「てるてる家族」(再放送)第64回 | 日々のダダ漏れ

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「てるてる家族」 第64回

春男(岸谷五朗)は、夏子(上原多香子)に東京
行きの話をする前になぜ自分に話してくれなか
ったのかと照子(浅野ゆう子)を責める。夏子は
東京で挑戦したいと以前から考えていたと言う
が、春男は夏子の東京行きに猛反対する。夏子
は春男に何度も話しかけるが、春男は聞く耳を
持たない。ついに耐えかねた夏子は勝手に東京
へ出ると言いだす。それを見ていたヨネ(藤村志
保)は夏子を部屋に呼び、古い手紙を見せる。

**********

春男) 何言うてんのや。何でそんな事する
    必要があんねんな。
照子) そやから何でも一流になるためには
    東京に出ていかなあかんねん。
春男) 何でお前がそんな事決めなあかんのや。
照子) いや、私が決めたんと違うわ。世の中が
    そうなってんねんよ。大阪よりも東京って。
    昔、関ケ原で負けたのがあかんのと違う?
春男) 誰もそんな事言うてへんわ! 何でお前
    がそこまで夏子の将来決めなあかんの
    かて言うてんのや。夏子の気持ち考えへ
    んのか!?
照子) そやから今夏子の気持ちを
    聞いてんのやないの!
春男) お前が聞くいう事は
    もうそうせえいう事やろが!
照子) そしたら私はどないしたらええの!?
春男) そやから夏子に話する前にそういう
    事は俺に話したらええやろ!
照子) そしたらあんたはどう答えてた?
春男) そしたらやな、「どうなんや? 夏子」
    って聞いてやな…。
照子) おんなじ事やないの、そしたら…。
春男) それでもすぐ夏子にお前の気持ち
    押し付けるよりなんぼかええねん!
照子) 押し付けてへんわ! そんな!
ヨネ) 何やいな。朝から大きな声出して。
    表まで聞こえますがな。
照子) すんません、お母さん。もう、何や
    この人が、急に訳もあらへんのに
    怒りだしたりして。
春男) 訳はある!
照子) スターになんのは夏子の夢や! その
    夢をかなえる話をして何が悪いの!?
春男) それはお前の夢やろ!
    それを夏子に押し付けてるだけや!
夏子) お父ちゃん! 私は、何も押し付けられ
    たりしてへんで。お母ちゃんが言うたか
    らいうて、決めたりせえへん。
照子) ほら、見てみいな。…ほんま?
夏子) 私は、自分の気持ちで決めたい。
ヨネ) 何を決めますね?
夏子) 来年の春、私、一人で東京行く。
一同) えっ…!
夏子) 東京行って、
    もっともっと歌えるようになりたい。
弘子) あの…東京行って、
    歌手になるいう事ですか?
照子) あ…うん…そうなんよ。
弘子) そしたら、テレビとかにも出ますの!?
照子) まあ、そういう事になるわね。
    ゆくゆくは…。
弘子) いや! すごいじゃないですか!
    テレビで夏ちゃんが見られるんですか?
ヨネ) あんた騙されてんのと違うんか?
    それ…。
照子) お母さん。夏子はこれでももう、立派
    な芸能人です。夏子をここまでにして
    くれはった人も言うてるんです。「もっ
    と、上を目指してみいひんか?」って。
    「夏子には、その素質がある」って言
    うてくれてはるんです。
春男) 俺は…反対や…。
    まだ、学生のうちからそんな…。
    親も知り合いもいてへんとこに、
    一人で行かすやなんて…。
ヨネ) 高校出てからやったらあかんのか?
照子) 「今でもまだ、早すぎるいう事はない」
    て言うてました。「これからは、早けれ
    ば早い方がええ」て。
夏子) 私行く。東京に出る。
春子) 夏ちゃん…。
冬子・秋子) 夏子姉ちゃん…。
夏子) ずっと、自分でも考えててん。
    そんな風にしたらどうやろかて。
    ここまできたらスターになりたい。
    テレビにかて出たい。挑戦したいねん!
    なっ? お父ちゃん、ええやろ?
    私は自分で決めてん。
    自分で行くて、決めてん。
春男) そうか…。そやったらなおさらや。
    絶対にあかん!
    お父ちゃんは許さへん!
夏子) お父ちゃん…。
照子) あんた…。
春男) 「どうしても行く」言うのやったら…
    学校出て、自分で稼いで、自分のお
    金で、勝手に東京に出ていく事や!
冬子・秋子) お父ちゃん…!
照子) 大丈夫や。
    お母ちゃんがちゃんと話しとくから…。


