかなあ・・」




そこに高宮が戻ってきた。


自分の椅子に南が腰掛けているのを見て、

「ここはぼくの席ですが。 よろしいですか?」

はっきりとそう言った。


「え? ああ、ごめんごめん。」

南は慌てて立ち上がる。


「いつもここで世間話されていきますけど。 気が散ります。 そういうことは事業部でやっていただけますか?」

冷たい視線を投げかけられた。



分厚い資料を片手に仕事をし始める彼に、南は志藤にこそっと、


「ほんまに・・・いつ見てもヤなヤツやな。」

と苦々しい顔で言う。


「こーゆーヤツやから。 怒るだけ無駄やん、」

志藤は相手にしていなかった。




ほんと。

なんでこの会社の跡取りである専務は、こんな女性と結婚したんだろう。


強烈な関西弁で。

見た目はまあ・・かわいい人だけど。

品がなくて。



専務よりも5つも年上で。

ダンナの専務より、志藤さんとこうしてつるんでる姿ばかり目にするし。

専務は東大出のエリートで。

性格も温厚で、社長の跡を継ぐ人間として世間からも納得されている人だ。



あの人。

専務と出会う前は、キャバ嬢だったってみんなの噂だ。




高宮はそんなことを考えながら、パソコンのキーボードを叩いていた。



八神は夏希に敵対心むき出しにしております・・ そして高宮はいつものように不満だらけで・・

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