中原淳一のクリスマスケーキ | 日々のダダ漏れ

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クリスマスの思い出、教えて! ブログネタ:クリスマスの思い出、教えて! 参加中

クリスマスの思い出といえば・・・今でも忘れられない
のがクリスマスケーキ。祖父が菓子職人だったので
クリスマスにはいつもケーキが届けられたのですが。
ある年、そのクリスマスケーキが二段だったのです。
二段になっているケーキなんて初めてだったし、もう
テンションが上がる上がる。今でもあの時のうれしさ
は忘れられません。夢のようでしたね、子供にとって。
実際、あれ以来二段ケーキにお目にかかることはな
いままに今に至るわけで・・・。量的に食べられるとは
思えないけれど、今でも二段ケーキには憧れます♪


グレーテルのかまど (12月1日放送)
中原淳一の
クリスマスケーキ




キラキラ輝く、大きな瞳。
あざやかな衣装が印象的な女性たち。





これらの絵が描かれたのは、今から50年以
上も前。
描いた人の名は中原淳一。



画家、ファッショ
ンデザイナー、そして、戦後間もなく
創刊した雑誌の編集長として、女性が美しく生きるた
めの情報を提案し続けました。


彼が発信した衣、食、住のノウハウ。それは、
当時の女性達の圧倒的な支持を受けました。



その中の1つに、まだなじみがなかった
クリスマスケ
ーキの記事があります。



毎日の食べ物にさえ、不自由していた時代のクリス
マスケーキ。今日は中原淳一が提案したクリスマス
ケーキと共に、女性たちに美しく生きることの意味を
伝えようとした中原淳一の想いに迫ります。

**********




美しくあることが、いかに大切かを追求した中原淳一。
女性達へ多くの言葉を残しています。

「あなたの毎日の生活は 美しい心の人になるように
心がける毎日にいたしましょう
それは他の人から 喜ばれるからというだけでなく、
あなた自身の幸福なのですから」

「愛される条件というのは 愛する心の豊かなことだ」


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中原淳一は、33歳に出版社を立ち上げ、それいゆ、
ひまわりなど、女性向けの雑誌を発行。編集長とし
て、コンセプト作りから、表紙のイラスト、作家や女
優への原稿の依頼まで、自ら手がけました。



時代を先取りした洋服のデザインを次々と発表。誰も
が、自分で作って着られるように、型紙もつけました。



少女達はみんな、おかっぱ頭の時代、表紙には可
愛らしく見えるヘアスタイルを描き、読者は、自分で
結って楽しめるよう、丁寧な解説記事を乗せました。





また、たとえ狭い部屋でも、美しく暮らせるような具
体的アドバイスも。シーズンオフに安く生地を手に
入れて、カーテンを手作りしたり、余り布をタペスト
リーにしたり。




戦後、物のない時代に、中原淳一は、女性達に向
けて様々なアイデアを示し、美しく生きることを呼び
かけたのです。

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中原淳一は、終戦直後、読者にクリスマスを
楽しもうと提案しています。


「今年は砂糖の配給がありましたから、
クリスマスにはお菓子をこしらえましょう」

砂糖が貴重品だった当時、手に入る材料と、身近
な花を飾って、少しでも美しくと提案しました。

こちらは、ひまわり1948年、12月号に載ったクリス
マスケーキ。当時庶民には届かなかった生クリー
ムの代わりに、卵と牛乳で作るカスタードクリーム
だけを使ったユニークなケーキです。



「楽しいクリスマスが近づいてきました。
遠い外国の習慣ではなく 私達には、
もう身近の、美しい、楽しい日なのです」

「あなた方の美しい夢を、お料理にも
盛ろうではありませんか」


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中原淳一は、1913年、敬虔なクリスチャンの家に生
まれました。幼い頃から絵が得意で、いつも二人の
姉のそばで、絵を描いたり人形遊びをして、楽しん
でいたといいます。19歳で、少女雑誌の挿絵画家と
してデビュー。一躍、人気者となりました。

しかし、その活動は戦争によって中断されます。
中原も招集され、苦しい月日が流れました。

1945年、終戦。東京に戻った彼の目に映ったのは、
一面の焼け野原。そして、命をつなぐことに追われ、
美しくすることを忘れた、女性たちの姿でした。



これではいけない
本当の意味で美しい暮らしを知る本を作りたい

中原は、私財を投じて、女性向けの雑誌を作る
ことを決意。終戦からわずか1年後の8月15日、
「ソレイユ」創刊。



ソレイユ(Soleil)とは、フランス語で、
太陽に向かってまっすぐ伸びるひまわりのこと。

創刊の日を8月15日としたことにも、中原の強い
意志があらわれています。

巻末には、こんな文章を乗せました。

戦争よ! さよなら



「長い間の重苦しい戦争生活につかれた私達です。
(中略)戦災で服がないのかもしれませんが、工夫
しましょう。そして、一時も早く戦争色にサヨナラしま
しょう」



さらにこんな言葉も。

「こんな本はくだらないと言われるかもしれない。
お腹の空いている犬に
薔薇の花がなにも食欲をそそらないように。
しかし、私たちは人間である!!
窓辺に一輪の花を飾るような心で、
この「ソレイユ」を見ていただきたい」