**********

喜介) 大将。静子ちゃんから聞きましたわ。
    夏ちゃん、鼻の中にパチンコ玉入れた
    そうで。ハハッ! そら、えらいすまん
    事しましたわ。そんな、危ないもんやっ
    たりして…。そやけど、まさかあの夏ち
    ゃんがね! フフフ…! な…何や…
    まだそんなに怒ってはるんでっか?
辰造) おい! 仕事せえ。
喜介) そやけど、みんなもさっきまで、
    笑てたやろ~?
辰造) 仕事せえ!


**********

その日の午後です。

恒夫) お帰り。
夏子) ただいま。
喜介) よっ! 夏ちゃん。
    どういう事や、夏ちゃん!
    何であんな事を~?
辰造) おい!
夏子) …お父ちゃん。今朝は、堪忍。
    お父ちゃんに、何も相談せんと決めて…。
    そやけど、お父ちゃんに反対されても、
    私は行くて、もう決めててん。
春男) そやったら、ええやんか。
    勝手に行ったらええ。
喜介) 夏ちゃんと大将がケンカしてるんか?
    珍し事もあるもんやなあ。
辰造) 行くの行かさへんのって、
    ひょっとして夏ちゃん、縁談か?
恒夫) いや、まさかそんな…。
夏子) お父ちゃんが、許してくれへんねん。
喜介) 相手は誰や?
夏子) 東京や。
3人) ♪ちっちっちっちっ ちっちっちっちっ
    ちっちっちっちっちっ。はい!
夏子) ♪僕の恋人 東京へ 行っちっち
    …歌う気持ちになられへんわ。
3人) え~…。


**********

照子) あんたが何て言うても、私は夏子を
    東京に行かしますからね。あの子は
    スターになりたいねん。あんたは私の
    夢やて言うけど、これはもう、立派な
    あの子の夢です。
春男) 何で普通の人生やったら
    あかんねん?
照子) 夏子は普通やない。
    私らだけの、夏子やあらへん。
    神さんがそう決めはったんや。
春男) もう神さんの言う事は聞き飽きた。
照子) バチ当たるわ! そんな事言うたら!
春男) 行かす方がバチ当たったみたいな
    気ぃするわ。子供を一人で…。
照子) 子供言うけど、あの子はもう、16です。
    集団就職やったらとっくに
    親元離れてる年です。
春男) お前そのニュース見て
    「かわいそ」て泣いてたやないか。
照子) いや「かわいそうやけどしゃあない」
    いう事やないの。
春男) 普通の就職と、芸能界はちゃうで。
    誰が好き好んであんなとこ…。
照子) これは運命や。そやけど、楽しみの
    多い運命でよかったやないの。
春男) 何言うてんねん。
    そんな楽しみいらんわ!


**********

冬子) お父ちゃん、反対してんねん。
浪利) そやけど、何で反対しはんのやろな?
    今更…。もうとっくに芸能活動してるや
    ないですか。
冬子) そら、梅田グランド劇場出んのと、
    東京行くのとは違うわ。一人で行く
    ねんで。向こうに住むねんで。お父
    ちゃん、心配でほっとかれへんねん。
お手伝い) ごゆっくりお食事下さいませ!
冬子) ありがとう!
浪利) 僕なんかずっと親にほっとかれてんで。
冬子) あ…そういうたら、そやね。
    今でもロンドンいてはんの?
浪利) そう。親と子なんて、
    そもそもが異文化交流や。
冬子) 何や…今日は、難しい事言うな。
浪利) 会うよりも大事なんは、いつも 
    相手の存在を心のフィルムに
    焼き付けておく事や。
冬子) あんた…老けたボンボンやね。
浪利) まあ、東京なんか近いやんか。
    特急こだまで6時間半や。もうじき
    新幹線いうのができたら、その半
    分で行けんねんで。
冬子) はあ…そやね。


