「花子とアン」第16回~見違えたはなと、故郷の厳しい現実 | 日々のダダ漏れ

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日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

「花子とアン」 第16回
第3週 「初恋パルピテーション!」
見違えたはなと、故郷の厳しい現実


ブラックバーン校長の取り計らいで、
はなは5年ぶりにうちに
帰れる事になりました。

朝市) まさか…。はなけ?
はな) ひょっとして、朝市?
  お久しぶりです。花子です。
朝市) ふ…ふんとにはなけ?
はな) はなではございません。
  花子と呼んで下さい。
朝市) やっぱしはなだ。
はな) では、ごきげんよう。


**********

はな) ここはちっとも変わりませんね。
  あ~! 気持ちいい。


朝市ったら、
何で一言もしゃべらねえだ?
何怒ってるだ?
と、はなは思っておりました。

怒っているのではなく、
朝市は声が出なかったのです。
さなぎだったはなが美しい蝶になって、
けえってきたみてえで。


**********

周造) てっ!
吉太郎) てっ!
ふじ) てっ!
もも) てっ!
かよ) てっ!
はな) ごきげんよう。
  ただいま帰りました。
吉平) グッド・アフタヌーン。はな。
はな) グッド・アフタヌーン。お父様。
リン) おまん、
  ふんとうにあのはなずらか?
はな) ええ。私、そんな変わりました?
周造) そうさな…
  どこのお嬢様かと思ったずらよ。
ふじ) おけえり、はな。
  大きくなったじゃんね~!
はな) おかあ! おじぃやん。兄やん。
  かよ。もも。おばさん。朝市。
  会いたかったさ!
ふじ) あ~!


**********

ふじ) さあ、どうぞ。
はな) うわ~!おいしそう!
かよ) おかあ、これこせえるのに、
  昨日からあっちこっち駆け回って
  大変だっただよ。
はな) ありがとう。
  おらの好きなんばっかじゃん。
周造) ほいじゃ、頂きます。
一同) 頂きます。
はな) うめえ~!
吉太郎) 毎日、華族のお嬢様たちと
   同じごちそう食ってたら、
   ほんなもん口に合わんら。
はな) ううん! 
  おかあのほうとうは日本一じゃん!
吉太郎) 無理しんでいい。
はな) 兄やん…。
吉平) ほりゃあ、はなは、寄宿舎で、
  肉だの卵だの、贅沢な食事させ
  てもらっとるが…。
もも) 肉だの卵、毎日け?
吉平) おう。ほの分、苦労して朝
  から晩まで勉強しとるんじゃ。
かよ) おらたちとは、
  まるっきし違う世界の話じゃ。
吉平) 勉強は、うんと努力して頑張っ
  た奴が勝つ。身分や金持ちかどう
  かなんて関係ねえ。はなは、ふん
  とよく頑張ってるだよ。
はな) おとう。せっかくの
  ごちそうが冷めちもうよ。
吉平) おお。
ふじ) みんな、た~んと食えし。
  はなの好物の、草餅もあるずら!
はな) てっ! 草餅!
ふじ) おじぃやんと、
  吉太郎がついてくれただよ。
はな) ずっと食べたかったさ~! 
  ありがとう! うめえ~!

**********

せっかく焼いたクッキーですが、
はなは、みんなに渡すのを
ためらっていました。

**********

三郎) 見たこんもねえような、
  べっぴんでごいすか。
武) 同じ汽車に乗り合わせて、その娘っ
 子も甲府で降りただ。おら、あの人と
 お近づきになりてえ。どこに住んでる
 だか見つけ出してくりょう!
使用人たち) はっ!
武) 着てるもんが上等だったから、きっ
 と大地主か、いいとこのお嬢様ずら。
徳丸) ここいらにうちより大地主なんか
  いる訳ねえずら! 武! ほんなこん
  より、この成績は何でえ! おなごに
  うつつ抜かしてる場合け! 
  勉強しろし!
武) はい…。


**********

(はなの着物を羽織ってみるかよ)

かよ) どうでえ? おら、お姫様みてえけ?
もも) うん! きれいじゃん。
   
(リボンを頭に乗せて) おらは?
かよ) ももも、お姫様みてえ。
はな) あっ、かよ。よく似合う。脱ぐこと
  ないじゃない。私もその着物、友達
  から借りたの。

(回想)
醍醐) はなさん、聞いたわ!
はな) 醍醐さん! どうしたの?
醍醐) 久しぶりに故郷にお帰りになる
  んでしょ? きれいに変身して、お母
  様達をびっくりさせておあげなさい。

はな) カバンも靴も、全部その醍醐さん
  っていう友達が貸してくれたの。ねえ、
  かよは上の学校には行かないの?
かよ) 行かん。
はな) どうして?
かよ) 兄やんに言われただよ。おなご
  が勉強なんしたって、お嫁に行くのに、
  邪魔なだけずらって。
はな) でも…勉強で知らなかった事が
  分かっていくのって、ホントにワクワ
  クするわよ。かよ、歌が好きだった
  じゃない。
かよ) 歌は好きだけんど、勉強は嫌えだ。
はな) 修和女学校にはね、楽器がたくさん
  あって、毎日誰かが音楽を奏でている
  の。ホントにいい学校だから、かよも
  きっと気に入ると思う。
かよ) 何でほんなこん…。
はな) 私ね、実はずっと考えていたの。
  かよも給費生として、うちの学校に
  編入すればいいんじゃないかって。
かよ) お姉やんはのんきでいいずら。
はな) えっ?
かよ) もう、
  おらの事はほっといてくれちゃ!
はな) かよ!


