作曲しているときに
よくクラブミュy-ジックやポップスで聴こえてくる
色々なドラムセットのNo.39に入っているようなハンドクラップではなくて、
もっと生々しい手を叩く音が欲しくなったのだが、
とても素晴らしいフリーソフトがあったので紹介したい。



Clap


以下のサイトでダウンロードできます。

http://www.gregjazz.com/index.php?page=resources 
Greg Schlaepferさんのサイト


ありそうでない音色なのでこれは重宝する。
つまみを回すとニュアンスが変化するし
シンプルながらこれはリアルで気に入っている。


ミックスの中でそのままでは使えないので、
コンプとEQで整えてやると相当良い感じになる。


今回はEQ→コンプの順番でEQを先に掛けた一例を紹介したい。


Clapに掛けたEQの設定。 

EQはSonalksisのSV517 mk2を使っている。
HPFでローを378Hzの位置でバッサリカット。
これで手の低音のふくよかさみたいな部分を切っている。
ちょっと奥に行く感じでバックのオケに馴染んでくる。


24dB/octでかなり鋭く切っているが、
このEQはなかなか使い勝手が良い。


ミックスでもこれ1つあればとりあえずなんとかなる感じだ。
小回りが効いて痒いところに手が届く感じ。


これでVienna EQみたいにアナライザーが付いていたら
文句なしなのだが、耳だけを頼りに音を作るのも大切なので、
(というか耳だけで出来るようになるべきだと思う)
最近はこれを良く使う。


あとは手拍子の高い部分の鳴りである5kHz辺りを
7dBほど&は結構広めでブースト。


こうすることによって良く鳴る手拍子に音になるし、
後段のコンプでこの鳴りの部分を優先的に
コンプレッションできるのでほどよくコンプが聴いたサウンドにできる。


このように先にEQ、後でコンプの場合は
コンプを掛けたい帯域を予めEQでブーストしておいて、
あとでコンプを掛けるとその部分をしっかり潰した音が作れるので
ベースなどでも良く使うテクニックだ。


ベースで100Hz辺りを持ち上げておいて、
後ろにコンプを入れると低音はしっかり安定しつつ、
中域、高域のニュアンスはちゃんと自然さが残る音にできる。


要するにマルチバンドコンプの応用だが、
普通のマルチバンドでは帯域別のINPUTを増減できない機種もあるし、
出来てもパラメトリックEQほど緻密に増減が出来るわけではないので、
やっぱりEQでやるのが便利。


ロー、ミッド、ハイ、みたいなトーンコントローラーでも
優先的に潰したい帯域をコンプ前に持ち上げておくと良い。

マルチバンドコンプとは微妙に違ったニュアンスが得られる。


今回はローをバッサリ切りつつ、
鳴りの部分を優先的にコンプレッションしたかったので
このような設定にした。



Clapに掛けたコンプの設定。

コンプもSonalksis製品でSV315 mk2を使用。

ニーを限界までソフトにして、深めにコンプを掛けている。
(元の音が結構小さいので)


アタックはやや遅め、リリースはオートにして、
「コンプ掛けてます感」を和らげつつ、しっかりと潰している感じ。


この辺は好みの問題なので
「いかにもコンプ掛けてます」的な音にしたければ
ハードニーにしたり、アタックを短くすることで
音を作っていくことが出来る。


ミドルテンポの楽曲でスネアのタイミングで鳴るだけなので
リリースはオートにした。


リリースのオートも便利ではあるのだが、
やはり音が連続するようなトラックには
テンポやビートや演奏に合わせて
ちゃんと自分で設定するべきだろう。


どんな楽曲のどんなトラックであれ、
クラシックの生演奏の録音でもない限り
コンプが全く不要のトラックというのは基本的には考え難い。
(全くないわけではないけれど)


ポップスやロックなどのバンド形態の音楽や
ゲームやアニメのBGMでの
コンプを楽曲の中で1つも使っていないミックスというのは
ちょっと考え難いというか
現代では在り得ないと言っていいかもしれない。


思うにコンプを「単なるレベル管理」で使うのか、
楽曲の中でのニュアンスをより強調したり、
和らげたりする「音作り」で使えるかがミックス中級者への壁かもしれない。


いわゆるプロの楽曲を聴いていると
みなすべからくコンプの使い方がとても上手。


こんな風にミックスできたらなぁ~と思いながら
いつも勉強する気持ちで
音楽を聴いているがミックスでもマスタリングでも
コンプを上手に使えるようになれば、
というかコンプで出したいニュアンスを出せるようになれば
自分の曲の聴き栄えは大分良くなるので、
コンプの理解がいまいちだなぁ~という方がいらっしゃれば
キッチリ勉強することをお勧めしたい。


レシオ、ニー、アタック、リリース、スレッショルドのそれぞれを
どういうトラックにどういう掛け方をしたらどういう音になるのかを
ちゃんと言葉で説明できるくらい使い方を理解していないと
コンプを使いこなしているとは言いがたいかもしれない。


「このトラックにリバーブを掛けるのは残響を付けたいから」と同じレベルで
「このトラックに コンプを掛けるのはパーカッシブなトラックにしたいから」という風に
使えるようになるとかなり曲の出来は良くなる。


どんなエフェクト処理も目的と手段をしっかり明確にして行うべきであり、
それはコンプにおいても大切なのだ。


じゃあどうしたらパーカッシブになるの?という話だが、
ニーをハードにしたり、アタックを短くすることで
よりパーカッシブになっていくということを
本や先生から学んだり、
自分の経験の中で身に付けていくことが必要になる。


ある程度決まりきった使い方はあるけれど、
やっぱりその曲のそのトラックごとに千差万別なので
最後は自分の耳で判断する。


たくさん経験して、たくさん学んだ状態での
「自分の耳で判断する」というのは
無経験の素人が感覚だけで「自分の耳で判断する 」のと
全然意味が異なる。
どんなことにでも努力が必要なのだ。


コンプレッサーは直感的に使いにくいエフェクトではあるが、
それゆえに他人との差が出やすい部分だし、
いろいろわかってくると楽しくもあり、奥深いエフェクトでもあり、
たくさん色々な機種が欲しくもなる。


未だに何処ぞのメーカーから新しいコンプが出たら
欲しくなってしまうのはみんな味があって、
面白いからだ。


塩を入れたらしょっぱくなるし、
砂糖を入れたら甘くなる。


その粉末の味覚的効果を理解すれば
料理の腕は上がるように、
そのコンプの聴覚的効果を理解すれば
ミックスの腕も上がる。


そんなわけで最近はFocusriteのForte Suiteが欲しい。
ISAのコンプでミックスしてみたい。

Focusrite Forte Suite 
http://www.avid.com/JP/products/Forte-Suite 



ただMASSEYなどと同じでRTASのみでVSTがない。
VST版があれば絶対に買うのだが…。



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