**********

斉藤) そうですか。
    よく決心して下さいました。
照子) それで、あの…東京での生活
    なんですけど、住むとことか…。
斉藤) それなんですが、しばらくは、
    私の家でどうでしょう?
    狭いですけどね。うちには、妻と、
    4歳の娘がいますから。夏子ちゃ
    んも寂しくないと思いますよ。
照子) ほんまに、それでよろしいんですか?
斉藤) 大切に、お預かりします。
照子) ありがとうございます。
    よろしゅうお願い致します。
斉藤) けどよかった~。家族全員で、応援し
    てくれるというのも、そうない事ですよ。
    夏子ちゃんは本当に幸せだ。
照子) はあ…。


**********

夏子) お父ちゃん! 東京行ったらな、
    斉藤さんの家に住めんねんて。
    そやから、何も心配せんかてええよ。
    私、東京行っても、全然寂しないから。
辰造) 夏ちゃん。そんな事言うたら、余計
    寂しくなるやろ?お父ちゃんは…。
    こっち来い。
夏子) 斉藤さんの家はな…小さい娘さんが
    いてな…。何で聞いてくれへんの!?
春男) 邪魔だ!
辰造) あっ…。
夏子) もう言わへん!絶対言わへん!
    お父ちゃんにはもう何も言わへん!
    私勝手に生きるから!
    私勝手に行くから!
    もうお父ちゃん知らん!
ヨネ) 夏子! ちょっとおばあちゃん
    とこおいで。…なっ?


**********

寺井) どないしたんや? 血相変えて…。
    おととい切ったとこやで。
    また切んのかいな?
春男) ひげだけ剃ってくれ。
寺井) 伸びてへんがな。
都子) あんた!
寺井) え…? ああ、分かった。


**********

ヨネ) あんたが生まれた時、佐世保からあ
    んたのお父ちゃんが、よこした手紙や。

(手紙を読む夏子)

(回想)
春男) 肺炎…? 医者に見放されたんか…。
照子) 何でこんな曲…。
(ラジオから♪「センチメンタル・ジャーニー」)
照子) 夏子が…こんなに苦しんでんのに…。

(回想)
春男) デービッドはん…ヘルプですねん!
    夏子が、死にそうですねん!

(回想)
照子) なんぼかかっても構いません!
    お願いします…夏子を、助けて下さい!
春男) 全財産、投げ出しても足らへんけど、
    マネーどないかしますよって。ヘルプ!
    ヘルプ! プリーズ!

(回想)
照子) 夏子が大きなったら教えてあげるねん。
    「世の中にはこんな歌が流れてた」って…。
    この子らには…自由に生きてほしいねん。


ヨネ) あんたは、勝手に生きてきた訳と違い
    ますね。これからも、勝手に生きる思
    たらバチ当たるで。それだけは、絶対
    忘れたらあかん。


**********

今回は、お父ちゃん、春男の味方になっちゃう
なあ…。夏子の味方は…いっぱいいるからね。
親は、味方になる役と、壁になる役が必要だと
思うし。壁になるのが、今回はお父ちゃんの役。

何で普通の人生やったらあかんねん?

春男がボソッと口にしたセリフが…胸に刺さる。
いやいや、「でも、普通じゃないから」って言い
たくなる照子側の気持ちもあって、だけどそう
あえて言いたい春男の気持ちも分かるだけに、
何だか切なくなってしまった。子供の頃死にか
けた経験を持つ夏子だけに、生きていてくれる
だけでいいと思う反面、好きに生きてほしいと
思う気持ちもあるだろうし。いつまでも子供とし
て見守りたい気持ち、大人になるべく送り出さ
なければと思う気持ち。子供は子供で親離れ
する時期に悩み、親は親で、子離れする時期
に悩むんだろうなあ…。それでもやっぱり、見
送る側のほうが辛いよなぁと、大人になった私
にはそう思える。送り出してくれた親に感謝で
きるだけ、自分が年を取ったということだけど。

お父ちゃんは寂しいねん。お父ちゃんは辛い。
お父ちゃんに優しくしたってや。あと少しだけ。


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