「てるてる家族」(再放送)第116回 | 日々のダダ漏れ

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「てるてる家族」 第116回

昭和43年3月、宝塚音楽学校を卒業した冬子
(石原さとみ)は、歌劇団には入団せず家業の
パン屋を継ぐと決める。しかし春男(岸谷五朗)
は冬子の決意の程を疑い、厳しい態度で下積
みからパン修業させようとする。そこに冬子の
頼みで辰造(でんでん)が現れ、冬子にはもう
下積みはいらない、パンを作る楽しみを覚えて
いけばいいと言う。一方、斉藤からの電話で夏
子の移籍話を聞いた照子(浅野ゆう子)は、東
京へ向かう。

**********

(目覚まし時計のベル)
秋子) 冬ちゃ~ん、冬ちゃ~ん、鳴ったで~。
    早よ起きな。冬ちゃ~ん!
冬子) もう…もうちょっと…。先行ってて。
秋子) 何で私が先行かなあかんの。
    もう勘弁してえな~。…はい! はい!
    まだ2日目やんか。もうこっちが起こさ
    れてしもてかなわんわ。
冬子) よし…。

**********

冬子) おはようさん。
春男) アホ! 2日目でもう遅刻して
    どないすんねんな!
冬子) 遅刻て大げさやな。
春男) 何が大げさや!
冬子) ちょっと寝過ごしただけやんか。
春男) それを遅刻言うね! これは仕事や。
    遊んでんのとちゃうねんぞ!
冬子) 分かってます。すんませんでした。
辰造) ハハハ…。2日目はきついわな。
冬子) 工場長、こんな早よから
    来てくれてたん?
辰造) ゆうべは何や懐かしゅうてな、この
    近くで飲み過ぎてしもて、結局この
    上で寝かしてもろたんや。
冬子) 工場長、まだそんな飲んでんの?
    もうあかんやん。
    年なんやから気ぃ付けな。
辰造) はい。
春男) 何お前偉そうに注意してんね。
    早よ仕事せえ。
冬子) 何からやったらええの?
辰造) 冬ちゃん、ちょっとこっち来てみ。
冬子) はい!
辰造) 今日は、食パンの仕込みの
    手順教えるさかいな。
冬子) はい。
辰造) この水が仕込み水や。
冬子) はい。
辰造) この水の80%で、砂糖と塩を溶かす。
冬子) はい。
辰造) 残りの20%で、イースト溶かすね。
冬子) はい。
辰造) まっ、その小麦粉、
    ふるいに通してもらおか。
冬子) はい。
辰造) ドバッっと。ドバッと。


**********

照子) あの…斉藤さんがお電話で、移籍が
    どうのとおっしゃってたんですけど、ま
    さか…夏子はこの会社をクビになるん
    でしょうか?
青田) いや、おかあさん。夏子さんを、我々
    が手放す訳ないじゃないですか。
    なあ? 斉藤君。
斉藤) レコード会社です。
    実は、レコード会社を移籍させよう
    という、話があるんですけど。
照子) レコード会社?
    今のままやったらあかんのですか?
    まさか…さじ投げられたとか。
青田) いや、おかあさん。そんな悪い方向
    に悪い方向に考えないで下さいよ。
    おかあさんらしくないじゃないですか。
    新しいとこに移るんですよ。
斉藤) 夏子ちゃんは、テレビではそこそこ
    活躍してるし、ミュージカルの舞台に
    出て、歌手として、レコードも5枚出し
    てます。ただ、そのレコードに決定打
    が出ないという事で…。
青田) だからね、ちょっと路線を変えようと
    思いましてね。それが私の提案なん
    ですよ。
照子) 路線?
青田) ええ。今の歌謡界はこう…何と言うん
    ですかね。演歌でもなければ、歌謡曲
    でもない。いわゆる和製ポップスです  
    よね。これはもともとがビートルズとか、
    あの辺から出てグループサウンズに
    つながって、まあ、うんと前に戻れば、
    ロカビリー辺りからずっとこうつながっ
    てきてるんですけれども。まあ循環コ
    ードだとか三連符だとかいろいろ入っ
    てこういう…。
斉藤) あの、社長…社長。
青田) あっ、まあとにかく
    そういう事なんですよ。
照子) つまり…どういう事ですか?
斉藤) そういう事で、ここは、レコード会社も
    移籍し、ディレクター、作詞家、作曲家、
    スタッフも一新して、歌手いわたなつこ
    の巻き返しを図ろうと、そういう訳ですよ。
    おかあさんに、異存はございませんか?
照子) はい。よろしゅうお願い致します。
青田) それにしてもまあ、こういうふうにすると
    いう事は、これ一種の賭けですからね。
    ある程度覚悟してもらわないと。
照子) 覚悟…。どういう…?
青田) いや、あの…これでヒットしなかったら、
    いわたなつこの歌手生命っていうのかな。
    ちょっとこう…む…難しく…なあ?斉藤君。
斉藤) あ…はい。
青田) 3曲目! おかあさん。1曲目がヒット
    しなくても、3曲目は必ずヒットさせる。
    これが私の目標なんですよ。
照子) 3曲目。
青田) ええ、そう。夏子さんね、これからその
    曲をヒットさせるためにはね、いろんな
    事挑戦してもらわなきゃなんないからね。
    忙しくなるよ。覚悟してもらわないとね。
斉藤) ちゃんと、キャンペーンをやろうという
    事です。もちろん我々が、全力で後押し
    する事は、変わりませんから。
夏子) 私、頑張ります。よろしくお願いします!
照子) 私も頑張ります!
    よろしゅうお願い致します!
青田) いや、おかあさん、そうこなくっちゃ。
    みんなで頑張ろう。
照子) はい。頑張ります。


