「花子とアン」第131回~帰れないテル・・・本当のことが言えない花子 | 日々のダダ漏れ

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「花子とアン」 第131回
第22週 「新しい家族
帰れないテル・・・本当のことが言えない花子


中国との戦争が続き、
人々の暮らしの中にも、
戦争の影が忍びよっておりました。

花子も英治も、
テルが二度と帰ってこない事を知っていました。

美里) あれ? テルがいない。テル! テル!
    お母ちゃま。テルは?
花子) あのね、美里…。テルは…。
英治) テルは、お仕事に行ったんだよ。
美里) お仕事?
英治) うん。
    兵隊さんたちを手助けするために行ったんだ。
美里) お母ちゃま、そうなの?
花子) ええ…。
        テルね、目でお話ししてたわ。「僕行ってきま
    す。美里ちゃんに、『ありがとう』って言ってく
    ださい」って。
美里) テルいつ帰ってくるの? テル帰ってくるんで
    しょ? お母ちゃま。テル帰ってくるわよね?
英治) 美里…。テルはもう…。
花子) 帰ってくるわよ。テルは…兵隊さんのために、
    一生懸命働いて、きっと帰ってくるわ。
美里) 美里がいい子にしてたら、
    早く帰ってきてくれる?
花子) そうね。
美里) 美里たっくさんいい子にしてるわ。

花子は、美里を悲しませたくない一心で、
嘘をついてしまいました。

**********

美里) テル、ちゃんとご飯食べたかなあ?
花子) 心配しなくても大丈夫よ。「今日も1日よく頑張
    ってお仕事しましたね」って、兵隊さんたちから
    たっくさんご飯を頂いてるわ。
美里) ねえ、お母ちゃま。テルは今どこにいるの?
花子) それは…。
英治) 海の向こうに渡るために、
    きっと今頃、お船の上だよ。
美里) テル、兵隊さんたちと一緒に、
    大きなお船に乗ってるわ。
花子) うん。お船の上で、
    兵隊さんたちに可愛がられてるわね。
美里) そんな遠い所に行って、迷子にならない?
花子) 兵隊さんたちがついてるから、 
    心配いらないわ。
美里) よかった。テル早く帰ってこないかなあ。

**********

花子) どうしよう…。
    あんな事言っちゃったけど…。
英治) しょうがないよ。
    テルがもう帰ってこないなんて…言えないよ。
花子) そうよね…。

**********

(戸が開く音)
美里の声) ただいま!
ももの声) お姉やん、ただいま帰りました。
花子) お帰りなさい。
美里) お母ちゃま、ただいま!
花子) あっ…美里?
もも) 美里ちゃん…「テルが帰ってきてるかもしれ
   ない」って、今日も急いで帰ってきたの。
花子) そう…。
美里) テル? 

その後も美里は毎日、
テルの帰りを心待ちにしていました。


**********

もも) 美里ちゃん。
   吉太郎伯父ちゃまが来たわよ。
美里) 伯父ちゃま!
吉太郎) 美里。
     少し会わないうちにまた大きくなったな。
花子) 兄やん、いらっしゃい。久しぶりじゃんね。
吉太郎) しばらくだな。みんな、元気そうじゃん。
     はい、これ土産だ。
美里) 伯父ちゃま、ありがとう!
もも) てっ…兄やんがおまんじゅう?
花子) どうしたの?
吉太郎) たまには土産くらい持ってくるさ。いや…
     実を言うとはなにちょっと頼みがあってな。

**********

(本にサインを書く花子)
吉太郎) 上官の甥っ子が、はなのラジオ番組が
     大好きらしくて。悪いな。
花子) ううん。うれしい。はい、どうぞ。
吉太郎) ありがとう。助かる。
花子) これぐらいいつでも言って。
もも) はい。吉太郎伯父ちゃまが
   持ってきてくれたおまんじゅう。
美里) 頂きます!
花子) うん。おいしい?

(時計の時報)
花子) あっ…兄やん、せっかく来てくれたのにゴメン。
吉太郎) あっ、ラジオ局か。
花子) 美里。いい子にしてるのよ。
美里) お母ちゃま。行ってらっしゃい!
花子) 行ってきます。
美里) 伯父ちゃま。一緒にお絵描きしましょう。
吉太郎) ああ。
花子) もも。じゃあ、お願いね。
もも) うん。行ってらっしゃい。
花子) 行ってきます。

