「てるてる家族」(再放送)第76回 | 日々のダダ漏れ

日々のダダ漏れ

日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

「てるてる家族」 第76回

工場を出て行こうとする辰造(でんでん)を照子
(浅野ゆう子)や和人(錦戸亮)は必死でとめる。
すると一人の女性客が、一連の騒動を見て店
の外に出てくる。その女性は辰造の娘・知香子
(松本麻希)であった。ラジオ放送の内容を手
がかりに、池田まで探しに来ていたのだった。
春男(岸谷五朗)は、冬子(石原さとみ)がよけ
いなことをして申し訳ないと知香子に告げるが、
知香子は逆に頭を下げて…。

**********

照子) 工場長! 
    今、行かせる訳にはいかへんわ!
辰造) おかみさん!
照子) 今工場長に行かれてしもたら、冬子は
    どないなんの? 
あの子…どんだけ傷つ
    くか分からへん。どんだけ自分を責める
    か分からへん。あの子のせいやないと
    は言わへん。そやけど、親としてやっぱ
    り、居たたまれへんのよ! せめて、あ
    の子に会うて、ちゃんと話して、「さよな
    ら」言うてから、行ってもらわれへんやろ
    か? お願いします。
辰造) おかみさん…。
和人) 冬ちゃん…。
冬子) ただいま! …どないかしたん?
    工場長…?
辰造) 冬ちゃん。
松本) あらら…皆さんお集まりで~。
    あっ! パン工場分かりました?
    さっきあの人が、「パン工場あります
    か?」言うて聞きはったんやけど。
    ここにいてはるんがそこの大将ですわ!
    …で、このおっちゃんが、工場長。
知香子) 大平…辰三さんでしょうか?
     知香子です。
辰造) ち…知香子…?
冬子) まさか、こ…工場長の…?
春男) いや…! 待ってって! 逃げたら
    あかんよ! 逃げたらあかん…!
知香子) 待って下さい!
     行かんといて下さい!


