「てるてる家族」 第12回
春男（岸谷五朗）と照子（浅野ゆう子）の間には
四人の娘が生まれ育っていた。春男は自分の
パン工場に朝早くから出て、職人たちをきりま
わし、パン作りに励み、照子は寝ている子ども
たちを気にしながら、パン工場で春男を手伝う。
春男の母・ヨネ（藤村志保）はいまだに朝食に
はパンを食べず、焼き魚を食べている。パン作
りが終わると、春男はオート三輪自転車、通称
“バタコ”でパンの配達に出て行く。
四人の娘が生まれ育っていた。春男は自分の
パン工場に朝早くから出て、職人たちをきりま
わし、パン作りに励み、照子は寝ている子ども
たちを気にしながら、パン工場で春男を手伝う。
春男の母・ヨネ（藤村志保）はいまだに朝食に
はパンを食べず、焼き魚を食べている。パン作
りが終わると、春男はオート三輪自転車、通称
“バタコ”でパンの配達に出て行く。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
照子） あんた、「ジェスチャー」知ってる？
春男） 「ジェスチャー」？
照子） うん。テレビジョンの人気番組で、柳家
金語楼とか、水の江瀧子が、問題に出
された文章を、こう、身振りだけで、「カ
メ」とか、そうやって、当てさせる番組や
ねん。ほんでね、これ借りてきてん。
春男） …よう分からへんがな。何や？
お前がその番組の司会でもやるんか？
照子） まあ、私はここの司会者
みたいなもんやから。
春男） …ますます分からんわ。
照子） ほんで？ 今日はどれくらいいった？
春男） え～と…これで…１万6,750円や。
照子） 昨日より増えてるわ。
春男） 大したもんや～。
テレビジョンの力はすごいなあ。
照子） これやったらすぐ元取れるわ。ううん！
もうひとつき待ったら、
もう一台テレビジョン買えるわ。
春男） 何言うてんねん。ひとつきもたったら、
どっかの店がテレビジョン買うてるわ。
照子） そやね…。
春男） ええか？ 照子。
こんな事はずっとは続かへん。
今は運がええだけや。みんな、
テレビジョンが珍しいだけやで。
テレビジョンが見られるんやったら
どこでもええねん。お前の実力で
はやってんのとは違う。分かるか？
照子） あんた、何やの？
この店にケチつけたいんか？
春男） そうやない。そうやない。
俺は心配してんねん。うまい事いき
過ぎてて怖いんや。もし…もしやで？
客足が落ちて…。
照子） 何や？ もう、縁起でもない。
春男） ええから聞けて！ それでもこの店、
投げ出さんとやっていけるな？
始める時に約束したとおり、「駄目で
もともと」なんやから。もしあかんよう
になった時でも、そん時は、自分に
できる事だけ見据えて、背伸びせん
と、地道にコツコツ続けていく事や。
それを今も…いや、今こそ、忘れた
らあかんで。ええな？ 分かったな？
照子） 分かった！
春男） よっしゃ。それやったらええ。
照子） 今がチャンスやいう事やね。
春男） …は？
照子） 今のうちに、儲けられるだけ
儲けとかなあかんいう話でしょ？
春男） 全然分かってへんやんか。
照子） 大丈夫！ 私、頑張るて！
春男） …もうええ。もう寝るわ。
照子） おやすみ。よし…頑張るで～！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
照子） これからも、
みんなが元気で過ごせますように。
何にでも、期待し過ぎるのが、
お母ちゃんの癖なのかもしれません。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
この「ジェスチャー」という番組の時は、
毎回、お客さんは大入りでした。
…が、その年のおおみそかに、
初めてテレビで放送された「紅白歌合戦」。
この時も、大変なにぎわいでした。
そして、何と言ってもすごかったのは、
翌年の昭和29年２月に行われた、
力道山と木村政彦、対シャープ兄弟の、
プロレス中継の時でした。
この日ばかりは、カーテンも開けられて、
中に入りきれない人も、窓を取り囲んで、
テレビに熱狂していました。
もちろん、
こんな状況でもお母ちゃんは
ただ見をする人がいないように、
一度はコーヒーを飲んでもらうよう、
目を光らせていたそうです。
思えば、この時が、喫茶店シャトーの
ピークだったのかもしれません。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
この高木という人の出現で、
私たち家族の運命は、
また少し、変わる事になるのでした。
来週もきっと、天気にな～れ！
お前がその番組の司会でもやるんか？
照子） まあ、私はここの司会者
みたいなもんやから。
春男） …ますます分からんわ。
照子） ほんで？ 今日はどれくらいいった？
