ごちそうさん(96)~最後の一葉、ごちそうさんの大往生 | 日々のダダ漏れ

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ごちそうさん 第96回
「汁(つい)の棲み家(すみか)」
~最後の一葉、ごちそうさんの大往生


竹元) お父上をここにお招きしろ。
悠太郎) えっ?
竹元) 開業までは恐らく無理なんだろう。だったら、
    お前が案内して中をお見せしろ。
悠太郎) な、何でですか?
竹元) 図体ばかりでかい息子が、きちんとやってるか
    どうか心配されていた。きさまのような凡庸な人
    間にとって、仏に近い、人間の言う事は、ありが
    たみがあるはずや。


**********

悠太郎) 複雑やありませんか?
正蔵) うん?
悠太郎) こういう所へ来るのは。地下鉄の開発かて、
     銅山と、似たようなところありますし。
正蔵) そういうことかいな。
悠太郎) 将来的には、崩落かて、地盤沈下かて、起
     こらんとも限りませんから。
正蔵) わしが、こんな事言えた義理やないんやけど、
    どっちへ転ぶやわからんからこそ、開発やら技
    術なんちゅうもんの裏には、良心が、張り付い
    ててほしいと思うんや。わしはその、剥がれてし
    もうたもんを、自分の食う方に張り付けてしもう
    た。別に開発やら技術、嫌うとるわけやないん
    やで。まあ、むしろ、技術ってなもんは、技術で
    しか救えんもんやろうと、そう思てる。
    期待してるえ。

**********

悠太郎) 足元、気ぃつけてくださいね。
正蔵) はいはい。
悠太郎) ゆっくりゆっくり。
正蔵) うん。
悠太郎) 気ぃつけてくださいね。




(回想)
悠太郎) 誰よりも頑丈なもん造る。あんたが壊して
     回った分、みん
なを守るたてもんを…造る。
     せやから、逃げんと、隣で見とけ思う!

悠太郎) ゆっくり。



**********

正蔵) 天井がもう高うて、丸うなってんのや。そこに、
    エスカレーターってなもんがつくらしいで。
活男) すご~い!
泰介) ええなあ。おじいちゃんだけ。
正蔵) ホーム。あの電車の着くホームが、こ~んな
    長いんやわ。あんな長いの…何や? あれ。
悠太郎) 将来を見越して、ああなってて。
正蔵) あっ、そうかいなあ。ハッハッハッハ。
静) はりきって。大丈夫かいな。
正蔵) あんなもん見せてもうたら、地下鉄乗るまで
    はもう、死んでも死にきれん気分になる。
    元気が出るのや。ああ~おおきに、おおきに。
め以子) お父さん、どうぞ。
正蔵) ああ、おおきに、おおきに。ハハハ。
    これ何や、いろいろ入ってるなあ。
め以子) はい。源ちゃんが持ってきてくれたもん使
     て、希子ちゃんが貸してくれた本に載ってた
     のを作ってみたんです。どうですか?
正蔵) ああ…
静) 聞かんでもええんちゃう? フフ。



**********

め以子) お父さん、元気になってましたね。
悠太郎) ああ。よう食べとったなあ。
め以子) うん。連れていって、正解でしたね。

**********

正蔵) こんな幸せでええんやろか? わしみたいな
    あかんたれなおっさんが。ここんとこず~っと
    ええ事ばっかりや。
静) 悪い事もぎょうさんあったから、トントンやな。
正蔵) ハハ。せやな。
静) ええ事も、悪い事も、腹いっぱいなお人やね。
  あんさんは。
正蔵) せや。ごちそうさんな人生やなあ。




**********

悠太郎) おはようございます。
め以子) おはようございます。
悠太郎) おついですか?
め以子) うん。さっぱりと。
希子) おはようございます。
悠太郎・め以子) おはよう。
め以子) あっ、希子ちゃん悪いけど、子供ら…。
希子) ああ、起こしてきます。あっ、おはよう。
    今日は自分で起きられたん? 偉かったね。
め以子) おはようさん。
悠太郎) おはよう。
ふ久) 母ちゃん。
め以子) うん?
ふ久) おじいちゃん、まだ寝てる。

**********

悠太郎) お父さん。
希子) お父さん。



静) 今日、朝ご飯、何やったん?
め以子) 白和えと、お漬けもんと、
     あと…酒昆布の、おついです。
静) せやねんて。
  ゆんべな…。

(回想) 
正蔵) なあ、今日、美味しかったなあ。
    明日何やろな?
静) 何やろねえ。
正蔵) ハハハハハ。

静) 朝、起きたら、おらへんように、なってはった。
  希子ちゃん。ええ祝言見せてくれて、おおきに。
  かっちゃん。干し柿、おおきに。
  泰ちゃん。100点おおきに。
  ふ久。お膳、おおきに。
  悠太郎さん。どえらいもん見せてくれて、おおきに。
  め以子はん。毎日毎日、ご飯、ほんまにおおきに。
  みんなのおかげで、お腹いっぱいで、逝きはった。
  ごちさうさんやて、逝きはった。大往生や。
  これ以上ない、大往生やった。
  おおきになあ。おおきにな…。

