「続・最後から二番目の恋」第9話~恋で泣く大人も悪くない | 日々のダダ漏れ

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「続・最後から二番目の恋」

続・最後から二番目の恋

第9話
恋で泣く大人も悪くない


和平) こ…今年のアジサイはあれかね。
えりな) そんなに…
和平) うん?
えりな) そんなに頑張って会話の糸口を探さないで
     もらえます?
     何か感じるんで。そういうメンドクサイ空気。
和平) うん。ああ、ごめんごめん。
    何か真平が、いなくなったら、夜急に寂しくなっ
    ちゃったね。万理子も忙しいみたいだし。
えりな) そうだね。まあ、朝は相変わらずだけど。
和平) うん。何か、えりな、ごめんな。
えりな) 何が?
和平) いや。何か、親らしいことちゃんと出来ていな
    いような気がしてさ、お父さん。
    いつもほら。夜はうるさいのが来たりして、ワイ
    ワイしてるから、あんまり寂しいって感じしない
    かもしれないけど。
えりな) お母さんがいない事?
和平) うん。まあ…。
えりな) 本当に女の子として、お母さんにそばにいて
     ほしいっていう時期は、もう過ぎた。
和平) うん?
えりな) そのときも、典姉や万理姉に助けてもらった
     から、大丈夫。2人ともあんまり頼りにはなら
     なかったけど。
和平) そうだな。何かえりなはさ、お父さんに、こうし
    てほしいとか、ああしてほしいってことがあった
    ら、遠慮しないで言ってよ。努力するから。
えりな) ホントに?
和平) もちろん。
えりな) じゃあ今みたいなこと聞かないで下さい。
和平) そうだね。ごめんね。
えりな) いいんだと思いますけど。
和平) うん?
えりな) お父さんはいてくれれば、それで。
和平) うん。サンキュー。

**********

薫子) 千明さんはないんですか?
    男の人の前で、泣いたこと。
千明) いや。冠婚葬祭とかね、もう最近、
    結婚式とかで号泣しちゃいますからね。
薫子) へえ~。
千明) 自分のことではないかなあ。
薫子) へえ~。じゃあ、泣きたいとき、ありません?
    友達じゃなくって、男の人の前で泣きたいとき。
千明) いや。基本男の前で泣いたら負けだと思って
    生きてきましたからね。
薫子) えっ? 誰と闘ってるんですか?
千明) えっ? 誰とだろう?
薫子) 大変ですねぇ。いっつも何かと闘ってて。
    ご苦労さまです。
千明) いつも何と闘ってんだっけ?
薫子) でも、その闘いに勝ちはあるのかしら?
千明) いや。分かんなくなってきちゃった。あれ?
薫子) 何かね。
千明) はい。
薫子) 千明さんみたいな人って、自分で、こう鎧着ち
    ゃって、闘わなくていいとこまで、無理して闘っ
    てるように見えます。本当は休みたいのに、
    甘えたいのに、それが出来ない、みたいな。
千明) いや。そっちはもうちょっと闘えよ~って感じ
    ですけどねえ。
薫子) あっ、でも、
    泣くことは、恥ずかしいことじゃないですよ。
千明) うん。まあね。
薫子) たまにはいいんじゃないですか?
    そういうことしても。
    本当に悲しいときじゃなくって、泣きたいとき。
千明) いや、ちょっと待って。その悲しいときと、
    泣きたいときって…。えっ? 違うの?
薫子) 違います。悲しいときって、
    人を頼って、泣かないじゃないですか。
千明) うん。
薫子) 一人でも、泣いちゃいますよね?
千明) うん。
薫子) そうじゃなくって、誰かの前で泣きたいとき。
    う~ん。無条件で、優しくされたいとき、って
    いうのかな。ありません?
千明) ああ。優しくされたいときね。
    いや、別にないことはないけどさ。
薫子) うん。でしょう?
千明) うん。
薫子) 今度やってみてくださ~い。
    恥ずかしがらずに。
千明) いや…。
薫子) 楽になりますよ。
千明) いや。48年守り続けてきたキャラっていうのが
    ありますからねえ。
薫子) まあ、そうはいっても、今の私にはいないんで
    すけどね。そういう男性。
千明) えっ? あれ? あれ? 長倉和平は?