**********

吉太郎) へえ~上手だな。
美里) テルが兵隊さんをお助けしてるところよ。
吉太郎) テルは?
美里) 兵隊さんのために働きに行ったの。
吉太郎) 兵隊さんのために?
     お母ちゃまがそう言ったのか?
美里) テルが帰ってきたらね、いっぱい褒めて
    あげるの。ご褒美もあげるのよ。
もも) (小声で) 美里ちゃん、毎日待ってるの。
美里) 早く帰ってこないかな~。
吉太郎) 美里。テルは、
     お国のために身を捧げて働いてるんだ。
美里) でも帰ってくるんでしょ?
もも) お仕事が終わったら帰ってくるって、
   お母ちゃま言ってたもんね。
美里) 美里がいい子にしてたら、早く帰って来てくれ
    るわよね。伯父ちゃま?
吉太郎) 帰ってこられなくても、テルはお国のために
     立派に尽くしたということだ。
もも) 兄やん。
美里) テル…もう帰ってこないの?
    やだ! そんなの嫌!
もも) 美里ちゃん!
美里) お父ちゃま!
英治) ん? 美里、どうした? ん? どうした、美里?
旭) お義兄さん、いらしてたんですか!
吉太郎) 申し訳ありません。
     自分が余計な事を言ってしまって…。

**********

漆原) ああ、どうも。
花子) ああ…ごきげんよう。よろしくお願い致します。
有馬) あんなに浮かない顔で、
    「ごきげんよう」もないものです。
漆原) 原稿さえ読み間違えなければいいんだ。

**********

黒沢) 村岡先生。動物のニュースがありました。
    いいニュースですよ。

**********

花子) 「この軍用犬の中には、皆さんのおうちで飼
    われていた犬もたくさんいます。その中の、あ
    るおうちで飼われていた犬が、隠れていた敵
    を見事に探し出し…」。
黒沢) はい、ありがとうございます。このぐらいの
    速さで、本番もよろしくお願いします。
花子) はい。
有馬) 正しい発音! 滑舌に注意!
    一字一句、原稿は正確に!
花子) はい。
有馬) 逓信省の目が厳しくなっていますからね。
    原稿を正確に読む事は、ますます重要です。
花子) はい。


**********

英治) おいで、美里。ラジオ始まるよ。
もも) 美里ちゃん。

有馬) 「さて、続きましては、村岡花子先生の
    『コドモの新聞』であります」。

英治) ほら、美里。お母ちゃまの出番だよ。

花子) 「全国のお小さい方々、ごきげんよう。
    『コドモの新聞』のお時間です。
    さて次は、犬の兵隊さんに、功労賞が贈られた
    というお話です。犬の兵隊さんと呼ばれる軍用
    犬は、戦地でお働きの兵隊さんをお助けして、
    大変お役に立っていると、何度かお話しました
    ね。この軍用犬の中には、皆さんのおうちで飼
    われていた犬もたくさんいます。その中の、あ
    るおうちで飼われていた犬…
    テルは、戦地で元気に兵隊さんのお役に立っ
    ています。テル号は、隠れていた敵を見事に
    探し出し、兵隊さんをお守りするという、大変
    立派な働きをしましたので、この度、功労賞を
    与えられました」。


美里) テル! テルだ! テルがニュースに出たよ!

もちろん、原稿には、テルとも、
テル号ともひと言も書いてありませんでした。

花子) 「今日の新聞のお時間はここまで。
    また明日も、お話ししましょうね。
    それでは皆さん。ごきげんよう。さようなら」。

これはまずい事になりそうです。

ごきげんよう。さようなら。

**********

テルはもう帰ってこないと、どうしても美里に言えない
花子。年を取ったせいなのか? 子育てが久しぶりの
せいなのか? 花子お得意の想像の翼がなかなか広
がらないようです。いつものように、テキトーにテルの
物語を作ってあげればいいのに~と思うのだけれど。
お国のために頑張って、テルは帰ってこれないけど、
お星さまになって美里ちゃんを見守ってますよ~とか。
真面目な吉太郎が、吉太郎らしい発言で、美里を泣
かせるという、イケズな流れに。兄やんがお気の毒。

わざわざ漆原部長に、「原稿を読み間違えなければ
いい」と言わせ、これは花子がやらかすだろうなあと
思ったとおりに、花子がやらかしてくれました。フフフ。
間違えたのなら可愛げがあるけれど、確信犯だから
ねえ、花子の場合。まあ、気持ちはわかるけど、それ
をやっちゃあいけねえよ~って。だってね~功労賞を
もらった本物のワンちゃんが可哀相だもんね。テルじ
ゃね~!!!と、飼い主共々世界の中心で叫んじゃ
うよw 常日頃苦々しく思っている漆原部長はどうする
のでしょうか? 花子VS漆原対決が楽しみw 花子は
ごきげんようと言えるのか。明日もお話しできるのか。
とりあえず、花子は人気者だから、厳重注意で終わり
そうではあるけれど。心情的には、私もテルに功労賞
をあげたいところですが。嘘はダメ~。名前の嘘は!

ただし、飼い犬の供出について当時の事情を調べて
みて、本当の事は子供には言えないなと思いました。
実は、軍用犬になれる犬は、シェパード、エアデール、
ドーベルマンのみ、ということ。それ以外のペット、つ
まりは飼い犬の供出は、別の用途のためだという事。
その用途が何かは、書きたくないので書きませんが。
日常的なレベルでの戦争の悲惨さを、実はあまり知
らないんだなあと、犬の供出でようやく知った私です。


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