**********







**********

め以子) どうぞ。
悠太郎) 干し柿。
芽衣子) お父さん、作ってくれてはったの。
悠太郎) あの…。ありがとうございます。
め以子) うん。どうぞ、どうぞ。
悠太郎) せやのうて…親父のこと。
     最高の送り方してもろた気がします。
め以子) あ…私やなくて、それ言うなら、希子ちゃん
     とか、お義母さんとか…お義姉さんとか。
悠太郎) 最高ですよ。明日のご飯考えながら、逝っ
     たなんて。僕の時も、そうしてくださいね。
め以子) 嫌ですねえ。私より、長生きしてくださいよ。
悠太郎) 自信ないですね。
     あなた、長生きしそうですから。

**********

正蔵は、羨ましいほどの大往生! いいことばかり続
いて、食べたかったものを食べ、明日のご飯は何か
かなあと楽しみに眠りについたまま…。本当に、こん
なふうに死ねたら幸せだろうなって思う。家族に大事
にされて、慕われて。悪いことがぎょうさんあっても、
これはもう、トントンというより、遥かに幸せな人生か
と。終わりよければ…人生の最後が幸せなら、それ
はもう、最高の人生だったと言っていいと心から思う。

そこは、いい。そこはいいのだけ~れ~ど~
(毒吐きますので、ごちファンの方はスルーで!)

人の気持ちというものを地道に描いてこなかったツ
ケが、こんな風に、いい場面になった筈のところを、
残念ながら、冷めた目で見る事になる。どんなにい
いセリフでも、そこに至るまでの過程がしっかり描
かれていなければ心には響かない。台詞だけポン
と出されても、積み重ねのない、急ごしらえのエピ
ソードばかりを出されても、気持ちは追いつかない。
しかもここに来て、大安売りの「ごちそうさん」台詞
ばかりで、お腹いっぱい! 心底、冷めてしまって。

柿の葉が落ちないエピソードも、オー・ヘンリーの、
「最後の一葉」かよ!って声が上がっていたけれど、
まさかそんな陳腐な…と思っていたらそのまんま。
正蔵が亡くなると共に、葉が落ちるシーンの挿入。
これ、感動すると思ってるのか? まさか本気で?
観た瞬間、思わず出て来た言葉は「やりおった!」
やっちゃったよ。まさか、ホントにオー・ヘンリーをや
りおったって。和枝ちゃんの名演がなかったら、渋
柿を食べてしまった後の顔になっていたかも…(毒)

和枝ちゃんの柿の葉ずし、悠太郎の成長。そして…
本当は、希子の花嫁姿を見たかったと思うよ。正蔵
さんは。め以子の花嫁姿じゃなくて、娘の晴れ姿が。
何でもかんでも「ごちそうさん」。人には、「心」という
ものがあるはずなんですけどね。いろんな感情が、
いろんな想いが、積み重なって、今があるはずなん
ですが…。事件を起こして、まあ大変、大騒ぎして、
解決したような気になって、人の気持ちはおざなり。
夫婦の情愛も、親子の情愛も、な~んにもきちんと
描かれないまま、役者さんに丸投げというお粗末さ。
震災も、鉱山問題も、あんな扱いなら、書かなきゃ
いいのに。何一つ、登場人物の心に残っているよう
には描いてないし。言葉だけが寒々しく響くばかり。
技術にも脚本にも、良心が張り付いていてほしいよ。

相変わらず、夫婦の情も、親子の情も感じられない
まま、また月日が流れ…でも、変わらないんだろう
なあ、きっと。脚本家は、オリジナルを創り出す力が
ないのだろうと思う。代表作はみな、原作ありきだっ
たし。アレンジする能力はあるのだろうけど、自分で
物語を創りだす能力がない。原作ものにしておけば
よかったのと、人ごとながら、同情します。原作もの
にしておけば、ここまで、才能のなさを曝け出さずに
済んだのに…。本当にお気の毒で(つい、猛毒が)。

ところで、公式HPを見たら、川久保さん、希子の夫
になってましたね。まさか、あのドタバタ劇で一緒に
祝言を挙げた? それとも、正蔵の喪が明けてから
祝言を挙げた? 謎のまま、物語は時間が飛んでし
まうのか…。いや~、凄いわ。ホント、いろいろ凄い。


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