春男） え～と…これで…１万6,750円や。
照子） 昨日より増えてるわ。
春男） 大したもんや～。
テレビジョンの力はすごいなあ。
照子） これやったらすぐ元取れるわ。ううん！
もうひとつき待ったら、
もう一台テレビジョン買えるわ。
春男） 何言うてんねん。ひとつきもたったら、
どっかの店がテレビジョン買うてるわ。
照子） そやね…。
春男） ええか？ 照子。
こんな事はずっとは続かへん。
今は運がええだけや。みんな、
テレビジョンが珍しいだけやで。
テレビジョンが見られるんやったら
どこでもええねん。お前の実力で
はやってんのとは違う。分かるか？
照子） あんた、何やの？
この店にケチつけたいんか？
春男） そうやない。そうやない。
俺は心配してんねん。うまい事いき
過ぎてて怖いんや。もし…もしやで？
客足が落ちて…。
照子） 何や？ もう、縁起でもない。
春男） ええから聞けて！ それでもこの店、
投げ出さんとやっていけるな？
始める時に約束したとおり、「駄目で
もともと」なんやから。もしあかんよう
になった時でも、そん時は、自分に
できる事だけ見据えて、背伸びせん
と、地道にコツコツ続けていく事や。
それを今も…いや、今こそ、忘れた
らあかんで。ええな？ 分かったな？
照子） 分かった！
春男） よっしゃ。それやったらええ。
照子） 今がチャンスやいう事やね。
春男） …は？
照子） 今のうちに、儲けられるだけ
儲けとかなあかんいう話でしょ？
春男） 全然分かってへんやんか。
照子） 大丈夫！ 私、頑張るて！
春男） …もうええ。もう寝るわ。
照子） おやすみ。よし…頑張るで～！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
照子） これからも、
みんなが元気で過ごせますように。
何にでも、期待し過ぎるのが、
お母ちゃんの癖なのかもしれません。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
この「ジェスチャー」という番組の時は、
毎回、お客さんは大入りでした。
…が、その年のおおみそかに、
初めてテレビで放送された「紅白歌合戦」。
この時も、大変なにぎわいでした。
そして、何と言ってもすごかったのは、
翌年の昭和29年２月に行われた、
力道山と木村政彦、対シャープ兄弟の、
プロレス中継の時でした。
この日ばかりは、カーテンも開けられて、
中に入りきれない人も、窓を取り囲んで、
テレビに熱狂していました。
もちろん、
こんな状況でもお母ちゃんは
ただ見をする人がいないように、
一度はコーヒーを飲んでもらうよう、
目を光らせていたそうです。
思えば、この時が、喫茶店シャトーの
ピークだったのかもしれません。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
この高木という人の出現で、
私たち家族の運命は、
また少し、変わる事になるのでした。
来週もきっと、天気にな～れ！
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こちらが、その「ジェスチャー」の動画↓
ジェスチャー
さすがに観たことはないけれど、長門裕之と
小山明子が若い若い！ 小川宏が懐かし～。
のちの「連想ゲーム」の方はよく見てたなぁ…。
連想ゲームとジェスチャー
水前寺清子と石坂浩二が若い若い！ 懐かしい！
ちなみに、プロレスの動画も発見。対シャープ
兄弟ではなく、力道山VS木村政彦の試合。↓
1954.12.22 プロレスリング日本選手権 "昭和の巌流島"
私自身はプロレスに全く興味がなかったけれど、
父親がプロレスが好きで、毎回テレビの前に釘
づけになっていた姿が印象的で。昔はホント、テ
レビが熱いというか、テレビは娯楽だったっけ…。
「てるてる家族」関連ブログはこちらから↓
「てるてる家族」関連ブログリスト
こちらが、その「ジェスチャー」の動画↓
ジェスチャー
さすがに観たことはないけれど、長門裕之と
小山明子が若い若い！ 小川宏が懐かし～。
のちの「連想ゲーム」の方はよく見てたなぁ…。
連想ゲームとジェスチャー
水前寺清子と石坂浩二が若い若い！ 懐かしい！
ちなみに、プロレスの動画も発見。対シャープ
兄弟ではなく、力道山VS木村政彦の試合。↓
1954.12.22 プロレスリング日本選手権 "昭和の巌流島"
私自身はプロレスに全く興味がなかったけれど、
父親がプロレスが好きで、毎回テレビの前に釘
づけになっていた姿が印象的で。昔はホント、テ
レビが熱いというか、テレビは娯楽だったっけ…。
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