「てるてる家族」(再放送)第115回 | 日々のダダ漏れ

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「てるてる家族」 第115回

昭和43年3月、宝塚音楽学校を卒業した冬子
(石原さとみ)は、歌劇団には入団せず家業の
パン屋を継ぐと決める。しかし春男(岸谷五朗)
は冬子の決意の程を疑い、厳しい態度で下積
みからパン修業させようとする。そこに冬子の
頼みで辰造(でんでん)が現れ、冬子にはもう
下積みはいらない、パンを作る楽しみを覚えて
いけばいいと言う。一方、斉藤からの電話で夏
子の移籍話を聞いた照子(浅野ゆう子)は、東
京へ向かう。

**********

昭和43年3月、私は、
宝塚音楽学校を卒業しました。

けど、宝塚歌劇団には入団せず、
私は、家業のパン屋を
継ぐ事に決めました。

そんな私の決断を、
後押ししてくれたのは、
意外にもお母ちゃんでした。


(回想)
照子) 分かった。
    あんたの好きにしたらええわ。
    お母ちゃんは、あんたの味方や。
    あんたが後悔しても、お母ちゃん
    あんたの事アホとは思わへん。

**********

だけど、お父ちゃんからは、
まだ何も言ってはもらえませんでした。


照子) 寝られへんの?
春男) うん。
照子) 何考えてんの?
春男) 冬子の事や。
照子) 冬子の何?
春男) 何やあらへん。
    どないすんねんな、これから…。
照子) 「パン屋になる」言うてるやないの。
    あんたよかったね。後継ぎが出来て。
春男) アホ! そんな事させられへん!

(布団から起き上がり、電気をつける照子)
春男) えっ!? 何や?
照子) あんたはまだそんな事言うてんの?
    何があかんのか言うてみい!
    宝塚までやめさしといて、
    今更何ねんよ!?
春男) 俺がいつ「やめえ」言うたんや?
照子) あの子の好きにさしたって!
    冬子はそういうふうにしか生きら
    れへんね! 私と一緒で、純粋な
    生き方しかでけへんね!
春男) 純粋いうのはどやろな?
    考えなしいうのやったら分かるけど。
照子) あんたは自分の子どもが
    信じられへんの?
春男) 信じてるわ。そやから余計な苦労
    背負わしたないね。ほかにもっと、
    あの子にできる事あるはずや。
照子) それが何でパン屋はあかんの?
春男) 「パン屋はもうあかん」て
    お前かて言うてたやろ!?
    冬子に、パン屋継がしたいいう
    気持ちがわくぐらいやったら、
    和人かて引き止められたんや。
照子) 冬子と和ちゃんは違うわ。
春男) どこがどう違うね?
照子) 冬子は家族やないの。家族やったら
    どんなに困ったって、お給料の心配せ
    んかて済むやない。
春男) そういう問題か?
照子) 自分の給料は自分で稼がしたらええ
    ん。自分で稼がれへん思たら、やめた
    らええねん。もうあの子が納得するま
    でやらしてやって! あの子はせっかく
    この家に生まれてきたんや。あんたの
    子どもとして生まれてきたんや。あの
    工場、潰れそうなんやったら、あの子
    の好きなようにやらしてやって! あん
    たのこの腕、いっぺんぐらい、腕ごとあ
    の子に貸したって! 貸したって!
春男) 痛い、痛い…。はあ…まあな…。
    何や言うても…冬子、嫁に出すまでの
    事やしな。そう深刻に考える事もあら
    へんねやろけど…。
照子) けど、真剣に向き合うたってや。
    あの子本気なんやから。
春男) そんな事言うて…。しばらくしたら、
    また「ほかの事やりたい」言いだす
    んとちゃうか? 冬子の事やから…。
    なっ? ありえるやろ? 
    俺な…そこんとこ一番心配やね。


**********

(目覚まし時計のベル)
秋子) はあ…。はいはい…。
(目覚ましを止める秋子)
秋子) えい! はあ…。
    冬ちゃん…ほんまにやんの?
冬子) う~ん…はあ…。ごめんな。
    起こしてしもて…。
秋子) お父ちゃん、「ええ」言うたん?
冬子) ううん。言うてへん。
秋子) それでもやんの?
    もう好きにしたらええわ。
冬子) うん…好きにする。う~ん…。
秋子) 冬ちゃん!
冬子) う~ん…負けへんで…。
秋子) はいはいはい! …・うん。
冬子) ああ!


**********

冬子) おはようさん。
    今日からよろしゅうね。


和ちゃんは、
大手の製パン会社に就職し、
その近くのアパートに、
引っ越していきました。


冬子) よし!