**********

千明) 恋愛したくないから、セフレっていうのは、ちょ
    っとわかるようなわかんないようななんだけど。
薫子) そうですか?
千明) うん。
薫子) ところで、千明さんは恋愛しないんですか?
千明) いや、全然しますよ。
    引退なんかしてないっすよ。
薫子) え~っ。
    じゃあ、長倉さんとは、恋愛しないんですか?
千明) 何ていうのかな。それはちょっと、違うかな。
薫子) 長倉さんはどう思ってるんでしょう?
    千明さんのこと。
千明) いや、わかんないです。私には。
薫子) っていうか、
    そもそも私のことどう思ってるんだろう?
千明) アハハ。もっとわかんないよね。私にはね。
薫子) ですよね?

**********

和平) 皆さんね、
    優柔不断、優柔不断って言いますけどね。
千明) はい。
和平) 優柔不断って、
    そんな悪い事ばっかりじゃないと思うんですよ。
千明) うん?
和平) 漢字、分かりますよね、漢字。
千明) うん。漢字分かりますよ。
典子) うん。分かる分かる。
和平) いや。お前はいいわ。お前はいいわ。頭の中
    でちょっと思い浮かべて下さいよ。「優柔不断」。
    「優しい」「柔らかい」「断らず」ですよ。
千明) うん。
和平) 全部いい言葉じゃないですか。
    素晴らしいことでしょう、これ?
千明) ああ。ねっ。あなた、気持ち良さそうに「優しい」
    「柔らかい」「断らず」とか言ってますけど。
    だからあんたは金八先生なのかっつうの。
和平) 僕、金八でも仙八でも新八でも
    何でもいいんですよ。
千明) いいんだ。
和平) あのね。博愛主義ってことですよ。
千明) ほう~。
和平) ね、宮沢賢治みたいなもんですよ。
    まあ、そんな立派なもんじゃないですよ。
でも
    気持ちはね、雨にも負けず、風にも負けず…
    何でしたっけ?
千明) 雪にも、
    夏の暑さにも負けない丈夫な体を持ち。
和平) そう。それで、ちょっといって。東に、病気の子
    供があれば行って看病し。西に、疲れた母あれ
    ばって。分かります? それですよ。
千明) ハハハ。なるほど。
    でもそれ最後まで知ってます?
和平) 最後まで?
千明) うん。
和平) 何でしたっけ?
千明) みんなにでくのぼうと呼ばれ、褒められもせ
    ず、苦にもされず、そういうものに私はなりた
    いって言うんですよ。フフフ。
和平) ちょっと、でくのぼうは…。
典子) 要するに、来てって言う女がいたらどこでも
    行きますよって話でしょ?
和平) 何でそうなんだよ? 違うだろ。
典子) うん? ちょっと前までの真平じゃん。
真平) えっ? 俺? えっ? そうなの?
和平) いや、そうなの?って。
えりな) 宮沢賢治って、天使だって話?
和平) 違う違う違う。それ全然違う。
典子) とにかくさっさとやっちゃえばいいのよ。
和平) 何だ? その言い方は! お前。
千明) まあまあまあまああ。でも、おっしゃってる事
    はわかりますよ。ねっ、優柔不断。そう悪い事
    ばっかりじゃないですもんね。
    基本、そこに悪意はないですからね。
和平) そうですよ。
千明) ただその優柔不断の「優」ね。優しい。
    これがちょっと問題ありますよねえ。
和平) うん? どういう意味ですか?
千明) 男の人は言うじゃないですか。これは、
    俺なりのやさしさなんだぜ、みたいな。
えりな) 言う言う。
和平) 言う言う?
典子) 俺としては精一杯考えたつもりだとかね。もう
    うるせえよ。考えたって外れてたら意味ねえよ、
    みたいなね。
えりな) わかる。
和平) 何でお前がわかるんだよ。
千明) 何か俺なりにっていうのは、ちゃんとできなか
    ったけど、やってはいたんだから、それを認め
    てねっていう、そういう甘えを感じるんですよね。
和平) ちょっ…ちょっと待って。
    それはちょっと女性のエゴだと思いますよ。
千明) 何で?
和平) 自分勝手だと思う。
千明) え~っ。
和平) いやね、相手の気持ちを考えて、精一杯やっ
    てますよっていうことなんですよ。何でそこもう
    ちょっと寛容な気持ちでね、ありがとねえって、
    言ってくんないんですかね?
    多少望んでることとは違ってもですよ。
典子) 違ったら意味ないじゃない。
和平) 何で一言でそう終わらすんだよ。
千明) 女はね、中途半端な優しさなんかいらないの。
    一流の優しさが欲しいんですよ。
千明・えりな) ねえ~。
典子) そうそう。いらないのよ。中途半端とかさ。
千明) ほら。
和平) ほらって言われたってね。
    何で私が責められなきゃなんないんですか?
千明) はあ?
和平) 私、一言もですよ。
    俺なりになんて言ってませんからね。
千明) あれ? 言ってませんでした?
和平) 言ってませんよ。
千明) あら、すいません。