**********

夏子) 冬ちゃん、
    ほんまに宝塚やめてしもたん?
照子) そうなんよ。もうあの子には
    あきれてしまうわ、もう…。
夏子) 何や、ちょっと、残念やな。
照子) うん。けど…私がええって言うたんや。
夏子) お母ちゃんが!?
照子) うん。フフッ。
夏子) 冬ちゃん、喜んだやろな。
照子) あの子はもう言いだしたらきかへん子
    やからね。あっちぶつかりこっちぶつか
    り、流されやすいし溺れやすい。けど、
    結局は、誰のわらもつかまへん子ぉや。
夏子) そういうとこ、お母ちゃんそっくりやね。
照子) いや、そんなゾ~ッとするような事
    言わんといて。けどそうやったら、あ
    の子も周りも苦労するわ。
夏子) ほんまや。
照子・夏子) フフフ…!
夏子) …そやけど、お母ちゃん、変わったね。
照子) うん?
夏子) 何や、優しなった。
照子) 夏子…お母ちゃん、
    そんな優しなかったか?
夏子) 別にそういう意味やあらへんねんけど。
照子・夏子) フフフ…。
照子) 夏子。…お母ちゃんね、
    東京に出てこうかなて思てるんや。
夏子) えっ?
照子) あんたのそばにいてあげたいねん。
    迷惑やろか?
夏子) 何言うてんの?
    ほんまに、そんな事してええの?
照子) ええんよ。お母ちゃんほんまは料理
    かてできんねんで。フフフ…。
    今まで、寂しい思いさして、堪忍ね。
夏子) やめてえな。
    何や、お母ちゃんらしないな。…けど、
    そやったら、うんと頑張らなあかんね。
    お母ちゃん、がっかりさせへんように。
照子) うん。頑張ろね。
夏子) うん。


**********

辰造) パンチは、生地の周りを持ち上げる
    ようにして、折り畳むように。
春男) そうそう…。おいおい…強い強い強い
    強い強い! 生地が締まり過ぎてまう。
    そっとそっと…そうそう…。
    そやそやそや。
辰造) ええか? 冬ちゃん。パンチする目的は
    やな、生地を折り畳んで内と外を変える
    事によって、生地の温度を平均にする事
    や。生地の中の炭酸ガスを抜いて、新し
    いガスの、発生を促すね。それによって
    発酵力が増して、風味を、十分に、引き
    出されんのや。
春男) さすがやな、工場長。
冬子) 学校の先生みたいやな。
辰造) まあ昔は、そんな理屈考えんと
    やってたんやけどな。
春男) あかんやんか、それ。何や。
辰造) よっしゃ。もうその辺でええやろ。
    そしたらこれを、もう30分ぐらい、
    寝かすんや。よいしょ!
春男) こらこらこら…! こらっ!
    手で汗拭きな。
冬子) あっ、顔汚れた?
春男) 顔はええねん。どうでもええ。
    これどうでもええね。
    手ぇ汚したらあかんやろ!
冬子) あっ! あ…そう…。
    まだタカラジェンヌが抜けへんね。
春男) ハハハ! 何がタカラジェンヌや。
    初めからそっちのガスは
    抜けっ放しやったやろ。
冬子) 失礼な。
辰造) ハハハ…!
喜介) こんにちは。
冬子) あっ、喜介さん!
喜介) 何や何やえらい楽しそやないですか。
    ワオ! 工場長! 懐かしいな~!
    …って何ですか? このチョビひげ。
辰造) お前相変わらずにぎやかな男やなあ。
喜介) 工場長もそれ以上はもう、
    老けられませんね。
辰造・喜介) ハハハ…!
春男) やかましい、やかましい。
    2人そろうとやかましい。
    どないしたんや? 喜介。
喜介) そら様子見に来ましてんがな。
    あの冬ちゃんがパン屋になったって、
    ほんまやったんですね。
冬子) ほんまやよ!
喜介) いや~俺はいつかこうなるんやない
    かて思てたんや。この日が来る事を
    信じてたんや!
春男) 大げさやな。
喜介) そやから俺は冬ちゃんの舞台やいう
    たかて、見にも行かへんかったんや。
春男) あれは興味なかっただけやろ。
喜介) いや、けどよかったですね、大将!
    この工場も、生き返ったみたいや。
春男) アホ。いっぺんも死んでへんわ。
喜介) あ…ハハッ。
辰造) そや、喜介。今生地発酵さしてるとこや。
    暇や。久しぶりにお前何か歌え。
喜介) そうですね。
    けど、ギター持ってきてませんね。
辰造) わしらもたまには、
    おしゃれして歌いたいな。
春男) 誰に言うてんねん、それ…。
    誰に言うてんね。
喜介) 恒がいてたら、
    イースト隊も、生き返んねんけどなあ。
冬子) あ…あっ、そや。
    「岩田冬子と、イースト隊」や。
    「ウインターとイースターズ」や!
春男) ハハハ…何や、それ。


