You're my sunshine(11) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「こんなもんでいい?」



南は夏希のところに紙袋いっぱいの荷物を持ってやって来た。


「すみません・・お手数かけます。 明日は会社に行けると思いますので、」

大きな体を小さくして言った。


「無理せんほうがええって。 松葉杖なんやろ?」


「もう、ゆうべは痛くて痛くて。 今まで捻挫くらい何度も経験あったんですけど、今回は思いのほか伸びちゃったみたいで・・」

がっくりする彼女がおかしくて、


思いのほか伸びちゃったって・・・」

ぷぷっと吹き出した。



南に頼んで、自宅にある着替えなどを車で運んでもらった。



「それにしても・・・」



夏希は思い出したように言う。



「まっさか・・・斯波さんと栗栖さんがつきあってたなんて。」



「ああ。 会社の様子やと気づかないかも。 みんなも・・・そやな、二人が一緒に暮らしだして数ヶ月は気づかなかったもん。 ほんまに斯波ちゃんてしゃべらないからさあ。 ここだってあたし初めて来たもん。 あの人ほんっと秘密主義ってゆーか、プライベートとかめっちゃナゾやし。 自宅になんかよばれたこと一回もないし。」

南は持ってきた荷物を整理してやりながら言う。



「まあ・・よく考えたらお似合いというか・・・」



「萌ちゃんはあの通り、めっちゃキレイでスタイルも抜群で仕事もできるし。 斯波ちゃんはあの通り、シブくてカッコよくて、会社にスーツなんか着てきたの一回もないってくらい・・わが道を行く人やしね。 一匹狼っぽいとこがいいって、会社の女子社員からも人気あるねんで。」



「へえええ・・。」



夏希は大きく頷いた。


「斯波ちゃんもいちおう心配してたで。 バカでどーしようもない、とか文句言いながらも。 あたしに様子を見に行って欲しいとか言っちゃって。」


「・・ホントですか・・?」



「わかりづらいんやけどな。 けっこう情が厚いと言うか。」

南は笑顔で言った。



斯波にお姫様抱っこをされた時のことを思い出すと、胸がきゅんとなる。



あんなに怖い人だったのに。

すっごく、必死で。

こうして自分トコのマンションに住まわせてくれたり。



夏希は斯波の本当が少し見えた気がした。




斯波は久しぶりに早く帰宅できたので、今日は自分が夕飯を作ろうかと考えながら自室の鍵を開けようとしたが・・。



隣から、ドドン!という大きな音が聴こえた。



慌てて隣のドアを叩いて、


「加瀬?」

と声をかけると、しばらくしてぎーーっとドアが開いた。


「あ・・斯波さん。いたたた・・」

腰をさすりながら夏希が出てきた。



「なにやってんだ?」


「ベッドから杖で立とうとしたら・・・ズルって。 サイドボードに腰ぶつけちゃって・・」


「バカだな。 これ以上怪我したらどーすんだ。 メシは?」


「え・・まだですが、」


「萌は今日は遅くなるって言ってたし。」




斯波は仕方なく彼女のところに上がりこんで、食事の仕度をし始めた。

冷蔵庫を開けると、萌香がいろいろ置いていったようで食材がいくつかあった。

それを適当に取り、フライパンを取り出す。


「し、斯波さん・・・」


「いいから座ってろ。」

いつものように言葉すくなに言われた。



あっという間に、夏希の前に美味しそうなチーズリゾットとサラダがやって来た。


「う・・わ~~! おいしそう! いっただっきまーす!!」

夏希は嬉しそうにもりもりと食べ始めた。


その食べっぷりを見た斯波は呆れて、

「よく食うな・・」

と言った。



「内臓はピンピンしてますから! すみません、おかわりありますか?」

図々しく皿を差し出すと、斯波は、はあっとため息をついておかわりをよそりに行った。


「斯波さん、お料理上手ですね~。あたしより絶対に上手だ・・」


「ひとりが長かったから、」

ボソっと言う。



「普段は・・・栗栖さんが?」

と突っ込むと、




「えっ!」




斯波はあからさまに動揺し始めた。


そんな彼にかまわず、夏希は

「ほんっと栗栖さんってきれいで優しいし色っぽいし、仕事もできるし。 言うことないですよね。 斯波さんは幸せだなあとか・・」

どんどんしゃべり続ける。



調子に乗ってしゃべっていると、いきなり斯波は彼女の後頭部をぺしっと叩いた。


「いった~~い。 何するんですかあ・・」


「いいから早く食え!!」



子供のように叱られてしまった。

それでも

最初はただただ怖いだけだった彼の意外な一面が垣間見えたようで夏希は少し嬉しかった。




翌日。

斯波が出勤しようと、鍵を閉めているところに隣から夏希が杖をついて出てきた。


「あ、斯波さん。 おはようございます! 昨日はごちそうさまでした!」

元気よく挨拶されたが・・



「どこ、行くの・・?」



斯波は彼女の格好を見てそう言った。


「え、会社に決まってるじゃないですか・・・」


「それで?」



斯波が驚くのも無理もなく。

彼女は上下ジャージにリュックという格好だった。



「え、ダメですかあ?」


「電車乗るんだぞ?」


「学生時代はこれが普段着でしたよ。移動もジャージが基本ですから!」

夏希は胸を張った。



「それにしても・・・」


「両手が塞がるから、リュックじゃないと。 そうすると・・スーツ着るのも変じゃないですか。 ジャージしかないですよ。 動きやすいし。」



社会人としてどうなんだ・・・




斯波はそう思いながらも、面倒くさかったので

「ま、いいか・・」


彼女の格好は見てみぬフリをすることにした。



「今日は栗栖さんは?」


「直行で横浜。」


「ゆうべも遅かったみたいなのに、大変ですね。」


「彼女は事業部の仕事も志藤さんの秘書の仕事もしてるから、」


「そうかあ・・・」

斯波と駅まで歩いていると、杖の先が道路の端の側溝の網にひっかかってしまった。



「わわっ!!!」



つんのめりそうになる彼女を、

「あ、あぶね!」

斯波は慌てて抱きとめた。



へっ??



夏希はびっくりして体が硬直した。


「バカだな・・。ほんっとおっちょこちょいだな。」

斯波は落とした杖を拾ってくれた。


「・・す・・すみません、」




抱きしめられちゃった・・・。




心臓がバクバク音を立てているのがわかる。


「駅の階段から落っこちるなよ。」

斯波は呆れたように笑って言った。




笑った・・・




その笑顔にもきゅんとしてしまい




カレシいない歴22年。

キスだってしたことないのに。

免疫ゼロの彼女にはあまりに刺激が強く・・・。



最初の頃の彼とのギャップに夏希は優しい斯波にドキドキしてしまい・・


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