「ひよっこ」 第88回
第15週 「恋、しちゃったのよ」
デートしちゃったのよ、東京タワーと大学で
時子） ♪愛しちゃったのよ
祐二・啓輔） ♪ララランラン
時子） ♪愛しちゃったのよ
祐二・啓輔） ♪ララランラン
何だかよく分からないうちに、
カップルが成立しましたね。
何だか、こっちも
恥かしくなってきちゃいますね。
早苗） ♪愛しちゃったのよ
祐二・啓輔） ♪ララランラン
早苗） ♪愛しちゃったのよ
祐二・啓輔） ♪ララランラン
早苗） ♪ねてもさめても ただ あなただけ
時子） で、どうするんですか？ 島谷さん。
島谷） えっ？ えっ、どうするって？
時子） 何言ってんですか。
今、恋人になったわけでしょう？
島谷） はい。
時子） ということは…。
（たたく音）
早苗） デートか。
時子） そうですよ！
島谷） あっ、そうか。デートか。
祐二） デートけぇ。
啓輔） デートですけぇ。
島谷） みね子ちゃんの行きたい所、
どこでも。
早苗） 出たね、大きく出たな。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
あら、また愛子さん。
一体何しに来たんでしょうね。
客） さっき「ハッシュワン」って
言ってたけど、ハッシュって何？
みね子） えっと、こちらのハヤシライスに
なりまして。当店自慢のドビソースを
使っておりまして。炒めた玉ねぎが
トロトロに煮込んであって、すんごく
おいしいんですよ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
みね子） すみません！
３番さん、ハッシュワンです！
秀俊） ３番さん、ハッシュワン！
元治） ハッシュワン…。
省吾） ハッシュワンです…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（外から店の中をうかがう愛子）
高子） ありがとうございました。
客） ごちそうさまでした。
高子） いらっしゃいませ。
愛子） あっ！ アハハ！ あの、
商売繁盛でね…ねえ。アハハ…。
（逃げる愛子）
今日もとりあえず、放っておきましょうね。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
みね子） お待たせ致しました。
お父さん…。
今度のお休みは、初めてのデートです。
あっ、でも、何だか恋の話を、
お父さんにするのは、恥ずかしいです。
お母ちゃん！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（みね子の手紙を読んでいる美代子）
美代子） フフフフ…。
（涙を浮かべ、微笑む美代子）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
さて、みね子と島谷君、
初めてのデートです。
（編み込みしたみね子の髪に
リボンを結ぶ時子）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（部屋から顔を出し、
みね子を見送る啓輔と祐二）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜炊事場＞
早苗） ♪いつから こんなに
いつから こんなに
あなたを好きになったのか
（紅茶を淹れる早苗）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
みね子） お待たせしました。
島谷） ううん。じゃ、行こうか。
みね子） はい。
（窓辺に座り嬉しそうに２人を見送る時子）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（東京タワーに向かって歩く２人）
みね子） うれしいなぁ。
島谷） そんなに来たかったんだ？
東京タワー。
みね子） はい。赤坂からも、
時々見えるじゃないですか？
島谷） うん。
みね子） 何かかっこいいなぁ。
いつか行ってみだいなって
思ってたんです。
島谷） そっか。
みね子） 島谷さんは来たこどありますか？
島谷） ううん、ない。
みね子） 本当ですか？いがった。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（真下から東京タワーを見上げる２人）
みね子） すごいですねぇ。
島谷） うん、すごいねぇ。
じゃ、行きますか。
みね子） はい。
東京タワーは、当時の金額で
およそ30億円をかけて、
昭和33年に完成しました。
自立式鉄塔としては、
当時世界一の、333メートル。
東京の町を見下ろす圧倒的な眺めは、
みんなの憧れの的。
この年には、開業からの来場者数が、
3000万人を超えました。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（東京タワーから降りた２人）
みね子） 大丈夫ですか？
島谷） ハハハ…うん、大丈夫。
みね子） 苦手ですか？ 高いとご。
島谷） あ～うん…はい。
みね子） だったら言ってくれれば
いいのに。無理してそんな。
島谷） いや～だってさ。
みね子） だって？
島谷） だってさ、「どこ行きたい？」っ
て、「みね子ちゃんの行きたい所、
どこでもいいよ」って言ったの俺だし。
そう言ってさ、「いや、東京タワーは
ちょっと」、とは言えないでしょう、
男としては。
みね子） そういうもんですか？
島谷） そうだよ。
最初の…デートなわけだし。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
島谷） どうぞ、座って。好きみたいだね、
みね子ちゃんは。怖くないんだ？
みね子） はい、楽しかったですよ。
生まれて初めてでしたけど、あんな
高いとご、何かウキウキしちゃって。
好きみたいです、私。
島谷） そう。
みね子） はい。すごいですねぇ、東京。
驚ぎました。どこまででも街があっ
て、すんごい数の人がいんだなぁ
って。赤坂も見えましたよ。向島は
あんましよぐわがんなかったけど…。
