「てるてる家族」(再放送)第83回 | 日々のダダ漏れ

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「てるてる家族」 第83回

夏子(上原多香子)がコマーシャルの撮影現場
からいなくなった。そのころ大阪では、何も知ら
ないはずの照子(浅野ゆう子)が、なぜか胸騒
ぎがしていた。夏子に何かあったかもしれない
と思った照子は、東京の夏子に手料理を届け
ようと考える。だが、いざ料理しようとしても、何
を作っていいのか思いつかない。今まで夏子た
ち姉妹のために料理を作ったことがなかったこ
とに気づき、照子は自分を責める。そこへ、東
京からの電話が…。

**********

夏子姉ちゃんは、
コマーシャルの撮影現場から、
いなくなったのでした。

そんな事を、
私たちはまだ知りませんでした。


**********

弘子) あっ、冬ちゃん。明日はいよいよ
    宝塚の入学式やねえ。
冬子) うん。いよいよ明日!
弘子) おかみさんも一緒に行かはんのやろ?
冬子) 初めてや…お母ちゃんに
    そんなん出てもらうの。
弘子) えっ? そやった?
冬子) そうや。小学校も中学校も、入学式や
    卒業式にいっぺんも出てもろた事あら
    へんねんで。お母ちゃんは、いつもお店
    の事や、お姉ちゃんらの事で、手いっぱ
    いやったし。
弘子) 冬ちゃん、
    寂しい思いばっかりしててんなあ。
冬子) 別に、それが当たり前やと思てたし、
    寂しいて思た事あらへんよ。ほら、運
    動会かて、お母ちゃんに来てもろた事 
    あらへんやんか。私と秋ちゃんは…。
弘子) そやったなあ。いつも私がお弁当届け
    てたなあ。おかみさん、春ちゃんと夏ち
    ゃんの学校には、毎年必ず行ってはっ
    たのにな。
冬子) 春子姉ちゃんと夏子姉ちゃんは運動
    神経がええよって。お母ちゃんかて楽
    しかったんや。
弘子) ごめんな。冬ちゃんらは、私で…。
冬子) ええねん! 運動会は、お母ちゃん
    に来てもろたら困るて思てたし。
弘子) 冬ちゃんいつも、ビりやったしな。
冬子) うん。
弘子・冬子) フフフ…!
冬子) いや~それがな、今度はお母ちゃんの
    方から「入学式に行く」て言うてくれてん。
    何や、初めてお母ちゃんに注目されたみ
    たいで、こそばいわ。はあ~。


**********

斉藤) 一体どうしたんだ…?
サトコ) あ…。
斉藤) えっ?
サトコ) そういえば夏子ちゃん、
     さっきメークしてる時…。
斉藤) 何ですか!?
サトコ) いえね、その前にディレクターさんが
     来て、「いい演出思いついた」って、こ
     れを。そしたら…。


(回想)
夏子) できない…。もうでけへん…。


斉藤) え~っ!? 「できない」!?
    何を言ってんだよ、今更!


**********

(お店にてるてる坊主を吊るす照子)
トミ子) 何ですの? こんなようけ!
照子) 今日はね、東京で夏子に大事な
    仕事のある日なんです。その成功
    をお願いしてね。何かしてへんと
    落ち着かへんのですわ。

(トミ子のくしゃみで落ちるてるてる坊主)
照子) 大丈夫ですか? うわっ、うわっ!
トミ子) あっ!