**********

冬子) お父ちゃん、おはようさん!
春男) ああ!? 何やその挨拶は?
冬子) あ…おはようございます!
    今日からよろしゅうお願い致します!
    そしたら…ええの?
春男) お前…本気なんやな?
冬子) 何べんも言うてるやんか!
春男) 何や!? その返事は!
冬子) はい。あ…本気です。
春男) やるて決めたら俺は厳しいで。
    ついてこられるか?
冬子) 大丈夫や。
    厳しいいうたかてお父ちゃんやろ。
春男) お父ちゃんやない! 大将や!
冬子) え…ヘヘヘッ。
春男) 何がおかしい? 何がおかしい?
冬子) いや…はい!
春男) ちゃんとけじめはつけてもらうで。
冬子) はい。分かりました。
    よろしゅうお願いします。
    ほな、何からやったらええの?
春男) そこにある物みんな洗う!
冬子) えっ!? いや…
    私はパンが作りたいのに。
春男) アホ! それがパン作るいう事や!
冬子) はい。わ…分かりました。
春男) 疲れるわ、本当…。はあ…。
冬子) あっ…大将。お父ちゃん。
春男) 何や?
冬子) 気ぃ付かへんやんか、大将言うたかて。
春男) 何や!?
冬子) あんな、もしかしたら、もうすぐ…。
辰造) おはようさん!
冬子) あっ!
春男) 工場長!
冬子) ほんまに来てくれたん!?
辰造) 冬ちゃ~ん。
冬子) おはようさん、工場長!
辰造) おはようさん。
    ほんまにやんねんな!?
冬子) うん、
辰造) ええなあ、この格好。よう似合てるがな。
冬子) ほんまに? おおきに!
春男) いや…ど…どないしたん?
辰造) 大将、お久しぶりです。
春男) ああ…。
冬子) 私が頼んでん。お父ちゃんが、
    当てにでけへんかったから、
    「できたら今日から来てほしい」て。
春男) 「来てほしい」て…。
辰造) いや、大将、あれですわ。わしが、冬
    ちゃんのために、来とうて来ましてん。
    そやから何も気にせんといて下さい。
    わし時間の許す限り、見てやりたいん
    ですわ。
冬子) ありがとう、工場長。
春男) いや、そやけどそんな、
    甘えるような事…。
辰造) ええんですって! わしうれしゅうて!
    あの冬ちゃんが、パン屋になりたい
    やなんて…。何や、わしらがここで、
    働いてきた事まで、認めてもろたよう
    な気ぃして…。わし…うれしゅうなって
    ほんま…。(泣)
冬子) こ…工場長…はい。
春男) あっ、それ雑巾。
辰造) わしにできる事やったら、
    何でも、やらしてもらいますよって。
冬子) ありがとう!
春男) そやけど先行きない商売やさかいな。
辰造) 何言わはるんですか、大将!
冬子) そや!
辰造) 大将がそないな事言うて
    どないすんですか!?
冬子) そや!
辰造) 大丈夫ですって! 大手には大手の、
    ちっちゃい店にはちっちゃい店の、
    やり方いうもんがあるはずですわ。
冬子) そや!
辰造) わしはまだまだ、
    パン屋には未来ある思てます。
冬子) はい!
辰造) その未来は、冬ちゃんみたいな、
    若い力がないとあかんのですわ。
冬子) あかんのや!
辰造) わしは冬ちゃんを、日本一の、
    パン屋にしたろ思てます!
冬子) ついていきます、工場長!
辰造) よっしゃ!
冬子) はい!
辰造) ほな早速始めよか!
冬子) はい!
辰造) 大将。
春男) はい!
辰造) 昨日の仕込んだ生地は?
春男) あ…あります。
辰造) ほな冬ちゃん。
冬子) はい。
辰造) ちょっと来てみ。
冬子) はい!
春男) いや、あの…洗い物、これ…。
冬子) あっ、お父ちゃん、頼むわ!
春男) はい。…えっ?


**********

冬子) うわ~さすがやなあ、工場長。
    腕は落ちてへんね。
辰造) へへへ…。
春男) 何生意気言うてんね。
辰造) この辺は基本や。冬ちゃん、やってみ。
冬子) はい!
辰造) おお~さすがやな。
    なかなか筋ええがな。
冬子) フフフフ!
春男) ほんな甘いわ、工場長。
辰造) ええやないですか。
    ええか? 冬ちゃん。
    冬ちゃんはな、パン作る楽しみ、
    どんどん覚えていくこっちゃ。
冬子) うん。
辰造) 下積みの苦労なんか
    せんかてええからな。
冬子) ほんまに?
辰造) おお! 冬ちゃんがちっちゃい時から
    ここに来て遊んでた時間、ここが冬ち
    ゃんの家やいう事が、もう立派な下積
    みなんや。あとは楽しみながら、覚え
    てったらええね。
冬子) はい!
春男) ハハッ…。
辰造) ハハハ!
冬子) フフッ!


