「赤毛のアン」のチェリーパイ | 日々のダダ漏れ

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グレーテルのかまど (アンコール放送)
「赤毛のアン」のチェリーパイ

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ


世界中の人から愛されてきた物語、
「赤毛のアン」。
お話の中にたびたび登場する、
特別なスイーツが、チェリーパイです。

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

一方、アンの作者、モンゴメリ。
彼女がよく
作っていたのは、
ちょっと変わったチェリーパイ。
今回は、アンと、モンゴメリにまつわる、
2つの
チェリーパイのお話です。

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カナダの東海岸に浮かぶ小さな島、
プリンス・エドワード島。

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

この美しい島を舞台にして、
小説「赤毛のアン」は生まれました。

赤毛でソバカスの少女アンは、
院を出て、
マシューとマリラという、独身の
兄妹のもとに
引き取られます。

お喋り好きで、想像力豊かなアンが、家や学校で、
騒動を巻き起こしながら、強く聡明な女性に成長
していく物語。

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本が出版されておよそ100年。
30か国以上で翻訳され、今も世界中の少女を
する、永遠のベストセラーです。

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プリンス・エドワード島には、アンが育った家、
グリーンゲイブルズが再現され、アンの部屋や、
当時の人々の暮らしを見る
ことができます。

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日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

この島には、毎年、世界中からアンを愛して
やま
ない、たくさんの観光客が訪れるのです。

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

全8作による赤毛のアンシリーズ。
少女だったアンが結婚し、母として家庭を築き、
更には子供が成長
するまで、物語は続きます。

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そんなアンの物語に、たびたび登場するのが、
素朴でサクサクのパイ生地に、甘酸っぱいチェ
リー
がたっぷり詰まった、チェリーパイ。

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

そして、料理上手だったという作者の、モンゴメリ
が得意にしていたのは、作品に登場するのとは
ちょっと違う、こちらのパイ。モックチェリーパイ。

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

実は、モックとはまがいものという意味。
( moch = まがいもの)

そう、
このパイは、チェリーを一切使わない、チェ
ーパイなのです。一体どんなパイだったのか、
何と、モンゴメリ直筆のレシピが残っていました。

アンとモンゴメリの2つのチェリーパイ。
どんな味だったのでしょう?

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赤毛のアンの世界で、チェリーパイは
どう描かれているのでしょうか?

成長し、結婚したアンの生活を描いた作品、
「アンの夢の家」に、こんな場面がありました。

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ


お手伝いのスーザンが、チェリーパイを焼いてい
ると、賑やかな隣人たちが、アンの家を訪れます。

 チェリーパイの匂いかしら?
 もしそうなら お茶の時間まで
 いろと言ってちょうだい
 この夏は一度もチェリーパイを
 食べられなかったんですもの
   「アンの夢の家」第22章より

実はこのご婦人、悪戯っ子に、庭のチェリーを
全て食べられてしまい、この夏、チェリーパイ
にありつけなかったことにご立腹。


寒いカナダでは、チェリーは、夏の短い間しか
れません。だからこそ、チェリーパイは、
夏の訪
れを告げる、特別なご馳走なのです。

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たまたま居合わせた船乗りのジム船長も、
夕方
に焼きあがるチェリーパイに、興味深々。でも、
夕食まで居座るのも迷惑だろうと、
チェリーパイ
に心惹かれながら、家を去るのです。

 ジム船長は笑いながら
 夕飯までいてチェリーパイを食べるわけには
 いかないと 悔みながら帰った
   「アンの夢の家」第22章より


そんなチェリーパイ。実は、アンの最愛の夫、
ギルバートの大好物でもあります。
アンの話を聞きながら食べているのも、
チェリーパイ。アンとお手伝いが、ギルバート
を待ちながら焼いているのも、チェリーパイ。
アンが子供を産んだその日に、みんなで食べ
たのも、やっぱり、チェリーパイ。

夏しか食べられない
チェリーパイは、
誰もが心ときめくスイーツ
だったのです。

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日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