**********

都子) あら照子さん! どないしたん?
照子) 都子さん、ちょっとええ?
都子) …うん。ええよ。
寺井) はあ。
照子) ねえ…これ見て。

(てるてる坊主を取り出す照子)
都子) はあ?
照子) いっぺんに落ちてしもたんよ。
    夏子のために作ったてるてる坊主。
    どないしょ…?
都子) てるてる坊主? …ああ! あの照子
    さんのお守りみたいなもんやなあ?
照子) そうなんよ。縁起悪いやないの。
    何か、胸騒ぎがすんのよ…。
都子) えっ! 胸騒ぎ?
照子) 夏子に何かあったん違うやろかて、
    妙な胸騒ぎがすんの。
都子) 何か思い当たる事でもあんの?
照子) こないだ会うた時にね、何か無理して
    んのとちゃうかなあって気になってしょ
    うなかったんよ。
都子) 無理なあ…。
照子) 私の前では、明るうしてるんやけど、
    ほんまは、何か悩んでんのと違うか
    なあって…。
都子) そらなあ、東京なんてとこは人の温か
    みなんかあれへんもん。ましてやで、
    夏ちゃんのおる芸能界なんて、顔で笑
    て心で泣いて。無理せなやっていかれ
    へんとこやさかい。
寺井) 何分かったような事言うてんね。
    東京なんて行った事あらへんくせに。
都子) よう行かんわ、そんなとこ!
照子) 私…今から東京行こ思てます。
都子) えっ、今から!?
照子) それでね、都さん。大阪名物いうの
    持ってって、あの子励ましてやりたい
    んやけど。何がええやろか?
都子) お…大阪の名物?
照子) 大阪にいた頃の、ええ思い出がよみ
    がえってくるみたいな、そういう大阪の
    匂いのする、お土産…。
都子) やっぱりたこ焼きやな。
照子) ああ~!
    けど、夏子、たこ嫌いやねん。
都子) ほんま?
照子) うん。
都子) あかんな。ほか何やろな…?
    なああんた!
寺井) うん?
都子) 大阪名物て何やろ?
寺井) 大阪いうたら、通天閣やろ。
照子) ああ~! けどそれちょっと重たいわ。
都子) いや、ちょっとてこんな…。
照子) 家族の写真はあっちに持ってってるし、
    てるてる坊主はみんな落ちてしまうし。
    やっぱり…食べるもんがええんやろか?
寺井) 僕、食べるもんの中で
    一番好きなん何や?
男の子) お母ちゃんのごはん!
      お母ちゃんのご飯が一番好きや!
寺井) そや…おふくろの味や!
    ちっちゃい時に食べてたその味思い
    出したら、また明日頑張ろういう気に
    なるで。何よりの励ましや!
都子) そうやんか! それがええわ! なっ?
照子) …うん。


**********

冬子) あっ、お母ちゃん!
弘子) あっ、おかみさん。どないしはったん
    ですか? こんな早い時間に…。
照子) ちょっと…。
冬子) あっ、明日の服? 明日入学式に着て
    いく服用意すんの忘れたんと違う?
弘子・冬子) フフフ…!
冬子) そうや、絶対!
照子) …冬子。
冬子) えっ?
照子) ごめん…。
    お母ちゃん明日、行かれへんわ。
冬子) うん?
照子) これから東京行かなあかんね。
冬子) 東京…?
    夏子姉ちゃんに何かあったん?
照子) 何か…胸騒ぎがすんね。
冬子) えっ?
照子) 何かあったんやないかって、気になって
    しゃあないんよ。それにあの…今日はね、
    コマーシャルの撮影の日やねん。終わっ
    たらあの子を、ねぎろうてやりたいんや。
    そやから…堪忍ね。ほんまに…堪忍ね。
冬子) 胸騒ぎ…。
    胸騒ぎに…負けてしもたわ…。


**********

その頃、夏子姉ちゃんはまだ
見つかっていないようでした。


夏子) (すすり泣き)
    お母ちゃんのアホ!


(回想)
照子) あんたが頑張ってくれるおかげで、冬子
    かて頑張れるねん。春子かてそや。新し
    いスケート靴も買うてやりたいし、試合用
    の衣装ももっと華やかなもん作ってやりた
    い。秋子かて、来年は大学受験やし…。


夏子) (すすり泣き) アホ…!
    私は…誰のためにやってんの?
    私は…スターなんてもうなりたない!
    お母ちゃんのアホ!

**********

春男) どないしたんや?
    あっ! 明日入学式やなあ。
冬子) うん。
春男) 何や? そんなうれし泣きしてからに。
    そんなつかんどかんかて制服は逃げ
    ていかへんで。大丈夫や。お前はちゃ
    んと合格したんや。
冬子) そやね。
春男) けど、入ってから苦労すんで。
冬子) うん。分かってる。
冬子) 頑張るよって大丈夫。
春男) うん。

**********

春男) 照子…? えっ? どうしたんや?
    何してんね? めまいでもしたんか?
    …何してんね?
照子) あのね…夏子に私の手料理
    作って届けよ思たんや…。
春男) 東京にか?
照子) そやけど…何も思いつかへんね…。
    何もあらへんね…。私が…あの子らの
    ちいちゃい時に、作った料理なんて…
    何もなかったんや…。当たり前や! 作
    った事あらへんのに、あるはずないわ!
    あの子らには…初めから…母親の味
    なんかなかったんや…。記憶にあらへ
    んのや。一生あらへんね…。
春男) しゃあないて…。お前はずっと働いて
    きたんや。みんな分かってるて!
照子) 何やもう…情けのうて
    涙出てきてしもたわ…。
春男) 何やそんな事ぐらい。
照子) (泣)