**********

吉平) ああ~寒っ。
  何じゃ? こんなとこで話って。
ふじ) あのボコたちの前じゃ、でけん
  話だから。あんたはすぐにまた
  どっか行っちもうし…。
吉平) ほういうこんか。分かった。子供
  達も、大きゅうなったし。こうでもしん
  と、2人っきりになれんからなあ。
  ほいけど、冷えるなあ…。
ふじ) フッ。何を寝ぼけたこん言ってる
  でえ! いい年こいて。あんた、ほん
  なだから、吉太郎やらかよの気持ち、
  分かってやれねえだよ。あんたは、
  はなだけが自慢で、他のボコたちは
  どうなっても、いいだけ?
吉平) ほんなこたあねえ。ただ、はな
  は5年ぶりにやっと帰ってこれて、
  今しかうちにおれんから。
ふじ) ほれは、かよも同じずら!
吉平) どういうこんでえ?


**********

(ももに本を読んでやるはな)

はな) 「まるでこの小さいマッチの
  炎が、この子には、大きなたき火
  のように思いました。」
  みんなどけえ行ったずら…。
  遅いじゃんね。

**********

はな) ひゃっ。つべてえな…。
  おはようごいす。
  おまんらも早起きじゃんね。
  あっ…朝市。おはよう。
朝市) おはよう。
  はな。元気ねえじゃんけ。
はな) 私、けえって来ねえ方がよかった
  のかな…。長い間、うちにけえらなか
  ったから、もう私の居場所なんてなく
  なちまったみてえで…。うまく言えない
  けど、かよも兄やんも、何か壁があっ
  て…。ああ…朝市もだけど…。
朝市) はなは、何にも分かってねえ。
  かよちゃんのこんも、何も分かって
  ねえじゃんけ。
はな) かよがどうしたの?
朝市) 黙ってろって
  口止めされただけんど…。
はな) 教えて朝市。
朝市) かよちゃん…。
はな) 何?
朝市) 年明けたらすぐ、
  製糸工場の女工になるだ。
はな) 女工…。


5年ぶりに故郷に帰ってきた
はなを待っていたのは、
冷たい空っ風と、厳しい現実でした。

ごきげんよう。さようなら。


**********

今まで見たことがなかった、あの、綺麗な赤い着物は、
やはり醍醐さんからの借り物でした。茂木先生の若い
頃の着物か、醍醐さんの物だろうと思っていましたが。
しかもちゃんと靴もカバンも貸してくれる気配りは、子
供の頃から一緒に過ごしてきた友達ならではのもの。
5年ぶりの帰郷に、綺麗な恰好で帰してあげたいと思
うのは、当時は当然のものだと思うし、できるものなら、
ちゃんとした姿を親に見せたいと思うのも普通だと思う。
特別な時には、ちゃんとした恰好をというのは、今より
ずっと大事なことだったと思うし。たぶん、これが男性
だったら、立派な恰好で帰ってきても、複雑な気持ち
にはならなかっただろうなあと。兄やんが見違えるよう
な恰好で帰ってきたら、大喜びで迎えただろうなって。
ただでさえ、お金持ちと貧乏人の世界の違いが大きい
上に、はなが女であることで、あまりにも場違いな感じ、
不公平感が大きくなってしまうというか。学校に行って、
英語が話せることで、何ができるのかも想像できなか
っただろうし、女は嫁に行くぐらいしか思いつかなかっ
た時代だろうし。はなが勉強することが、無駄なことに
しか吉太郎には思えなくてもしょうがない時代というか。
勉強してやっと知ることができる価値観の違いもある。

まだまだ、いろんな事が平等ではありえなかった時代。
10才までの現実を知ってはいても、そこから5年、違う
世界で生活してきた15歳のはな。まだまだ、家のリア
ルな貧しさや、兄妹の現状を想像できなくてもしょうが
なかったと思う。はなはラッキーだったけれど、それが
悪いわけじゃない。でも、吉太郎やかよの気持ちもわ
かる。それぞれの能力、向き不向きがあるから、みん
な同じというわけにはいかないけれど、それでも、なん
だかモヤモヤするのは、家族だから。同じ親から生ま
れた子供だから。同じ待遇が平等とは思わないけれ
ど、せめて気持ちは平等に気にかけてほしいと、子供
は思ってしまうかなあ。それぞれの想いがわかるだけ
に、今日は何とも切なかった。とりあえず今は我慢し
て、はながいい仕事について、稼げるまで待つしかな
いって、観てる側は思うけど、辛いよねえ、今現在が。

あちこち駆け回って(これぞ、まさしくご馳走)作ってく
れたほうとうと、草餅。肉と卵とクッキーが豊富にある
生活。悪い事をしてるわけじゃないのに、感じてしまう
罪悪感。食べられないのも辛いし、食べてしまってい
るのも辛い。家族の精いっぱいのもてなしの後、クッ
キーは出せないよね。はなが働いたお金で買ったの
なら出せるけれど…。気持ちがあっても、うまく伝え
られなかったり、伝わらなかったり。ムズカシイなあ。

はなをはなたれ呼ばわりしていた武にとって、はな
はシンデレラとなったようで。シンデレラがはなだと
わかった時の武が楽しみ。てか、武、勉強しろし!!


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