でも隅田川は分かりました。
海も見えましたよ、海！
島谷） へぇ、海かぁ。
みね子） はい。おなが減りましたね。
あれ、食べませんか？
島谷） いいね。
みね子） あっ、私に買わせて下さい。
島谷） いや…。
みね子） だって、入場券とが、エレベータ
ーのお金とが出してもらって。あまり
に高いから私、階段で行こうかと思い
ましたよ。
２人） フフフ！
みね子） 無理ですよね、いくら何でも。
ちょっと買ってきます。
店主） いらっしゃい。
みね子） すみません、これを２つ下さい。
店主） はい、16円になります。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（みたらし団子を食べる２人）
島谷） うん、うまい！
みね子） うん！ フフフ…。
あの…。
島谷） ん？
みね子） 私、もう一つ行ってみたい
とこがあんですけど。
島谷） 後楽園のジェットコースターは、
無理だよ。
みね子） 違いますよぉ。
う～ん、まぁでも、遠いのがな。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
みね子） 広いですねえ、大学って。
島谷） こんな所でよかったの？
みね子） はい。島谷さんの行ってる大学
って、どんな所だろうなぁって思って
たんです。だからうれしいです。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
島谷） いいよ。
みね子） 広いですねえ、大学の教室って。
島谷） うん。
みね子） あっ、そっか。大学は島谷さんの
席とが特に決まってないんですよね。
島谷） うん。
みね子） 担任とがクラスとが
ないですもんね。
島谷） うん。決まってる席はないけど、
お気に入りの席はあるよ。
入ってきて、誰か座ってると、
すごくがっかりする。まぁ、そいつが
悪いわけじゃないんだけど。
ずっとにらんだりする。
みね子） フフフ！ 面白いですね。
どこなんですか？ その席。
島谷） ここ。
みね子） わぁ！
座ってみてもいいですか？
島谷） うん。どうぞ。
（ちょこんと座って微笑むみね子）
みね子） こごに座ってんですねぇ。
島谷） うん。
みね子） 島谷さんって、
どんなこと勉強してんですか？
島谷） 経済学部だからね。お金のこと
とか、会社の経営のこととか。
みね子） へえ。
島谷） 親が会社を経営してて、経済学部に
通ってるとね。周りはみんな大変だな～
みたいな目で見ててさ。
「長男で大変だな、お前は」みたいな。
でも本当はね、好きなんだよ。
自分で好きで選んだんだ。
でもそういうふうには見えないらしい。
みね子） お父さんみたいになりたいって、
思ってんですか？
島谷） うん。父さんや、
おじいちゃんみたいになりたいし…。
うん…。超えたいと思ってる。
みね子） 素敵じゃないですか。とっても。
私はそう思います。
島谷） ありがとう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（キャンパスを歩く２人）
みね子） 私と初めて会ったとぎのこと、
覚えてます？
島谷） えっ？ あっ、確か、
みね子ちゃんがお金落として。
みね子） はい、そうです。拾ってくれて、
わ～優しい人だなって思ってたら、
怒られました。
島谷） えっ？ そうだっけ？
みね子） そうですよ。まず、あんな道の
ど真ん中で、財布を広げる方が悪い。
盗られなかっただけ、ありがたいと
思った方がいい。
島谷） うわ…そんなこと言ってたんだ？
みね子） はい。
島谷） ハハ…。だからモテないん
だろうなぁ、きっと俺は。
みね子） モテないんですか？
島谷） うん。
みね子） モテない方がいいです。
島谷） えっ？
みね子） あっ、いや、何でもないです。
男性） あれ？ 島谷、どうした？
男性） おう、日曜なのにどうした？
島谷） ちょっとな。
男性） あれ？
ひょっとして、島谷の彼女か？
男性） そうなのか？
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「♪愛しちゃったのよ ララランラン」って
いうフレーズもメロディも知っていたけど
曲名がこんなにクドイものだったとは…。
みんなが口ずさんでいたのはこの曲↓
いつからこんなに
いつからこんなに
あなたを好きに なったのか
どうしてこんなに
どうしてこんなに
あなたの為に 苦しいのかしら
もしもあなたが
居なくなったらどうしよう
私一人じゃ とても生きちゃゆけない
愛しちゃったのよ
愛しちゃったのよ
あなただけを 生命をかけて
生命をかけて 生命をかけて
ひゃ～！ なんてドストレートな恋の歌！
なのに何とも軽い「愛しちゃったのよ」
がたまらないなぁ。愛しちゃったのよ♪
ちゃったのよって…。恋しちゃったのよ。
いつのまにか、好きになっちゃったのよ。
いかにもいかにもな、初々しいデートの感じ
がよかった。一緒に歩くだけで楽しい。ベン
チに座ってお話するだけで楽しくて。奢って
もらったお礼に、自分でできる範囲でお返し
しようとするところも可愛い。昭和は男が出
して当たり前ではあったけど、ちょっとした
心遣いのあるなしは大事。感謝の気持ちや
ありがとうを伝えることは、大事だよね～♪
親のため、家のため、大変だろうと思われる
けど、自分で選んで決めたこと…っていうの
は島谷とみね子が共通している意識だった。
そして、島谷の家の問題が今後響いてくる前
フリでもあるようで。初恋の人とは結ばれな
い的な立ち位置の人になりそうな予感が…。
「日曜なのにどうした？」って言う大学の友
人に、思わず「お前こそどうした？」ってツ
ッコミたくなったけど、それ以上にツッコミ
たくなったのは、友人の「島谷の彼女か？」
の問いかけで終わったところ。「即答だろ
う！」ってツッコむ有働さんに激しく同意！
明日は島谷の誠意が試されるのね。フフフ。
「ひよっこ」の世界の人だから、たぶん合格
するとは思うけど。無駄に引っ張るよね～。
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