**********

市長) 片思いには、2種類あるんです。長倉さん。
    一つは、思いを告げて、その結果失恋に終わ
    る片思い。もう一つは、思いを告げず、或いは
    結果を知らされず、永遠に続く片思い。
    後者の場合、ずっと夢を見ることができます。
    ですからそうさせて下さい。人生、最後になる
    かもしれない片思い。結果のない片思いにさ
    せて下さい。お願いします。
和平) いや、ちょっと。市長…。
市長) というわけで、私はあなたに恋をし続けます。
    ええ。長倉さん。あなたは、それは知っては
    いるものの、答えを出さない。優柔不断な男
    でひとつ、よろしくお願いします。
和平) 優柔不断?
市長) ええ。よろしく。ハハハハハ。
    しかしあれですね。長倉さんと私の会話は、
    かみ合わないところが面白いですね。
    そうだ。漫才コンビでも組みますか?
    市長課長というのはいかがでしょう?
    今思いつきました。アッハハハハハ!

(すすり泣く声)

**********

千明) う~ん。正直言うとね、あれです。悲しかった
    とかじゃなくて、腹が立ったんですよね。
和平) うん?
千明) 私ね、これでも、一生懸命頑張って生きてき
    たつもりなんですよね。うん。精一杯努力して、
    勉強して。悔しいこともたくさんあって。さみし
    いこともあったりして。そんなのは、今も山ほど
    あって生きてるんですけどね。それなのに、私
    は、そんな風な人間に、思われちゃうんだなあ
    って。独身で、気楽に生きてて、小金持ってて。
    洋服とか、化粧に金掛けやがって。で、華やか
    な世界で。うん。楽しそうに仕事してるんだろう
    って。まあ、そりゃそうなんですよね。うん。そう
    かもしれないんだけど。頑張って生きてきてこ
    こにいるのに、それだけかよ~ってね。
和平) フフッ。
千明) 同級生にそんなふうに思われちゃってんだぁ
    私、って。すごい腹が立って。うん。すっごい
    腹が立っちゃったんでしょうね。で、言わなくて
    もいいことまで言っちゃいました。さっき、その
    同級生から電話かかってきたんですけど。
和平) へえ~。
千明) うん。何かすっごい謝ってて。「吉野の言った
    とおりだ。俺は最低だ。許してくれ。ホントごめ
    ん。すまない」ってずっとずっと言ってんですよ。
    で、電話の向こうでね、泣いてるのが分かるん
    ですよね。何かね、もう。何かねぇ、って感じで
    しょ? フフフ。人が、年を取って、大人になるっ
    てどうしてこんなに切ないんでしょうね? うん。
    何かいいことありますかね? みんなにいい事
    あればいいのにねえって思ったら、何かすごく
    こう、泣きたくなっちゃいましたね。ヘヘヘへ。
    でも、泣いてないですよ、私。ヘヘヘ。
    泣いちゃえばいいのにね。いや、泣けないんだ
    なぁ。その分、こう、酒の量が増えるっていうね。
    「こらえた涙の分だけ、
    飲み干す、グラスの悲しさよ」、みたいな。
和平) ハハハハ。
千明) 「酒よ、酒よ、酒よ」、みたいな。演歌かよ!
    フフフフフ。
和平) でも私は好きですけどね。
千明) 何がですか?
和平) 吉野さんみたいな、泣けない…系?











