「ひよっこ」 第24回
第４週 「旅立ちのとき」
お父さん、お母さん、
みね子は東京に着きました
この列車は、集団就職の
子どもたちのための専用列車です。
この年、集団就職列車は100本運行され、
１万5000人の子どもたちが、
東京へ向かいました。
女教師） うぢも、最後まで決まらねえ子が
いで、やぎもぎしちまって。
田神） そうですか。
お互い大変でしたね、今年は。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
時子） みね子、その服、すごいね、きれいだね。
みね子） そうでしょう？
お母ちゃんがね、作ってくれたんだよ。
時子） へぇ、すごいね。
みね子） 私もさ、洋裁もっとちゃんと教えで
もらっとげばいがったなぁ。
三男） あっ、でもよ、みね子。
みね子） 何よ？
三男） おめえ不器用なのによ、トランジスタ
ラジオの工場って、細けえ仕事なんじ
ゃねえのけ？ 大丈夫なのが？
時子） あっ、そうだねえ。
みね子） わがってるよ。そう聞いたとぎから
できんのかなって。考えただけで憂鬱
になっから、考えんのやめてたんだ。
三男） やめんなよ、考えんの。
みね子） まっ、なんとかなっぺ。
時子もいるし！ へへへへ！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
３人） いただきます！
（弁当を食べる３人）
３人） う～ん！
三男） うめえ…。
みね子） フフッ！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（通路側にいる女の子に話しかけるみね子）
みね子） かわいいね、それ。
女の子） え…？
みね子） これ。
（髪留めを指さすみね子）
女の子） あ…死んだお母ちゃんがくれたんだ。
みね子） そう…。こっちさ来ねえか？
女の子） え…？
みね子） おいで。
時子） おいで。ほら、三男どいて。
三男） おう。ほら、言うとおりにしねえと、
怖えぞ、姉ちゃんたぢが。
みね子） なによ！ ほれ、こご、おいで。
女の子） はい…。
（みね子たちの席に座る女の子）
みね子） どっから？ どごの中学？
女の子） 福島の、いわきです。小名浜中学。
みね子） そう。私たちは奥茨城で、常陸高校だ。
青天目澄子） はぁ…高校…。
みね子） うん。これ、一緒に食べよう。ほれ。
澄子） いや、そげな…。
みね子） いいから。
澄子） とんでもねえ、もらえないです。
時子） 食べよ、食べよ。はい。
（お弁当のおかずを澄子に分けるみね子たち）
三男） 言うこど聞かねえと、
おっかねえぞ、姉ちゃんたぢ。
みね子） んだよ、おっかねえよ。
時子） 怖いよぉ。
澄子） えぇ…。
（笑い声）
澄子） いだだきます。
みね子） どうぞ。
澄子） うめえ。
（笑い声）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
みね子） えっ？ トランジスタ工場！？
澄子） はい…向島電機っていう、
会社だそうです…。
みね子） あれま！
澄子） へ？
時子） 一緒だよ、私たちと。
澄子） えぇ～！？ 本当かよぉ？
みね子） うん。よろしくね。
時子） よろしく。
澄子） はい…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
車内ｱﾅｳﾝｽ） 長らくのご乗車お疲れさまです。
列車はあと８分少々で終点上野駅
に到着します。忘れ物ないように…
田神） よし、おめえら、支度しろ～！
もうすぐ着くぞ～！
時子） ほら、みんな！ もう着くよ！
みね子、起きろ。澄子ちゃん、澄子ちゃん、
澄子ちゃん、起きなさい。ほら。
田神） おめえら忘れ物すんでねえど。
しっかり確かめろ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜上野駅＞
ｱﾅｳﾝｽ） 上野～上野～上野入線でございます。
（ごったがえす駅の構内をしっかり
手をつないで歩くみね子と時子）
上野駅に着くと、ここで子どもたちは、
迎えに来た人と共に、
それぞれの職場へと向かいます。
お父さん、東京に着きました。
私は、こんなに大勢の知らない人を
見るのが初めてで、みんな、
何だかものすごく急いでて、
怒ってるみたいで、怖いです。
男性） え～っと、角谷三男君、どこかなぁ？
角谷三男君！ え～…。
三男） あ…はっ、はい！
男性） おぉ！ あ～君か！ ハハハ、ハハハハ！
さっ、さささ、はい、行こう行こう。
三男） あっ、いや、あっ、あの…。
男性） あっ、忘れてた！ 先生、先生！
先生！ 田神先生～！
田神） あっ、はいはい！ あ～安部さんですか？
安部） はい。
田神） 常陸高校の、田神と申します。
安部） はいはい、はいはいはい。
とういうわけで、え～角谷三男君。
確かに、お預かりしますんで。はい！ では！
田神） あっ、いや、どうか、よろしくお願いします！
