「てるてる家族」(再放送)第71回 | 日々のダダ漏れ

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「てるてる家族」 第71回

静子(田島寧子)が、照子(浅野ゆう子)と春男
(岸谷五朗)に、母の病気を理由にシャトーを
辞めて佐世保に戻りたいと言い出した。話しを
聞いていた恒夫(松尾敏伸)は、なんとかして
静子の力になりたい、そして静子が受け入れ
てくれるなら結婚して、静子と母親を支えたい、
と言う。静子は恒夫のプロポーズを受け入れ、
みんなに感謝し、佐世保に帰って行った。そし
て、冬子(石原さとみ)はバレエと声楽のレッス
ンを受け始める。

**********

春男) どないしたんや? 改まって。
静子) 実は…暇ば、もらえんでしょうか?
春男・照子) …えっ?
静子) すんましぇん。
照子) ええわ…。静子ちゃん、
    どないしたん? 急に…。
静子) お母ちゃんが…病気なんです。
照子) …千代子さんが?
春男) ほんまか?
静子) 長か療養が必要やろて…お父ちゃんも
    ずっと入院しとりますけん。私が、ついて
    やるしかなかとです。
照子) アホ!
    何でもっと早よ言わへんかったん!?
春男) いや、そんな怒ってどないすんねんな。
静子) すんましぇん! 急に辞める言うて!
照子) そんな事やあらへんて! もう、水くさい
    やないの! 千代子さんが困ってる時に
    私らが何もできへんやなんて!
    もう情けないわ! たまらへんわ!
静子) おかみさん…。
照子) あのね…あんたのお母さんに、私らは、
    どれだけ世話になったか! そやから、
    私は千代子さんの事を親戚て…。
    いや…姉妹とおんなじやて思てる!
春男) そやな。
静子) すんましぇん。
照子) そやけど…そら心配やったねえ。
    早よ帰った方がええわ。
静子) ばってん、私の代わりば探さんと…。
照子) そんな事気にせんかてええて。
    あ…あんた、私も一緒に行ってくるわ。
    しばらく帰ってこられへんかも分から
    へんけど、後よろしゅう頼むね。
春男) せやな。うん。分かった。
静子) おかみさん、そがん事…。
照子) 私の気ぃが済まれへんのよ。
    気にせんといて。
弘子) おかみさん。静ちゃんの事、
    よろしゅうお願いします。
照子) うん。あ…弘子ちゃん。
    留守の間、お店、頼むね。
弘子) 分かってます。
照子) そやけど…私は千代子さんに
    顔向けできへんわ…。
静子) 何でですか?
照子) はあ…。静子ちゃんにね…素晴らしい、
    旦那さんを私が、ちゃんと見つけて、連
    れていきますって、事あるごとに、手紙
    に書いたんよ。ごめんね。忙しさにかま
    けてしもて…。
静子) そがん…。
照子) その約束…とうとう、
    果たせへんかったわ…。
春男) おいおい。
    そ…そんな暗ならんでもな…。
恒夫) あの…。
春男) な…何や…何や? 恒。
恒夫) それ…僕やったらあかんでしょうか?
    僕が一緒に…
    佐世保に行ったらあかんでしょうか?
春男) 何言うてんねん、恒…。えっ?何…?
照子) えっ?
春男) えっ…?な…?えっ…?
    そ…そやったんか? それ…えっ…?
照子) いや…アハハ…! いや…!
    いや、あんたは鈍いわ。鈍い!
    いや、私はね、前々からそうや
    ないかなて思ててんで。
春男) うそつけ!
    今一緒にびっくりしてたやろ。
照子) ええやないの!
    そやけどまあ、恒ちゃんやったら申し
    分なしやわ! 恒ちゃんやったら私は、
    千代子さんに自慢できるわ。
静子) よか! よかけん! 無理せんでも…。
恒夫) 無理やない! 無理やあらへんね!
    冷静に考えてや。「ここ出たら、僕には
    何ができるんやろか」て…。「知らん土
    地で一から、静ちゃんの力になれる男
    に、ほんまになれるんやろか」て…。け
    ど…そうしたいて思たんや! どこまで
    できるか分からへんけど…試してみた
    いて思たんです。…何より、静ちゃん
    の、力になりたいて、思たんです! そ
    やから…苦労かけるかも分からへんけ
    ど、一緒に佐世保に行って…僕につい
    てきてくれへんか?
照子) 何や…すごい場面に立ち会って
    しもたみたいやねえ…。
春男) ほんまや…。あっ、だ…大丈夫や!
    恒やったら、どこ行ったかてパン職人と
    してやってける! 保証したる! それ!
静子) ありがとう。ありがとうございます!