千明) フフ…。
    ハハッ。何だろ? …すいません。
(ハンカチを差し出す和平)
和平) 
 綺麗ですから。
千明) いえいえいえ。大丈夫。
    泣いてないですから、こっちも。
和平) 今夜は飲みましょう。
千明) そうですねえ。
和平) 乾杯。
千明) はい、乾杯。


**********

(千明をおんぶして歩く和平)

千明) 内緒ですよ、さっきの。
和平) フフフ。
千明) おんぶもですよ。
和平) はい。
千明) 言ったら殺すよ。
和平) ハハハハ。分かりました。
千明) うん。
和平) でも、うれしかったですよ。
    私の前で泣いてくれて。
    うれしかっ…。



千明) フフッ。フフッ。うん。



和平) 楽しい夢ですか? …よかった。



和平) 行きましょう。
    よっこいしょ。
    もっと近い店にしときゃよかったよなあ。

**********

これぞ「最後から二番目の恋」らしく、せつなくて、胸
がキュンキュンする、大人のドラマを堪能できた回で
した。今まで積み重ねて来た、和平と千明の歴史あ
ってこその、二人の会話、おんぶシーンに…泣いた。
男の前でlは、泣けない系の女、千明が、和平なりの
優しさに、言葉に、この人になら甘えても大丈夫だっ
て、強がって精一杯張ってきた糸が、ふっと緩んだ
瞬間の千明の気持ちが、もう痛いほど伝わってきて。
千明のあの表情だけで、もう何度でも、泣ける。ああ、
もう、ずるいよ、だめだよ、何だよもう~って毒づきな
らも、心地よい負けを認めざるをえない…みたいな? 
幾つになっても、千明は和平にとって年下の女子で、
和平は千明にとって、年上の男子で。なんかね、そう
いう、何てことないようで、結構貴重な、安心できる関
係ってのいうのはある。もちろん、いろんな関係があ
っていいし、年上の女子と年下の男子もアリだし、同
級生ってのもアリ。自分にとって心地よい関係が、人
の数だけ存在する、っていうだけで。相性っていうか、
自然に寄り添える相手がいるって、幸せだなあと思う。

市長の希望した、「永遠の片思い」の気持ちもわかる
し、薫子がなりたい関係ってのも、わからなくもない。
相手の望むところはわかっていても、それを受け入れ
られるかは、また別のお話で。どんなにいい人だろう
と、異性として好きになるかは、これまた別のお話で。

今回、千明が落ち込んだ、同級生による営業的な話
って、誰もが一度は経験しそうな事で。あからさまな
勧誘をされたわけではないけれど、久しぶりに会った
友人から保険のパンフレットが送られてきたことがあ
って、若かった私は、それだけで怒りが収まらなくて、
友人を許せなかった。その後謝ってきても、スルーし
たままで。悪意はないし、本気の営業じゃなかった事
はわかっていたのに。思いがけず、若くしてその友人
は亡くなってしまい、仲直りする機会は、永遠に失わ
れてしまった…。そんな事も思い出して、今回のお話
は、胸が痛んだ。何かねぇ、もう何かねぇって。どうし
ようもないんだけど、どうにかできたんだろうか、とか、
どうにもならないことを、考えてしまって。何かねぇ…。

人が、年を取って、大人になるって、
どうしてこんなに切ないんだろう…。

若い時も切なかったけど、年をとるごとに、切なさは
重く深くなる。見えなかったものが見えてくるし、わか
らなかった事も、わかってきてしまうから。み~んな、
切ないんだよね。自分だけじゃない。みんな、切ない。
千明を、和平の前で、泣かせてくれてありがとう。い
い大人のおんぶ姿が心に染みて、ありがとうでした。


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●「最後から二番目の恋」HP


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