カナダの町ノーバルに、モンゴメリの親戚が営む
ベーカリーがあります。ここに残されているのが、
モンゴメリ直筆のレシピ。その中に、ありました。
モック・チェリーパイ。

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材料には、レーズンとクランベリーを使う、
と書かれています。

冷蔵庫がなかった時代。季節によっては、
手に入らない食材を、
別のもので代用することが、よくありました。

その一つが、クランベリーと、レーズンを使った、
チェリーを使わないチェリーパイなのです。

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アメリカ北部からカナダは、
クランベリーの、一大産地。
収穫期の9月から11月には、見渡す限り、
畑一面がクランベリーで真っ赤に染まります。

このクランベリーで、チェリーパイに負けない、
美味しいパイをと生み出されたのが、
モック・チェリーパイなのです。

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実はこのモック・チェリーパイ、
モンゴメリにとって、特別なお菓子でした。

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33歳で、赤毛のアンを出版し、ベストセラー作家
となったモンゴメリは、36歳で、牧師の夫と結婚。
チェスターとスチュアートという、2人の子供を授
かります。ベストセラー作家で、尊敬を集める牧
師の妻。完璧主義者だったモンゴメリは、メイド
が驚くほど、家事や料理が上手でした。

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しかし当時、仕事と家事の両立、とりわけ、小説
を書きながら、家庭を守り続けることは、簡単で
はありませんでした。

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

「赤毛のアン」が大ベストセラーになったことで、
世界中から続編を望む声が寄せられます。

もともと、アンの続編を書くつもりはなかったモン
ゴメリ。彼女は、そのプレッシャーに、次第に追
い詰められていきました。

更に、夫のユーアンは、妻が小説を書くことを心
よく思っていませんでした。ある日、モンゴメリを
未婚だと勘違いしたファンから、ミス・モンゴメリ、
と書かれた手紙が送られてきました。

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

夫は、こんな宛名の手紙を今後も受け取るなら、
出ていってくれ、と言い放ちます。
しかも、その夫が心の病に罹ってしまい、
モンゴ
メリの苦悩は、
ますます深まっていくのです。

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

牧師の仕事は、毎週のミサや、冠婚葬祭など
忙しく、モンゴメリが病気の夫に代わって、
信者の家をまわることも珍しくありませんでした。

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

執筆は一日数時間だけ。つらく目まぐるしい日々
を、モンゴメリは送っていました。そんな彼女に
とって、心の支えは、子供達だったのです。

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モンゴメリの日記の編纂を手がけた、
メアリー・ヘンリー・ルビオ教授。
家族や周囲の人々への聞き取り調査も
行ってきた、モンゴメリ研究の第一人者です。

(ルビオ教授)
モンゴメリは、息子達が小さい頃、よくピクニック
連れていきました。サンドイッチや飲み物、モ
ック・チェリーパイを持ってね。そこには美しい川
が流れていて、子供達は川で泳いだ後、モック・
チェリーパイを食べました。モンゴメリは忙しいな
がらも、そうやって、子ども達を喜ばせていたの
です。

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

そして、息子のスチュアートが医師を目指し、大
学で勉強に励んでいた頃、モンゴメリは、息子の
大好物のモック・チェリーパイを焼き、ブリキの缶
にたくさん詰めて、わざわざ届けに行きました。

モック・チェリーパイは、家庭や仕事で苦しんで
いたモンゴメリの、唯一の、安らぎの時を彩って
いたのです。

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【TEA BREAK】

ファンなら一度は作りたい、
赤毛のアンのスイーツをご紹介。

友人ダイアナを家に招いた時に出したのが、木イ
チゴと砂糖で作った、甘酸っぱい木イチゴ水。

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

ところが、おっちょこちょいのアンは大失敗。
木イチゴ水によく似た色のお酒を飲ませて
しまったのでした。あら大変。


そして、牧師夫妻を招いてのお茶会で、アンが
作ったスイーツが、スポンジを何層かに分けて、
イチゴのジャムを挟んだレイヤーケーキ。

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

ところが・・・。
ここでもアンは、大失敗。風邪で鼻がきかなかった
アンは、バニラエッセンスと間違えて、なななーん
と痛め止めのお薬をたっぷり入れてしまうのです。

実は、モンゴメリが若いころ、下宿先の夫人から、
こんなケーキを出されたことがあるんだとか・・・。
その時の経験を、作品に生かしてるんですねえ。

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

他にもスイーツがたくさん登場する赤毛のアン。
スイーツに注目しながら、
物語を楽しんでみては、いかが?