**********

照子) (小声で) ほんまびっくりしました。
ヨネ) (小声で) うん。そういう事もあるんやな。


**********

春男) あの…ラジオに葉書書いたんは、
    うちのこの娘でして…。実は、勝手
    にやった事で。工場長は…大平さ
    んは、何も知らはれへんかったん
    ですわ。…ほら、冬子。
冬子) え…。あの…どこで聞いてはった
    んですか? ラジオ。
春男) 「すんません」が先やろ!?
冬子) あ…。
知香子) 自宅で。
     アパートの部屋で、聞いてました。
冬子) それにしてもすごい偶然やな。あの
    番組、いつも聞いてはるんですか?
春男) こら! お前は…。
知香子) 仕事しながら、たまにですけど。
春男) ああ…。
冬子) へえ~。
ヨネ) はい、(お茶を)どうぞ。
知香子) あ…すいません。
照子) お仕事は何をしてらっしゃるんですか?
知香子) 神戸で、
     小学校の教員をしております。
照子) へえ~。
春男) 神戸…。
    ずっと神戸にいはったんですか?
知香子) はい。
冬子) 何や! そんな遠くへは逃げて
    へんかったんや!
春男) 「逃げた」て言うな!
冬子) え…?
照子) 神戸で、学校の先生を…。
ヨネ) 立派にならはって。
知香子) いえ…テストの採点しながら、
     たまたま、ラジオつけてたんですよ。
冬子) そうなんや。びっくりしはったでしょ?
春男) (せきばらい)
照子) あの…おいくつになられたんですか?
知香子) あの…失礼なんですけど…
     私の年、お分かりになりますか?
辰造) 25歳。
知香子) そうです。私…あなたの事、全然
     記憶にないんです。すいません。
辰造) いえ…。
知香子) 母から、あなたの名前と、何をやって
     いたかは聞いていました。でも…写真
     のようなものは、空襲で焼けてしまって、
     何もなかったんで。私は…あなたを思
     い出す事ができへんのです。
辰造) ええんです。それで…。
知香子) でも…ラジオを聞いた時に
     すぐ「そうや」って分かりました。
     私も…あなたを捜そうと思てたから
     気ぃ付いたんかもしれません。もう
     じっとしてられへんようなって、池田
     のパン屋さん捜しに来ました。
ヨネ) あんたはんも、辰造さんに会いたかった、
    いう事ですわな?
知香子) はい。
冬子) よかったやんな、工場長!
    なっ? なっ…?
    何で黙ってんの? もう…。
ヨネ) 冬子は黙っとき。
    ほなら…あんたさんのお母さんは、辰造
    さんの事どない思てはりますのやろ?
知香子) 母は…今、体が弱くなって…。今更…
     あなたに合わす顔あらへん言うてます。
ヨネ) そしたら…
    恨んではらへんいう事ですわな?
知香子) 恨むやなんて、ほかの人と逃げたの
     は母ですから…。家を焼け出されて、
     食べる物もなくて、焼け跡をさまよって
     る時に、たまたま、その幼なじみの人
     と出会ったそうです。その人がいてへ
     んかったら、とっくに、飢え死にしてた
     かも分からへんて…。すいません。
     母を許してあげて下さい。
辰造) わしが…私が、あかんかったんです。
    謝らなあかんのは、わしなんや。あんた
    のお母さんに、さんざんひどい事をして
    きたよって…。
知香子) 「よく叩かれたりした」って事は、母
     から聞きました。「気の弱い人やった」
     言うてました。「ほんまは、優しい人な
     んやで」とも言ってました。
春男) あっ、何や…
    よう分かってくれてはるやないか。
知香子) 母は…純粋に…ほかの人を好きに
     なってあなたから逃げたんです。その
     人は…結婚もせずに、ず~っと名字
     の違う私たちを養ってくれました。
     私が…大学を出られたんもその人の
     おかげなんです。それで…今日は、
     お願いがあって参りました。母と…
     正式に別れてほしいんです。その人
     と母を、正式な夫婦にしてあげたい
     んです。最後は、その人の妻として、
     一緒に過ごさせてあげたいんです。
     お願いします!
喜介) ちょっと待ってぇな!
    何言うてんねん、あんた! 何勝手なこと
    さっきから淡々と言うてんねん! 工場長
    が、どんな気持ちで戦争から戻ってきた
    んか、戦後を過ごしてきたんか、あんた
    らはそれ、考えた事あんのんか!?
辰造) ええんや。黙っとけ。
喜介) そやけど工場長!
辰造) ええんや…。何や…そんな事ですか。
    そらすぐに、そうしたらいいですよ。
    何や、そんな事ですか…。
知香子) すいません。
辰造) 何言うてますのや。
    そんな事、気にせんといて下さい。
知香子) 書類は、後日送ります。
辰造) …はい。待ってますよって。
知香子) 失礼しました。
照子) ちょっと待って下さい! それだけ…?
    ほんまにそれだけ…?
辰造) ええんです、おかみさん。ええんです。
照子) それだけで…ほんまにええんですか?
    あなたは…。
辰造) おかみさん。
春男) 照子…。
知香子) あなたの…あなたの付けてくれた
     名前…。知る、香りの子って書いて
     知香子って名前…。
     私…子供の頃から好きでした…。
     ええ名前…ありがとうございました。
辰造) そんな…こちらこそ…。
知香子) さよなら(泣)。失礼します。
辰造) (泣)
    大将。大将…わしの娘が…
    学校の先生に、なってましてん…! 
    大将…!
春男) そうか。
辰造) 大将…おかみさん…奥さん…。わし
    の娘が…学校の先生…してますねん。
照子) そうやってねえ。
ヨネ) よかったな。
辰造) はい。よかった…。ほんまよかった…!
    冬ちゃん…ありがとう。
    ありがとう、冬ちゃん。
冬子) ごめんなさい!
    工場長、ごめんなさい!
辰造) 何言うてんのや。
    ほんま、ありがとうや!
    おおきに! おおきに!
冬子) ごめんなさい!
    工場長さん、ごめんなさい!


私は、悲しかったのではなく、
うれしかったのでもなく、
ただ、泣いていました。
ただ…涙が出ました。


冬子) ごめんなさい!