**********

電・照子) …あっ、もしもし。
      斉藤さんですか? 岩田です。
      夏子がお世話になっております。
      あの…実は…斉藤さんに
      ご相談させて頂きたい事が…。
      斉藤さんもですか? はい…。
      えっ? 移籍!? そしたらその
      お話は、そちらに行って詳しく
      聞かせて頂きます。ええ。
      私がそちらに行きます。…はい。
      夏子にも会うて、一緒に話伺わ
      せて頂きます。そしたらまたすぐ
      ご連絡します。…はい。では、
      よろしゅうお願い致します。
      ごめんください。

(受話器を置く照子)
照子) はあ…よし。

**********

松本) えっ!? ほんまに冬ちゃん、
    パン屋の修業始めたん?
秋子) そやねん。今朝から。
萩原) もう、わしは宝塚楽しみにしてたのに…。
松本) あんたは歌劇いうより動物園やろ?
萩原) カ~ッ!
弘子) そやけどこっちの方が冬ちゃんには
    合うてるかも分からへんわ。
秋子) 宝塚より合うてるかも分からへんな。
弘子) 何や昔から大将と冬ちゃん、
    馬合うてるもん。
冬子) 弘子ねえちゃん!
弘子) あっ、冬ちゃん!
冬子) あっ、おっちゃん!
松本) 冬ちゃん! よう似合てるなあ!
萩原) ほんまや。かわいいで!
冬子) なあ、見て見て!
    これ、私が焼いたパンやね。
    まだ温かいで。なっ、買うて!
萩原) へえ! もう焼いてんのか?
松本) よっしゃ! 記念に買うたるで!
冬子) まいど!
弘子) 何や冬ちゃん、楽しそうやな。
冬子) 楽しいわ。
秋子) お父ちゃん、許してくれたん?
冬子) うん。工場長も来てくれてん。
秋子) えっ! 工場長もいてんの?
松本) 辰造さんが!?
萩原) 戻ってきたんか?
冬子) 私の先生やねん。昔みたいやで。
    昔の工場みたいやわ。
秋子) 私も行こ!
冬子) 弘子ねえちゃん、あとお願い。
弘子) はい。
冬子) 行こ、行こ!
弘子) 何やこの店もいっぺんに
    明るなったみたいやなあ。


**********

辰造) それからまたそいつに聞いたってん。
    小麦粉のたんぱくと水が結合して、
    粘りと弾力性を生み出すんやけど、
    その粘りと弾力を出す、たんぱく質を
    何て言うかってな。そしたら、若者が
    真面目な顔して答えよった。
    「はい。わんぱく質です」。ハハハ…!
秋子) 工場長。
辰造) ハハハ…! うん?
秋子) 答えはグルテン。
辰造) 秋ちゃん、さすがやなあ。
秋子) 昔千吉博士に教えてもろた。
冬子) 懐かしいな。ラーメン博士!
春男) 麺類の人やろ?
    おっきい会社になってんのやろな。
照子) ♪オンリー ユー
辰造) おかみさん!
照子) いや~工場長や~!
辰造) お久しぶりです。
照子) いや~ご無沙汰してます。
    どないしたんですか? 工場長。
冬子) 私の先生やねん。
    時々タダで教えてくれるて。
照子) ほんま? よかったね、冬子。
    工場長、おおきに。工場長にもしもの
    事があったら、私らでちゃんと恥かし
    ないようにさして頂きますから。
春男) なんちゅう事言うね。
辰造) ハハハ! そらどうも、おおきに。
照子・辰造) ハハハ…!
照子) あんたしっかりやってんのか?
冬子) やってるで!
照子) そうか。
    そんな事どうでもええねんけど。
    あんた! 私明日東京行ってくるわ。
    ええでしょう?
春男) 東京…もう行くんか?
秋子) 「もう」?
照子) まだや。斉藤さんがね、話があんね
    んて。ついでにあの話夏子にしてこ思
    てんねんけど。ねえ、ええでしょ~?
春男) ええで。
照子) うん。ほな早速、
    美容院に行ってきます。
春男) そら別に行かんでも…。
照子) そしたら工場長、よろしゅう。
    ♪オンリー パ~ン!
春男) 美容院は…何や、もう…。照子…。
辰造) おかみさん、相変わらず忙しそやなあ。
冬子) なあ、東京で、
    夏子姉ちゃんに話て何やの?
春男) あ…お母ちゃんな。
冬子) うん。
春男) 東京で、
    夏子と一緒に暮らす事考えてんね。
冬子) えっ!
春男) 夏子、ずっと一人やったやろ?
    さて…やるか! ああ…。
秋子) 私も戻ろ。


それぞれの春が、またみんなに、
何かの始まりを、告げているかのようでした。

**********

師匠と弟子の関係となった冬子と春男のやり
取りが楽しい。そこに工場長が加わって更に
楽しくなるのは、今までの積み重ねのたま物。

工場長の言う通り、ちっちゃい頃から工場で
遊んでいた時間、パンと一緒に育ってきた時
間全てが下積みというのは分かる気がする。
パンが大好きで、パンを売るためにどうしよう
か考えて、てるてるパンを考えて…冬子はず
っとパンと一緒に大きくなってきたようなもの。
冬子がパン職人になるのは今思えば自然な
流れ。なるべくしてなったんだと素直に思える。

パン作りをしている冬子は本当に楽しそう。そ
して、春男も辰造も楽しそう。冬子が元気だと、
笑っていると、工場も店も、明るくなるようで…。
私も冬ちゃんの焼いたパンが食べてみた~い。


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