ごちそうさん(113)~「おでん皇國」~まろやかになってまう~ | 日々のダダ漏れ

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ごちそうさん 第113回
「貧すればうどんす」
~「おでん皇國」~まろやかになってまう~


め以子) おはようございます。氷さん。
     ♪氷、氷、氷な~のは間違い…
     え…えぇっ!?
活男) お母ちゃん、どないしたん?

    (氷が溶けているのを見て) えぇ~っ!?
め以子) 溶けてもうた
活男) もっかいや。雪集めてくるわ。
め以子) もっかいや~!

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源太) 馬介さん、すんまへん!
馬介) しゃあない、しゃあない。
め以子) 馬介さ~ん!
馬介) うん? め以子ちゃん、ひょっとして…?
め以子) 氷です!
馬介) うわ~!
源太) 何でお前が持ってこれんねん! クソ~!


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担当) 当日もああいう風に情報局の役人がついて、
    まずい事が起きると、あそこで放送を遮断され
    るんです。
室井) お役人さん、寝てるけど。
担当) 実際は、報道以外の番組は、
    あんまり気にしてはらへんみたいで。


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桜子) 火が消えたら、お召し上がりください。
    うま介印の、焼氷です。
    これ(半纏)、よかったらどうぞ。
岩見) おおきに。頂きます。
    妻が、食べたがっていたんですよ。
桜子) 奥様が?
岩見) 結局、連れてこられへんうちに病気になってし
    もて、逝ってしまいまして。向こうで会うたら、ど
    んなやったか話してやりとうて。
桜子) 向こうで、お会いになるて?
    
(男性が突然2人店に入り…) あの~…。
馬介) 特高か?
特高) 立て! 岩見亮介! 立て。
    立て!
め以子) ちょっと待って下さい! 逃げようともしては
     らへんし、これ食べる間ぐらいええんちゃいま
     すか?
特高) うるさい!
(め以子を突き飛ばす)
桜子) ちょっと、め以子!
め以子) ちょっと待ってください!あの…。馬介さん!

(入口の前で立ちふさがる馬介)
特高) どけ!
馬介) 焼氷! みんなで一所懸命作ったんです。
    僕は、この人が、食べてるとこ見たいんです。
    器が、空になったとこ見たいんです。この人の
    ためやのうて、僕のため、僕らのため、この人
    に、焼氷、食べさせたってください。
    お願いします!お願いします!お願いします!

    (頭を床に打ち付ける馬介)
め以子) 死にますよ。この人、死んでまいますよ!
馬介) お願いします!お願いします!お願いします!
特高) 1分だけやる。

(残りの焼氷を食べる岩見)
岩見) 大将。ごちそうさんでした。
馬介) また、来てや。


ごちそうさんだねえ。
馬介さんこそ、本当の。


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子供達) ごちそうさん! ごちそうさん! 今日何?
め以子) おばちゃんの事を、
     そんな風に呼んだらあかん。
     おばちゃんは、ただの…あかんたれや。


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室井) アカだったんだね。お客さん。
    …桜子ちゃん?
桜子) 何か…悔しい。寒さに凍えて、食べる物も我
    慢して、命まで差し出すこと求められて、言い
    たい事一つ言えないなんて…。


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め以子) 悠太郎さん。
悠太郎) はい。
め以子) これもお願いします。
     こんなこと、やったらあかんのですかねえ。
     独り占めせんと、もっともっと、振る舞うべき
     なんですかねえ。
悠太郎) ここに、おむすびがあったとします。あなた
     がこれを食べないと死んでしまう。同じく隣に
     はこれを食べないと死んでしまう人がいたと
     します。このおむすびを、その人にあげられ
     ますか?
め以子) その…隣の人って、うちの子ぉですか?
悠太郎) いえ、赤の他人です。
め以子) 無理でしょうねえ。
悠太郎) そういう人が、ええ恰好したかて、後が続
     きませんし、皆さんも別に、施されたい訳や
     ない思いますよ。
め以子) うん…。何か、ないですかねえ? 貧して
     も、鈍しない方法。現実的な…。現実にでき
     る範囲で、何か、そういう…

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め以子) 何か、ないかな?

(ラジオ・希子) 「少国民」の時間です。

泰介) 今日、室井さんが、出るんやろ?
め以子) ああ、そうやったっけ?