**********

秋子) 冬ちゃん。
春子) 冬子!
冬子) お姉ちゃん…。
秋子) 大丈夫?
冬子) うん。
春子) 元気出しや!
冬子) うん。
春子) 冬ちゃんのせいと違うやんか。
秋子) 冬ちゃんは、ええ事したて、私思う。
冬子) ほんま?
春子) うん。工場長、ほんまに
    うれしかったんやて、私は思う。
秋子) 私も。
冬子) そやけど…。
春子) あの人とは、工場長、ずっと、家族で
    いてられる思うわ。どんなに離れてて
    も、家族は家族や。自慢の娘さんや。
秋子) やっと家族に巡り会えてん。
    冬ちゃんのおかげやんか。
春子) うん!
冬子) そやろ? そやから私、初めから言う
    たんやで。「会うた方がええ」て。
秋子) すぐこれや。
春子) ほんま。立ち直り早すぎるわ! もう…。

**********

それから、数日がたちました。
私たちも、いつものクリスマスを過ごしました。
その日、素敵な贈り物が、2つありました。
一つは、知香子さんからの手紙でした。
そして、もう一つは…。


電・夏子) お母ちゃん?
電・照子) 夏子!?
電・夏子) 元気? クリスマスで忙しいやろ?
電・照子) 元気やで! 忙しいで!
      どないした?
電・夏子) あんな、来週から、舞台の稽古
      始まんねんけど、見に来えへん?
電・照子) 急に、何言いだすの?
電・夏子) 今日な、事務所の社長さんが、
      お稽古見に来はってん。それでな、
      お母ちゃんを今年のうちに、呼ん
      だらどうかて。社長さんが、宿も新
      幹線の切符も、取ってくれはるて。
電・照子) ほんま!? いや~! うれしいわ!


**********

冬子) メリークリスマス! シャトー特製の
    クリスマスケーキ、いかがですか~?
    メリークリスマス!

**********

泣けた泣けた。朝から心が洗われた。逃げ出そ
うとする辰造を止める春男たちと、すかさずカバ
ンと取り上げる照子。さすが、辰造を闇市でスカ
ウトした時にやはりカバンを取り上げて連れてき
ただけあるわ~。グッジョブ照子! さすがだわ。

戸籍がそのままだという話が出ていたので、妻
側が正式に離婚したいんだろうなとは思ってい
たけれど…。男と逃げたのは本当で、それも純
粋にその人を好きになったからだと言われてし
まったのは、胸が痛んだ。生活のためと言われ
た方がマシのような気もするし、恋をしたからだ
と言われた方が納得できるような気もするし…。
ただ、辰造の人となりを、妻がちゃんと理解して
いたことが娘から伝えられたのは、救いだった。

結婚できなくても、戦後ずっと支えてくれて、大
学にまで行かせてくれた母の恋人と、母を正式
な夫婦にしてあげたいという娘の気持ちも分か
る。本当の父の記憶もないし写真もなかったの
だから。それでも…母親が父親を悪くは言って
いなかったこと、父が名前を付けてくれたことを
娘が知っていたことから、母親も悪い人ではな
いことが分かる。辰造より好きになってしまった
んだよね、きっと。たまたま会った、幼なじみを。

いつもはお調子者の喜介が、工場長のために
飛び出して怒る姿に涙。そして、本当にそれで
いいのかと娘さんを引き止める照子…再びの
グッジョブ! 男泣きしながらも、春男に、照子
にヨネに、娘が学校の先生になっていたとうれ
しそうに報告する姿に涙腺決壊!辰造の親心
に泣けて泣けて。そして、ごめんなさいと泣く冬
子の素直な心にも涙、涙。子供の気持ち、大人
の気持ち、それぞれにあって、それぞれが思い
やりに満ちていて…。あったかくて、泣けてくる。

大人の考えだけでも、子供の考え方だけでも、
奇跡は起こらない。両方あって、補い合って、
いい方に物事が動くこともある。今回は、何の
打算も計算もない、純粋な冬子の気持ちあっ
ての奇跡かなあと。これぞ、朝ドラヒロインらし
い綺麗な涙に、心打たれて、洗われた。お姉
ちゃんたちに慰められて、すぐに元気になるの
もご愛敬。冬ちゃん、ありがとう。視聴者も、毎
日あなたに救われているよ~。ありがとう~♪


「てるてる家族」関連ブログはこちらから↓
「てるてる家族」関連ブログリスト