「ひよっこ」第37回~ふるさとを離れて漂う椰子の実たちは・・・ | 日々のダダ漏れ

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日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

「ひよっこ」 第37回
第7週 「椰子(やし)の実たちの夢」

ふるさとを離れて漂う椰子の実たちは・・・

 

 

1965(昭和40)年5月

 

綿引) お父さんを見かけたって場所、

    この辺りなんだって。

    すいません。この辺りでこの人

    見かけませんでしたか?

男性) いや、見たことねえな。

綿引) そうですか。ありがとうございます。

みね子) すいません。この人、見かけませ

     んでしたでしょうか? すいません。

     ありがとうございます。

 

お父さん。

こんな東京の知らない場所で、

お父さんを知ってますかって聞くのは、

何だか不思議な気持ちがします。

 

綿引) すいません。この人見かけた

    ことありませんか?

 

**********

 

みね子) いただきます。

(クリームソーダのソーダを飲むみね子)

2人) フフフフ!

綿引) 人が多いから、疲れたでしょ?

みね子) 東京来たけど、あんまし人が多い

     とごに行かないがら、慣れなくて。

     慣れるもんですか?

綿引) と思うよ。先輩にさ、言われたんだ。

    東京は確かに人が多いけど、みんな、

    俺たちと同じだって。ほとんどの人は、

    東京にいた人じゃなく、東京に来た人

    たちだって。来て、いつの間にか東京

    の人になるんだって。東京はそういう

    人の集まりだって。…で、そう思ったら、

    何かそんなに怖くなくなった。アハハ!

みね子) へぇ。

(窓の外を見るみね子)

みね子) 東京の人かぁ…。

 

**********

 

雄大) では今日から新しい歌を歌ってみまし

    ょう。えっと、歌集の、15ページ。

    「椰子の実」」という曲です。

    海辺を歩いていると、椰子の実が一つ、

    流れ着いているのを見つけます。これ

    は、どこから来たんだろう。南の島なん

    だろうなぁ。どんな所なんだろうか。

    そして、どれくらい海を漂って、ここに

    流れ着いたんだろう。海を漂っている

    間、どんな気持ちだったんだろう。心細

    かっただろうな。ふるさとを離れるのは、

    寂しかったろうな…。私と一緒だな。

    そんな気持ちを想像してみて下さい。

    じゃ、歌ってみましょう!

(アコーディオン)

一同) ♪名も知らぬ 遠き島より

    流れ寄る 椰子の実ひとつ

    故郷の岸を 離れて 

    汝(なれ)はそも 波に幾月(いくつき)

 

お父さん…。

私たちはふるさとを離れて、

漂っている、椰子の実みたいな

もんなんでしょうか?

どこにたどりつくのでしょう?

お父さんも、椰子の実ですか?

もうどっかに、たどりついてるのでしょうか。

 

一同) ♪海の日の沈むを見れば

    激(たぎ)り落つ 異郷の涙

    思いやる 八重の汐々(しおじお)

    いずれの日にか 国に帰らん

(アコーディオン)

 

**********

 

和夫) 今日は、

    最後しんみりしちまったな、みんな。

愛子) そういう時期でもありますしね。

和夫) ん?

愛子) 特に、新しく入った子は、ちょうど仕事

    にも慣れてきた頃で、東京での暮らし

    に、緊張も取れてきて。そうするとやっ

    ぱり、田舎が恋しくなるんでしょうね。

和夫) そうかい。

愛子) もう、雄大先生ももっとこう、明るく、

    頑張ろうみたいな歌にしてくれれば

    よかったのにな。

和夫) でもそればっかりじゃな。

愛子) フフッ。そうですね。

    でも皮肉な話っていうか。ほら、クニの

    ものを親御さんが送ってくれるじゃない

    ですか。あれがね、かえって子どもたち

    をつらくさせたりもね、するんですよね。

和夫) なるほどね…。

愛子) それに、いろいろ届く子と、全然、 

    葉書すら届かない子といて。

    それも何だか、残酷で。

 

**********

 

澄子) いい歌っこでしたねぇ、「椰子の実」。

みね子) んだねぇ。

優子) うん。うちだは、海の近くだから、

    海を思い出してしまった。

時子) 椰子の実来たことある?

みね子) フフフ!

時子) ん?

優子) 日本海には来ないんでないかな。

    太平洋の話でしょ、あれは。

時子) あっ、そうか。

(笑い声)

優子) 食べない? ハタハタの佃煮。

幸子) ありがど。まだあっだの?

優子) うん。ちょっとずつ食べてたけんど、

    ちょうど6つ残ってたから。うちは、

    秋田の海の方だからこんなもんしか

    来ねくて。魚はおいしいけんど、生で

    は送れないしね。はい。

時子) ありがとう。私もこれ好きだ。

みね子) ね? おいしいよね。

時子) うん! はい。

みね子) いただきます。はい。

澄子) いだだきます。

みね子) どうした? 澄子。

幸子) どうした? 何か嫌なごどあっだ?