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希子) 「おでん皇國」は今、ポトフ帝国率いる連合国
    と戦ってるんですよね?
室井) あ…えっと…あ…(原稿を読みはじめる室井)
    そうです。一度は、有効関係を保っていた両国
    ですが、ポトフ帝国は変質し、おでん皇國を滅
    ぼそうとしているんです。
希子) では、「激突、おでん皇國連合艦隊、大海原
    の勇者たち」、の章です。

(波の音のまね)
室井) 眼前に広がる大海原。おでん皇國の軍艦・土
    鍋丸はおでんの勇者たちを乗せ、一路ポトフ帝
    国へと進んでおりました。捕えられた白天の丸
    を助けに来た昆布の介。ところがそこにいたの
    は白天に化けた薄汚いソーセージ兵であった。


**********

泰介) 昆布の介。

ラジオ・室井) なんという不覚。振り向くと無数につな
        がったソーセージ兵。もはやこれまでか
        と思ったその時。その時…。
        海の底から…マグマがどど~ん!


活男) あれ? 神風吹くんちゃうかったっけ?

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室井) 続いて、天まで届くかと思われる水柱。
    ごおお、ごおおとうなる水柱に、ポトフ帝国の軍
    艦も、おでん皇國の軍艦も、もろともひっくり返
    ってしまったのです。
希子) 両方とも?
室井) そうです。両者ともひっくり返り、
    すべてのものが水中へと投げ出されました。
    ていや~! えいや~! こらさ~!
    昆布の介も、白天の丸もタコ衛門も、大根の丞
    も、ソーセージ兵と力の限り戦っています。とこ
    ろが、マグマのせいでしょうか?海はどうにも温
    まってきました。ぽかぽか。ぬくぬく。ぽか~ぽ
    か。ぬく~ぬく。その温かさに、おでんダネの本
    能がうずきます。思わず白天の丸が呟きます。
    「ええあんばいや~」。タコ衛門もつい、「ほっこ
    りするな」と頬を赤らめます。さて、問題は昆布
    の介。あまりの気持ちよさに、ついついおだしを
    にじませてしまっているではありませんか。大
    根の丞が思わず叫びます!「あかん!昆布の
    介はん。おだし出したらあきまへ~ん!それ出
    したら、それ出したら~まろやかになってまう
    ~~
」。ふと気が付くと、にっくきポトフ帝国の
    兵達にも、同じことが起こっているではありませ
    んか。元々は陽気な性格のソーセージ兵たち。
    温かさに踊り出しております。それを見ていた
    おでん達も、踊り出します。あなたも私も、踊れ
    ば楽しい。気が付くと、みんな笑顔で炊かれて
    いました。白天も、タコも、大根も、ソーセージ
    も、キャベツも、人参も、同じ鍋で。それは、大
    きな大きな地球という、お鍋でございました。
希子) しょ…「少国民の時間」でした。

**********

唖然、茫然。

文女) 昆布の介、出汁、出してたな。
馬介) ソーセージ、踊ってたで。
桜子) まろやかになってまう、って。
馬介) ないわ~。
桜子) ないわ~。
馬介) ハハハハ。
桜子) アハハハ。


**********

大笑い。
聴く者たちを、混乱の渦に陥れた、
室井さんのお話でございましたが、
一人、この話に、
心底打たれたおなごがおりました。

め以子) 一つの…鍋。
     そうや。一つのお鍋や。


**********

焼氷のエピソードは、いつも通り、突然沸いて出て来
る、エピソードのためのエピソードなので、感動したく
ても、め以子が作った氷より冷え切った心では無理。
桜子のセリフも、全く我慢してるように見えない人達
ばかりの中で言われてもねえ…心に響きようがない。

今回は、ずっと気になっていた、室井の作品「おでん
皇國」を垣間見せてもらっただけで、ヨシとしましょう。
まるで、落語のようなオチで、底抜けに~まろやかに
なってまう~お話でありました。こんなたわいのない
お話でも、けしからんって話になるのだろうけれど…。
怒られてもそれほど深刻な事態にはならなさそうな。
今のように番組を録音もしてないだろうし、頭の中の
原稿はチェックしようもないし。グッジョブ、室井さん!
なんて思える、あまあまな世界だからね~この世界。

もう、いっそこのままずっと「おでん皇國」の朗読にし
てもらっても、全然かまわないよ~。マ・ジ・で!!!
つまんない話でも、仏頂面のめ以子を見せられるよ
り100倍マシだと思うから。既に、目が拒否する段階。

それにしても、馬介の行いと室井の話に心打たれた
様子のめ以子。今回更に追加された、め以子を言い
表す
称号は、「あかんたれ」。ぼんくら、しぶちん、あ
かんたれ。一体どこまで増える? ヒロインの蔑称は。

ここまで来てしまった以上、粛々と見守るしかないし、
淡々と、淡々と、なるべくヒロインのアップを薄目で見
るようにしながら、やり過ごそうと思う、今日この頃…。