ふれなばおちん （６）

ふれなばおちん （６）　
小田ゆうあ



好きな人と一緒にいると

あっという間に

時間が過ぎていく──。

こんな感覚、

もう味わうこともないと

思っていました。

母だけど、妻だけど、

あの人といる時間は

オンナです。



＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

障害が多いほど、気持ちは高まるというのは、本当
かもしれない。ロミオとジュリエットのような、お家事
情はそうないだろうから、現代の障害といえば、既
に結婚している相手を好きになる、そう不倫という事
になるのかもしれない。

せっかくの二人きりのデートの時間から逃げ出して
しまった夏。切ないけれど、手に入りそうで入らない、
そんな時間が、一番綺麗で愛おしい恋の時間かも。

そしてついに、妻の変化に気づき始めた夫・義行。
油断しきっている妻を誘惑してほしいなんて余裕を
かましていた自分こそが一番油断していることに、
気づけないのが男。夫という男の人かもしれない。
たぶん、自分は浮気していても、自分の妻だけは
大丈夫だと、根拠のない自信を持っている男性は
多いんじゃないかと。自分がよその女性を口説い
ているように、妻も誰かに口説かれているかもしれ
ないのにね・・・。でも、そんな事は想像もできない
ものなのかも。多少の危機感を持った夫が、妻を
デートに誘う。せっかくのデートなのに、話題は料
理の話ばかりで会話が続かない。それでも十分だ
と、妻は満足しているはずと、自分に満足している
夫の姿に、醒める妻。妻サービスしてるって、サー
ビスって思っている時点で、もうダメダメなんだと、
女性は思うけど、気づけない男性は多いと思う。

女は・・・いつだって、「気持ち」がほしい。自分の
ことを考えてくれている「時間」がほしい。自分の
ために、何かしてくれること、考えてくれることが、
嬉しい。モノではなくて、そのモノを選んでくれた
時間が嬉しい。そういう、手間が、気持ちが、欲し
いってことを・・・忘れちゃうんだよね。時に近すぎ
る関係は。夫婦と言う関係は、忘れてしまいがち。

夫がそれに気づくのが早いか、佐伯が夏を奪お
うと思うのが早いか、今後が気になる展開です。

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