三男、しっかりな！
三男） はい。
みね子） 三男！ 頑張ろうね！
三男） おう！
時子） 三男、負けんな！
負けたら嫌いになっかんね！
三男） おう。わがった！
みね子） あっ、あっ、連絡、取り合おうね！
三男） おう！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
田神） 大丈夫が？ 寒くねえが？
生徒） はい。
田神） 夏にはまた帰ってこれっから。
うん、頑張れ。
愛子） ごめんなさい、遅くなってしまって！
ごめんなさいね。
えっと、こんにちは。こんにちは。
こんにちは。こんにちは。
田神） あの、常陸高校の田神ですが、
向島電機さん？
愛子） はい、永井です。
田神） いがった。
愛子） すみません。
田神） いえいえいえ。
愛子） お電話の感じだと、もう少し、おじい
さんかと思ってました。フフフ！
田神） ハハハ…。あっ、あの子たちです。
おい、おめえら、来い。
愛子） はい！ あらかわいらしい。
田神） か…かわいらしい？
愛子） よろしくね。永井愛子です。
愛子さんって呼んで。えっと、舎監といって、
あなたたちの面倒をみたりします。えっと…。
（書類を見る愛子）
愛子） 助川時子さん。
時子） はい。
愛子） はい。青天目澄子さん。
澄子） はい。
愛子） はい。ん？
田神） ん？
愛子） あっ、書類だと２名になってますけど…。
田神） えっ！？ いやいやいや、向島電機さん！
追加で一人、お願いしてるはずですよ。
谷田部みね子。
愛子） そうでしたよね！ えっ？
どうなってんだろ？ 会社大丈夫なのかな？
ここに書いてないけど。
田神） ちょっと、ちょっと！
しっかり調べて下さいよ！
愛子） どうしましょう？
田神） どうしましょうって…。ちょっと…。
愛子） ちょっと電話借りて、会社に確認して
きます。ちょっと待ってて下さいね。
田神） あ～一緒に行ぎます！
ちょっと、ここで待ってろ！
動ぐな！ いいな！
時子） はい。
愛子） ごめんなさいね、ごめんなさいね。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
時子） みね子、大丈夫？
みね子） どうしよう…。
時子） えっ？
みね子） 私…働げないのがな？
時子） そんなわけないよ。
みね子） どうしよう…。どうなるんだろう、私。
え…帰んの？ このまま？ 帰れないよ…。
帰るわげにいがないよ…。
うう…いがないよ、帰るわげには…。
澄子） 大丈夫だ。きっと大丈夫だよ。な？
愛子） ごめんなさいねえ。確認できました。
ありました。谷田部みね子さん。
みね子） はぁ～。いがったぁ…。いがった…。
田神） いがったぁ。
愛子） ごめんなさい。
心細い思いさせて、ごめんね。
みね子） はい…。
愛子） よろしくね、みね子さん。
みね子） はい。よろしく、お願いします。
愛子） うん。じゃ、行きましょう！
（澄子のカバンを持とうとする愛子）
愛子） 重っ！
澄子） あっ、大丈夫です。
愛子） フフフ…。
田神） じゃ、永井さん、
どうが、よろしくお願いいだします。
愛子） はい。お引き受けしました。
田神） みね子、時子…。それに、澄子…。
頑張れ。体に気ぃ付けてな。
みね子） はい！ お世話になりました！
時子） 先生、ありがとうございました！
（一緒に頭を下げる澄子）
愛子） じゃ…こっちです。
（３人を見送る田神）
田神） 頑張れ…頑張れ…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
お父さん…。
最初から、何だかトホホなことに
なってしまいましたが、
みね子は元気です。
愛子） あれ？ こっちだ。アハハ！
舎監さんの愛子さんは、
正直ちょっと、頼りねえけど…。
澄子） 大丈夫ですか？ みね子さん。
みね子） うん。
時子） みね子。負けないで行こう、東京に。
みね子） うん。
（駅を出るみね子たち）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
というわけで、
お父さん、そしてお母さん。
みね子は、東京に着きました。
さあ、どんな毎日が、
みね子を待ってるんでしょうか？
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
今年のGWはインフォメーションする間もないほど、
超多忙となったため、テレビを見る時間も取れず、
その間の「ひよっこ」は、とりあえず順次アップして
いく予定です。セリフだけで精一杯の状態なので、
GW中の分の感想はナシか、超簡単なものになり
ます。ごめんなさい！ 来週からのリアルタイム分
は、通常モードで書きたいとは思っていますが…
セリフだけになるかも…。その時はごめんなさい！
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