**********

冬子) ♪忘れられないの あの人が好きよ
    青いシャツ着てさ 海を見てたわ
    私は はだしで 小さな貝の舟
    浮かべて泣いたの わけもないのに 
    恋は 私の恋は 空を染めて燃えたよ
    死ぬまで私を ひとりにしないと
    あの人が言った 恋の季節よ
    恋の季節よ


**********

さて、大阪に戻ったお母ちゃんは、
弘子ねえちゃんから、
料理を教わる事にしました。


照子) お待ち遠さん。
弘子) はい。夏ちゃんは、
    サバが好きなんです。
照子) サバ? 私も好きや。
弘子) そしたら今日は、サバのみそ煮と、
    船場汁を作りましょ。
照子) サバ尽くしやね。私の大好物や。
弘子) おかみさんが作らはるんでしょう?
照子) そうや。東京で夏子に食べさして
    あげなあかんね。
弘子) サバは、2枚におろしたのを、
    4切れに、切ります。
照子) ふ~ん。
弘子) はい。
照子) うん。
弘子) いや、切って下さい。おかみさんが。
照子) あっ、そ…そやえ。え…4切れは…。
弘子) 違います!
照子) えっ?
弘子) う~ん…。こうです。
照子) ああそや。忘れてたわ。何年かカレー
    とおうどんしか作ってへんから。
弘子) そしたらここに、一文字に飾りを
    入れて、霜降りにします。お湯を、
    かけるんです。
照子) ふ~ん。そしたらこれで、もうお鍋で
    だしと一緒に煮たらええんやね?
弘子) 違います違います。
照子) えっ?
弘子) 先に、しょうがの皮をひくんです。
照子) えっ? …ふ~ん。
    そしたらおみそはどうすんの?
    これ、みそ煮や。
弘子) うん。おみそは、途中で、お砂糖と
    一緒に溶いて入れるんです。
照子) へえ~。
弘子) そして…あちっ!
照子) ん? 大丈夫か?
弘子) 落とし蓋をして、弱火で、
    う~ん…5分くらいやろか。うん。
照子) へえ~。弘子ちゃん、あんた、
    おばあちゃんみたいやね。
弘子) 何言うてるんですか。自分より
    10以上も年下つかまえて、おば
    あちゃんは失礼ですわ。
照子) 弘子ちゃん、
    私よりそんな年下やった?
弘子) もう何言ってるんですか! 失礼やわ!
照子) いや…あ…そしたらここに来た時は
    いくつやった?
弘子) まだ、18でした。
照子) いや…そやったん…。えらいこっちゃ。
弘子) 何がですか?
照子) えっ? いやいや、別に…。
    えらいこっちゃ。
弘子) さっ、早よやりましょ。
    明日は、バッテラ作りましょか?
    これも夏ちゃんの大好物ですから。


お母ちゃんは、
弘子ねえちゃんが、突然、
一人の女性となって、
そこにいるような気がしました。

**********

ちゃっかり恒夫兄ちゃんも加わって、岩田春子
とイースト隊の華麗なステージが~! しかも、
ピンキーとキラーズの、「恋の季節」だなんて!
子どもの頃、あの帽子をかぶって、一応マネを
しているつもりの写真が残っている私としては、
何ともうれしいサプライズ! ホント懐かしい~。

恋の季節 ピンキーとキラーズ MV


家事は弘子ちゃんに任せっきりだった照子が、
夏子のために料理を習おうとするものの、その
ダメダメぶりに笑ったけど、そこから弘子ちゃん
がお年頃を過ぎている事に気付く展開が秀逸。
おばあちゃんみたいってのは…ひどいよね~。
ここにきて、ようやく弘子ちゃんにもスポットが!
あの人と幸せになってほしいけど…ワクワク♪


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