**********

喜介) ♪ぜにのないやつぁ 俺んとこへこい
    俺もないけど 心配すんな
    みろよ 青い空 白い雲
    そのうち なんとかなるだろう
辰造) 喜介! 来たで!
喜介) 工場長~! お久しぶりです!
和人) こんにちは。
喜介) 何や、一緒か?
和人) はい。駅で待ち合わせして。
喜介) 材料は買うてきたか?
和人) はい。
辰造) なかなかええ店やないか! ほら。
喜介) おおきに。まっ、一人で気楽に
    やるには、ええ店ですわ。
辰造) ほんまペンの横で
    パン売ってんねんな!
和人) でも、ペンの方が売り上げ
    ええみたいですよ。
喜介) いらん事言うな! ほな、工場長。
辰造) おう! ぼちぼち始めよか。
喜介) はい!
辰造) おお~おお~。おお!
    おお~おお~。ホホホホホ。


**********

電・夏子) はい。岩田でございます。
電・斉藤) 斉藤です。
電・夏子) 斉藤さん…。あの…夏子に
      何かあったんでしょうか?
電・斉藤) やっぱりそちらに
      連絡はないですか…。
電・夏子) えっ…?
電・斉藤) 実は、夏子ちゃん、コマーシャル撮
      影の現場からいなくなってしまって。
電・夏子) いなくなったって…。
      いなくなったってどういう事ですか?
電・斉藤) 突然、「トイレに行く」と言ったまま、
      行方が分からなくなってしまって。
電・夏子) 何でですか?
      何であの子がそんな事…。
電・斉藤) 多分仕事上の悩みだとは思うん
      ですが。メークの者に…。
電・夏子) 「できない」て言うたんですか?
      あの子が…。
電・斉藤) そのようです。「震えていたみたい
      だ」と…。とにかく、捜します。そちら
      に連絡があったら、すぐ事務所に知
      らせて下さい。

(受話器を置く照子)
春男) 夏子どないしたんや?
照子) いてへんようになったって…。
    コマーシャルの撮影所から…。
春男) 何やて…?
ヨネ) …何かありましたんか?
冬子) おばあちゃん! 夏子姉ちゃんが、
    いてへんようになったて!
ヨネ) 夏子が!?
冬子) うん。


**********

(一人街をさまよう夏子)

**********

子供にとってはたった一人の母親と父親。親に
とっては大切な子供が4人。気持ちはあっても、
体は一つ。大阪の冬子と、東京の夏子、2人同
時に一緒にはいられない。となれば、母親が判
断した優先順位に従ってどちらに行くか決まっ
ってしまう。この場合は、「胸騒ぎ」。根拠がない
不安でも、最悪生死に関わるかもと思えば飛ん
でいきたくなる気持ちは分かる。まあ、てるてる
坊主が落ちた事が、胸騒ぎの根拠といえばそう
なるし。分かるけど…冬子の気持ちも分かるだ
けに、今回は、冬子がかわいそうすぎて泣いた。

親はもちろん平等に子供を愛しているつもりで
も…才能のあるなし、手がかかる子、かからな
い子で、実際に関わる時間や手間に差がある
もの。お母ちゃんは太陽で、子供たちはお母ち
ゃんが大好きで、お母ちゃんに自分を見てほし
いと思っている。そんな親子関係が小さい頃か
ら丁寧に描かれてきたわけで…。それゆえに、
小さい頃からの秋子や冬子の不遇も見てきて
いるし、ここにきてやっと冬子の番が来たという
のに、夏子姉ちゃんへの胸騒ぎに負けてしまっ
た冬子がかわいそうで泣けた。けれども、その
胸騒ぎの夏子もまたかわいそうで。子の心、親
知らず。いいところも悪いところも含めて、照子
さんなんだけどね。お互いに気持ちはあっても、
こんなこともあるあるな親子関係がシビアに描
かれるのが、てるてる家族。親もスーパーマン
じゃないし、かといって、子供が我慢しすぎるの
もかわいそうだし。みんな何かを我慢したり、諦
めたりしなければいけない時があると分かって
いても、何とも切ない気持ちになってしまった…。


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