翌日、お母ちゃんは、
静子ねえちゃんと2人、
すぐに佐世保へたちました。

そして、私は…。


**********

珠実) え~皆さん。今日から皆さんと一緒に、
    レッスンを受ける事になった、岩田冬子
    さんです。よろしくね。
冬子) 岩田冬子です。
    よろしくお願い致します!
一同) よろしく!

**********

(バレエのレッスンを受ける冬子)
珠実) はい、下から…はい!
    伸ばして、肘。かがんでるよ。
女の子) 痛い!
冬子) ごめんなさい!
珠実) ほら、伸ばして~。 
    はい、横も思いきり! はい! いいよ。
    後ろも。はい、伸ばして~。はい!
    何やってんの!?
    ほら、シャンとしい! ほら!


**********

(声楽のレッスンを受ける冬子)
冬子) ♪ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ
坂本) 一生懸命歌ってくれてよかったよかった。
    高い音ちょっとしんどいね。
冬子) はい。
坂本) 今度下へいきましょう。
冬子) ♪ラ ラ ラ ラ

**********

それから、
数日後の土曜日です。


春男) もう分かってる思うけど、恒が今日で、
    ここ辞める事んなった。まあ、寂しいけ
    どしゃあない。佐世保行って所帯持つ
    言うねんからめでたい話や。
    明日は、恒にとって門出や!
喜介) よっ、恒!
    嫁さん、首を太うして待ってるやろな!
辰造) 「長うして」やろ!
喜介) わざと!
辰造) わざとか? ハハハ…!
春男) そやそや! 恒な…明るう、送った
    ってや! うん。それじゃ、乾杯!
一同) 乾杯!
春男) …どないしたんや? 冬子。
冬子) けど…寂しいな、やっぱり…。
春男) うれしいやないか! 恒と静ちゃんが
    佐世保で仲よう暮らしてる思たら。なあ?
秋子) そや! 冬ちゃん、うれしい事やわ!
冬子) けど…恒夫にいちゃんとは、ちっちゃい
    頃から、ずっと一緒やったし…。よう遊ん
    でもろたし…。
秋子) ほんまやなあ…。
恒夫) 僕も、ほんまに楽しかったわ。
冬子) 恒夫にいちゃん。
    私の事、忘れんといてな!
恒夫) 何言うてんの。忘れる訳ないやん!
    ここであった事は全部忘れられへん。
冬子) 私も、恒夫にいちゃんの事
    忘れへんで!
秋子) 私も!
恒夫) ありがとう。