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こちらが、中原のクリスマスケーキをもとに、
番組で作った「中原淳一のクリスマスケーキ」




カスタード風味が香る、花のクリスマスケーキ。
見た目にも、味わいにも、作った人の愛情が
あふれる、やさしいケーキです。



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中原淳一は1958年、昼夜違わぬ激務の末、心筋
梗塞で倒れます。このとき、まだ45歳。その後、
中原は仕事を離れ、千葉県館山市で療養生活を
送りました。ここでも彼は、地元の人々が、美しく
生きるための手助けをしました。

漁師の妻が、結婚式に出ると聞けば、着付けから
お化粧まですべて自分でやってあげたり、大やけ
どで髪の毛を失い、絶望していた若者に出会った
時には、病院の紹介から、治療費の面倒までみ
たこともあったといいます。

中原淳一の長女、中原芙蓉さんが、そんな父の
思いを語ってくれました。



ひまわりに象徴されるように、やっぱりこう明るく花
開いてほしいっていうようなね、そのために自分が
できることだったら、なんでも手助けをしたいって
いうような、そういう思いもあったんだと思います。

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1983年、中原淳一は、ここ館山で永遠の眠りにつ
きました。70年の生涯でした。海岸に、彼の死後、
地元の人が建てた石碑がありました。

そこに刻まれているのは、中原淳一の詩(※)



もしこの世の中に、風にゆれる「花」がなかったら、
人の心はもっともっと、荒んでいたかもしれない。



中原淳一は、美しく生きることを生涯のテーマとし
て、そのために、誰もが実践できるノウハウを考え、
発信し続けました。美しくありたいと願う気持ちが、
人間らしさ、心の豊かさを与えてくれるものだと、
信じていたからです。


●「中原淳一」HP
(番組の中に出てきたお店情報も↑のHPからどうぞ)

(※) 中原淳一の詩(全文)

もしこの世の中に、風にゆれる「花」がなかったら、
人の心はもっともっと、荒んでいたかもしれない。

もしこの世の中に「色」がなかったら、
人々の人生観まで変わっていたかもしれない。

もしこの世の中に「信じる」ことがなかったら、
一日として安心してはいられない。

もしこの世の中に「思いやり」がなかったら、
淋しくて、とても生きてはいられない。

もしこの世の中に「小鳥」が歌わなかったら、
人は微笑むことを知らなかったかもしれない。

もしこの世の中に「音楽」がなかったら、
この険しい現実から逃れられる時間がなかっただろう。

もしこの世の中に「詩」がなかったら、
人は美しい言葉も知らないままで死んでいく。

もしこの世の中に「愛する心」がなかったら、
人間はだれもが孤独です。

中原淳一


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中原淳一のイラストは知っていましたが、実はあまり関心
がなく、昔の絵を描く人、ぐらいの認識しかありませんでし
た。女性が美しく生きるために、これほど尽力された方だ
ったとは・・・。戦後まもなく、そんなことを考えてくれた人
が、しかも男性が存在したことに、とても驚いてしまいまし
た。物やお金がなくても工夫次第で、美しく生きていける。
実は今の時代でも、今だからこそ、必要な知恵かもしれ
ないと、情報過多で与えられるばかりの世の中で、何が
欲しいものなのか、自分が美しいと思うものは何なのか、
それすら見失いがちな今の時代にこそ必要な感覚だと。

自らの心が求める、「美しくありたい」と思う心こそを大事
に育てていきたいと、美しく豊かに生きていきたいと思う、
その心を忘れずにいたいと、心から願い、思いました。

この世界に、美しいものがたくさんあって、よかった・・・。
「花」も「色」も、「信じる」ことも「思いやり」も。「小鳥」が
「音楽」が「詩」が、何より「愛する心」があってよかった。

きっと、今の自分を育んでくれた、美しいものが、世の中
にはたくさん存在していて、そのおかげで、豊かに生きる
ことができているのでしょう。そういうものを少しでも多く、
見つけ、感じられたらいいなあと、素直に思えてきました。

らしくないけれど、たまには、お花を飾ってみましょうか。


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