澄子) 何か、悪いなど思って。

    おれ、もらうばっかりで…。

    うぢがらは何も送ってこねえがら。

    何か、恥ずがしくて…。勘弁してくれ。

みね子) 何言ってんの。

時子) そうだよ。おかしいよ、澄子そんなの。

澄子) はい。すいません。

豊子) おめが恥ずかしいとか思う必要ね。

    絶対にね。

澄子) ありがとう…。

優子) ごめんね。

    寂しい気持ちにさせちゃったね。

澄子) いや、そうでねぇんです。すいません…。

    仕送りしても、皆さんのどごには、お手紙

    来っけんじょ。おれには、葉書一枚届が

    ねぇ。エヘヘ…それは、わがってたんで

    いいんだげんど…。そんなに寂しくない

    ですよ、おれは。こご、好きだし…。楽し

    いし…はい。

みね子) そうけ。

澄子) だから、帰りだいとも、思わないです。

    帰っても、邪魔にされるだけだし。

    でも…ばあちゃんには会いでえなぁ…。

    達者がなぁ…。

幸子) ばあちゃん、好きなんだ?

澄子) はい! 優しいんです。とっても…。

    大好きだ。

    フフフ…。アハハ! ハハハハ!

みね子) えっ?

澄子) あのな、うちのばあちゃん、

    腰が、こんなに曲がってるんですよ。

    だから、ゆっくりしか歩げねぇし、こう

    やって、ちょっとずつしか進まないん

    です。わがっかよ?

みね子) うん。

澄子) でね…。あっ、おれが中学入ったばっ

    かりの頃なんですけど。学校でケガし

    ちまって。で、医務室で寝でて、帰りが

    遅れでしまったことがあって。そんでね、

    あっ、おれが、大好きな一本道があっ

    てね。そこを、松葉杖でこうやって、と

    ぼとぼ帰ってきたわけですよ。そしたら、

    向こうの方から、おれおばあちゃんが

    やって来んのが見えて。でも、な~ん

    か様子が違くって。なんとばあちゃん、

    腰が、ピ~ンとまっすぐになってで!

 

(回想)

ばあちゃん) 澄子~大丈夫があ!

澄子) ばあちゃん…腰…。

ばあちゃん) 澄子! 大丈夫が? 澄子!

澄子) 大丈夫だけど。ばあちゃん、腰…。

ばあちゃん) あ? あれま。

澄子) ばあちゃん…。

ばあちゃん) 澄子~!

澄子) ばあちゃん、ありがど。

 

(ばあちゃんと抱き合ったことを思い出

 しながら、枕を抱き締めている澄子)

澄子) そんなばあちゃんでした。はい。

みね子) えっ? そのばあちゃんの腰は

     どうなったのよ?

澄子) 帰り道にはもう

    元に戻ってしまいました。

みね子) えっ?

澄子) こんなふうです。

(実演してみせる澄子)

 

(回想)

澄子) 腰まっすぐで、びっくりした、おれ。

 

一同) え~?

豊子) そいはおかしいでしょ。

幸子) つくり過ぎでしょ~。

澄子) エへへへへ。

 

**********

 

(深夜、眠っているみね子たち)

(背中を丸め、布団の中で泣いている澄子)

澄子) ばあちゃん…。(すすり泣き)

    ばあちゃん…。


**********

気になってたんだよね。ずっと。みね子に荷物が届く

度に。みんなそれぞれ事情があって、家族との関係

もいろいろで。こまめに手紙や荷物が届く子もいれ

ば、葉書ひとつ届かない子がいる。可哀想だけれど、

だからといって、家族からの葉書や荷物を禁止する

というのもおかしいし。そういうことは、どこにでもあ

る。持てる者…持てない者。出来る者…出来ない者。

 

もらうばかりの心苦しさも分かる。申し訳ないような、

お返しできない苦しさも分かる。気にするような人た

ちではないのは分かっていても、分かっているから

こそ、自分もみんなに何かできたらって…思うよね。

おめが恥ずかしいとか思う必要ね。
絶対にね。

 

豊子の言葉に「んだんだんだ!」とジャンプしそうに。

澄子のばあちゃんが、「あまちゃん」でもいい味出し

ていた「鈴木のばっぱ」を演じていた人なのがもう…。

 

よかったね、澄子。ばあちゃんがいてくれて。曲がっ

た腰がまっすぐになってしまうくらい、心配してくれ

るばあちゃんがいてくれて。ばあちゃんに会いたい

よね。ばあちゃんに、ギュッとされたいよね…(泣)。

 

いろんな立場の人の気持ちに目を配る脚本のやさ

しさに涙。どうしようもないことでも、気付いてくれる

人がいるだけでも、心が救われることは多いから…。

 

このドラマが昭和に放送されていたら、澄子に本当

にいろんな荷物が送られてきたんだろうなぁ。私も

送ってあげたくなったもの。さくらんぼでいいかい?


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