**********

弘子) 私は、忘れるで! フッ…。

**********

冬子) 恒夫にいちゃん!
恒夫) うん?
冬子) これは私からのお祝い。
(ミニてるてる坊主を恒夫の首にかける冬子)
春男) おっ!
秋子) かわいい~。
恒夫) 冬ちゃんありがとう! おおきに。
冬子) これから恒夫にいちゃんの人生が、
    うんと晴れますように。
春男) 何言うてんねん! 恒の人生は
    今最高に晴れてんねんで!
    花嫁の待つ佐世保に向かって、
    雲一つないええ天気や!
喜介) 結婚したら、なんぼでも、曇るけどな。
    アハハ…!
春男) 現実言いな! 現実を。
喜介) はいはい。
春男) ほな恒! みんなに、幸せの報告せえ。
恒夫) あ…はい。
春男) うん。
恒夫) あの…ほんまに…
    お世話になりました!
喜介) …何や!? それだけか?
春男) 恒。
恒夫) はい…。あの…僕は今、
    ほんまに幸せです!
喜介) カ~ッ! いきなりのろけかい!
春男) やかましいねん! 喜介は…。
恒夫) あの…皆さんに、手紙を書きました。
    しょうもあい文章やけど、
    聞いてやって下さい。
    「皆さんに会えて、ほんまに幸せでした。
    僕は、ここに来るまでに、中学校を出て
    から、仕事を3つ変わりました。人から怒
    鳴られると、辛抱できへんようなって。決
    まって、翌朝、黙って逃げ出すみたいな
    事しました。ここに入ったのは、おなかが
    すいて、どうしようもなかったからで。表
    の求人の貼り紙見て飛び込んで、焼きた
    てのパン食べさしてもろて。ほんまにお
    いしかったです。ありがたいて思いました
    けど、いつまた逃げてもええようにて、荷
    物はいつも一つにまとめてあったんです。
    それが、こんなに…こんなに長くやってこ
    られたのは…」。すんません…。(泣)
春男) よっしゃ。はあ~…。
    「やっぱり…大将が、ええ人やったからや
    て、思います」。う~ん、そうか…。おい。
    これ、これ。
辰造) 「工場長も、怖かったけど、
    ええ人やったからやて、思います」。
喜介) 「喜介さんも、よう怒鳴られたけど、
    すぐ笑て、しょうもない事言うて…」。
    誰がしょうもないんや!?
春男) ハハハ…!
喜介) 「ほんまは、ええ人なんやなあて、
    思たからです」。アホ! ほんまは俺、
    ええ人なんかや、あらへんね。人よ
    りちょっと…心が広いだけや。
辰造) しょうもない事言うな。もう!
恒夫) 僕は…世の中には、ええ人がいてる
    んやて、初めて思たんです。「逃げたら
    あかん」て…。裏切りたくない人たちに、
    初めて会うたような、気がしたんです。
    気ぃついたら…大将みたいに…工場長
    みたいに…喜介さんみたいに…立派な
    職人に、なりたいて思てました…。ほん
    まに…ほんまにありがとうございました!
春男) まあ、あれだ…恒やったら…
    どこ行っても…大丈夫や。
    これからは、しっかり…静子ちゃん、
    支えていかなあかんで。
恒夫) はい! 分かりました。
春男) あっ、いや、ちゃうわちゃうわ。
    静子ちゃんに、支えてもらわなあかんで。
喜介) そやそや…!
一同) ハハハ…!
春男) おおきに。さあ、食べよ、食べよ!
    よし! ああ~うまそや! 食べや、恒。
恒夫) はい!
冬子) 頂きます!
    和ちゃん…? あれ…?
春男) ど…どないしたんや?
和人) おんなじ事を…賢作兄ちゃんも、死ぬ
    前に言うてました…。「あの人たち裏切
    ったから、バチ当たったんや」って…。
    「自分はアホやった」って…。咳しながら、
    何べんも何べんも、この工場の話してま
    した…。「世の中は、見捨てたもんやあ
    らへん」て。死ぬまで…死ぬまで、そう
    言うてました…。


**********

恒夫) 冬ちゃんも頑張るんやで!
冬子) えっ?
    恒夫にいちゃんも頑張るんやで!


翌朝、恒夫にいちゃんは、
朝早くに、
一人で黙って旅立ちました。


**********

実は最初の頃は、恒夫にいちゃんは、顔立ちは
いいけどパッとしない人だなあと、なかなか目に
入らなかったのだけれど…。日々の積み重ねで、
今ではしっかり、やさしい恒にいちゃんの存在は、
私の中でも大きくなっていた。工場長と喜介とい
うアクの強い個性に挟まれて、大人しく地味では
あるけれど、時折見せるやさしさが、心に残った。

昔、恒夫が賢作を気に掛けていた姿が、今回の
手紙の内容としっかり結びついて、和人のセリフ
に、たまらず泣けた。エピソードが、ちゃんとつな
がっている。昔見たシーンが、今につながってい
る事を感じる瞬間が、連続ドラマの醍醐味だなぁ
と。セリフだけなのに、賢作の姿が目に浮かぶし、
いろんなシーンが、自然に脳内補完されてゆく。
静ちゃんと一緒に佐世保に帰った照子の様子も
目に浮かぶし、佐世保で、恒夫と静子が仲睦ま
じく暮らす姿も目に浮かぶ。それだけ、それぞれ
のキャラが今までちゃ~んと描かれてきた証拠。

世の中にはええ人がいてるんや。
世の中は、見捨てたもんやあらへん。

そう思えることの幸せ。そういう人に出会えた幸
せ。その奇跡、幸せを、幸せだと感じられる幸せ。

毎朝「とと姉ちゃん」でささくれた心を「てるてる」
でリセットさせてもらえる幸せ…。ありがたや~。


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