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赤毛のアンで、ご馳走として登場するチェリーパイ
と、モンゴメリが愛する息子の為に作った、モック・
チェリーパイ。グレーテルは2つの味から、どんな
ことを感じるかしら?

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

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1942年、モンゴメリは、67歳でこの世を去りました。
彼女は、仕事や家庭に関する苦悩を、晩年まで
日記に書き続けていました。その為、不幸な人生
を歩んだ作家として、語られることがあります。

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

しかし、
長年研究を続けたルビオ教授は、こう語ります。

(ルビオ教授)
確かに、日記には心痛む文章が見られます。
しかしそれは、彼女の人生の一面にしかすぎず、
周りの人々は、幸せな一面も語っているのです。


教授は、モンゴメリの息子、スチュワートから、
母との幸せな思い出をたくさん聞きました。

(ルビオ教授)
モック・チェリーパイと母の思い出を話すスチュ
ワートは、本当に幸せそうでした。
モンゴメリは、息子達をとても愛していたし、出
来る事を精一杯やっていました。だから、スチュ
ワートの中で、モック・チェリーパイの思い出は、
いつまでも残っていたのでしょう。話し出したら
止まらなくなるほどに。

世界中で愛される、
幸せな物語を書き続けたモンゴメリ。
チェリーパイも、モック・チェリーパイも、
彼女の幸せを彩った、
かけがえのないスイーツでした。

日々のダダ漏れ-「赤毛のアン」のチェリーパイ

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「赤毛のアン」! 少女の頃、それこそ何度も何度も
読み返した、大好きな物語。最近、カバーイラスト
につられて(ちなみに、羽海野チカさんのイラスト)、
新訳の「赤毛のアン」シリーズを3冊続けて読んだ
ばかりなので、私にとってはタイムリーな回でした。

繰り返し読んでいたのは、少女時代のアンのお話
なので、チェリーパイよりも「木イチゴ水」のほうが
馴染みがあるというか、憧れがあります。なんだか
とっても美味しそうで、もの凄く飲んでみたい飲み
物でした、木イチゴ水。私の記憶では、「イチゴ水」
なのだけれど、「木イチゴ水」が本当なのでしょう。
今なら、アンが間違えたほうの、木イチゴ水という
か、お酒のほうが飲みたい、飲兵衛な大人になっ
てしまいましたが・・・(恥)

夏しか食べられないという、チェリーパイも食べて
みたい。その季節が待ち遠しくなるようなスイーツ。
きっと、毎年楽しみに思う気持ちも、美味しさにプ
ラスされて、より美味しさが増すのでしょう(*^。^*)

モンゴメリの得意料理、クランベリーとレーズンの
モック・チェリーパイも、美味しそう。食べたい~。

モンゴメリがずっと書いていた日記は、気持ちを
整理したり、書くことで、想いを吐きだすための、
ツールだったんじゃないのかなあと思いました。
息子さんが、幸せな思い出をたくさん持っている、
そんな時間を共有したモンゴメリが、不幸なだけ
のはずがないと・・・。あんな素敵な物語を書いた
彼女の人生が、辛いだけのはずはないと・・・。

歳をとった今、同じように歳をとったアンの物語
も読んでみたくなりました。今では、アンよりも
マリラの気持ちになってしまう今日この頃・・・。


●私が最近購入した、新訳「赤毛のアン」の本
  のお話は、こちらの記事に ↓
羽海野チカ・ウキウキ文房具セット♪

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