三十代後半、会社員のころだった
当時は景気が良くて、管理職が個室を持っていた
なぜそんなことを覚えているかというと、
部長の部屋で、私の病気について報告したときに
すごくしんどくてつらかった思いが、いまだに心に残っているから
その上司は自分は適当なのに、部下には過大な要求をする人だった
彼の思い付きで、みんな、アップアップしていた
そんな役にも立たない余計な仕事に追われているころ、、
まず、両足首がすごく腫れた
「私の足首、腫れてない?」 と同僚に聞くと
「いつもそんなだよ~」 と言う
痛みも出てきたので、近所の病院に行った
悪いほうの足だけならわかるけど、両方はおかしいね、と言われ
血液検査をして、湿布もらって帰った
翌々日、ふくらはぎに赤い斑点がいっぱい
水玉模様のようにできた
皮膚の病気だと思って、近くにある大学病院の分院の皮膚科へ行った
診察室の奥で、私を診た医師を中心に、数人の医者が話している
ちょっとただならぬ雰囲気だ
「すぐ本院(大学病院)のほうへ入院してください」
「命にかかわる病気ですか?」
「そういう可能性もあります」
膠原病の知識など何もないから、
皮膚科入院って皮膚の病気と思っていた
家族への説明は
ベーチェット病もしくは、全身性エリトマトーデスの疑い
ステロイドの点滴で、倦怠感が取れ、噓のように元気になった
仕事のストレスと原因のはっきりしない体調不良で、
沼の底に沈んでいたのが、水面に浮かび上がった
気分も最高で、まさに「五月晴れ」
数十年前の五月のことだった